Blackmagic Design は京都にある x10studio(クロステンスタジオ)が FUSION STUDIO を活用して、カプコンの人気ハンティングアクションゲーム『モンスターハンター4G』のカットシーン(エンディング部分)の制作を行なったことを発表した。

制作を担当した x10studio はコマーシャルやゲーム、アニメをメインフィールドとして活動する少数精鋭の CGI・映像制作会社で、展示映像やプロジェクションマッピングなどの仕事も行なっている。
同社の設立者のひとりであり、CGI ディレクターの 松本篤史氏は 1999 年から FUSION を使用している。

松本篤史氏(株式会社 x10studio 代表)

「新しい FUSION は、UI のレイアウトが柔軟になるなど、使い勝手の改良に目が向けられている印象です。開発体制が強化されたとの事ですので、今後の進化に期待しているところです」と、松本氏は話す。

■『モンスターハンター4G』のカットシーン制作
松本氏は、担当したカプコンの人気ゲーム『モンスターハンター4G』のカットシーン(ED)についてこう語る。
「監督のこだわりは、ハンターたちが狩りに出かける前の高揚感を、状況の賑わいの中で描くことでした。特に今回は、肉を食べたり、ビールを飲んだりする、人間らしい行動を描くことにこだわりました」。

© CAPCOM CO., LTD. 2013, 2014 ALL RIGHTS RESERVED

制作にあたり、出来るだけ早い段階で、全カット分の基本的なコンポジットファイルを準備して、各パートのデザイナーが、最終形を常に確認しながら作業できる環境を用意したという。
「そうすることで作業の無駄を省き、最終段階において変化する要求に、コンポジットで柔軟に対応することを目指していました。具体的には、最初に全カットのカラーイメージを作りました」。
3DCG で簡単なライティングをして、色温度の違う光源の混じり合う室内の様子を、作品の世界観の中で成立させるように FUSION で設計し、アニマティクスが完成してから、それを元に各カットのコンポジットのベースを作成した。

© CAPCOM CO., LTD. 2013, 2014 ALL RIGHTS RESERVED

松本氏自身も CG を作成しながら、他のデザイナーから上がってくる CG 素材を元に、コンポジットデータを更新していくことで、常に完成形を全員で共有しながら作業を進めることができたという。
「これにより無駄な作り込みを避け、表現したいところに作業を集中できるようになりました。これは、われわれのような小規模なスタジオにとっては大きな利点となります。」松本氏は続ける。

© CAPCOM CO., LTD. 2013, 2014 ALL RIGHTS RESERVED

「ハンターが食べている肉のシズルは、肉の CG 素材とアニメーションを、FBX ファイルで FUSION 内に読み込み、シェーディングとライティングを FUSION 内で行い、微調整を繰り返しながら仕上げました。天井からところどころ差し込む光が室内のオブジェクトを照らす様子は、全カットの CG カメラを FBX ファイルで用意し、 Volumemask で位置を微調整しながら表現しています」。

■FUSION STUDIOの導入メリット
FUSION STUDIO について松本氏はこう語る。
「機能的に整理されたノードのデザインのおかげで、フローが複雑になりすぎず、プロジェクト後半でも、混乱することが少ないです。複数開くコンポジットファイルにより、各フローごとに、ノードの コピー&ペーストができるので、設定を各コンポジットに反映させてやすく、コンポジットのプロセスが視覚化されているので、他スタッフとの共同作業も楽です」。

「FUSION STUDIO のメリットとして、価格が下がって導入しやすくなった点と、ソフトウェアの習得のしやすさが挙げられます。ノードベースでのコンポジットに慣れていないスタッフでも、FUSION STUDIO を与えてから、使えるようになるまでの時間が短いです。そして何よりも、レスポンスの良さ。作業レスポンスが良いため、効率がいいですね。思い付きやアイデアが頭から消える前に、イメージをつくりあげることができるんです」と、松本氏は結んだ。

■Blackmagic Design
Blackmagic Design は、映画、ポストプロダクション、放送業界に向けて世界最先端 のビデオ編集製品、デジタルフィルムカメラ、カラーコレクター、ビデオコンバータ、ビデオモニタ、ルータ、ライブプロダクションスイッチャ、ディスクレコーダ、 波形モニタ、リアルタイム・フィルムスキャナを開発している。
Blackmagic Design の DeckLink キャプチャカードは、その品質と価格で放送業界に革命をもたらした。また、エミー賞を受賞した DaVinci カラーコレクション システムは、 1984 年以降、テレビ、映画業界の中心となっている。
Blackmagic Design は、現在も 6G-SDI、12G-SDI 製品、ステレオスコピック 3D、Ultra HD ワークフローなどの独創的な革新を続けている。世界をリードするポストプロダクションエディターやエンジニアにより設立された Blackmagic Design は、 現在アメリカ合衆国、イギリス、日本、シンガポール、そしてオーストラリアにオフィスを構えている。
www.blackmagicdesign.com

■関連URL
x10studio:www.x10s.jp