>   >  新・海外で働く日本人アーティスト:『スター・ウォーズ』を追い海を渡ったラガーマン 第30回:島田竜幸/Shimada Tatsuyuki(Sony Pictures Imageworks / Animator)
『スター・ウォーズ』を追い海を渡ったラガーマン 第30回:島田竜幸/Shimada Tatsuyuki(Sony Pictures Imageworks / Animator)

『スター・ウォーズ』を追い海を渡ったラガーマン 第30回:島田竜幸/Shimada Tatsuyuki(Sony Pictures Imageworks / Animator)

今回はカナダのバンクーバーからお届けしよう。『スター・ウォーズ』シリーズが大好きで、プロジェクトを追いかけて台湾へ飛びキャリアを積み、それからバンクーバーで働くことになったという島田竜幸氏は「目指すものや目標が明確であることが大切」と語る。そんな島田氏に、お話を伺った。

TEXT_鍋 潤太郎 / Jyuntaro Nabe
ハリウッドを拠点とするVFX専門の映像ジャーナリスト。
著書に『海外で働く日本人クリエイター』(ボーンデジタル刊)、『ハリウッドVFX業界就職の手引き』などがある。
公式ブログ「鍋潤太郎☆映像トピックス」


EDIT_山田桃子 / Momoko Yamada

Artist's Profile

島田竜幸 / Shimada Tatsuyuki(Sony Pictures Imageworks / Animator)
埼玉県出身。2008年に東京電機大学理工学部、WAOクリエイティブカレッジを卒業後、Polygon PicturesでCGデザイナーとしてキャリアをスタート。その後、2013年に台湾のCGCGに入社。2017年1月にバンクーバーのMPCを経て、現在はSony Pictures Imageworksに所属し、現職。主な参加作品には映画『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)、『ジャスティス・リーグ』(2017)、Netflix作品『トロールハンターズ』(2016)、Netflix作品『ヒックとドラゴン 新たな世界へ!』(2015)、TVシリーズ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2014)など

<1>ラグビー一筋の学生時代から、『スター・ウォーズ』の影響でCGの世界へ

――日本では、どのような学生時代を過ごしましたか?

現在もカナダでプレーしているラグビーに、高校&大学と7年間没頭していました。ラグビー漬けの毎日でまだ将来何がしたいかわからなかったのですが、やがて、研究者の父が自分の好きな研究に没頭している姿を見て、自分も好きなことを仕事にしたいと思うようになりました。そして子供の頃から大好きだった『スター・ウォーズ』の影響で、CGの世界に進みたいと考えるようになったんです。

大学では独学でCGソフトを使っていましたが、きちんと勉強したくて大学4年生のときにダブルスクールでWAOクリエイティブカレッジに通うことにしました。やる気があり志の高い友人に恵まれ、夢中で勉強した1年間でした。卒業制作をしている頃、ラグビーの試合で骨折し、手術をして松葉杖をつきながら学校に通ったことも、今では良い思い出です(笑)。

――大学卒業後、しばらくの間、日本でお仕事をされていたそうですね。

日本で働いていた4年間のうち、約3年間はPolygon Pictures(以下PPI)でお世話になりました。当時、PPIは多くの海外案件を受注していてワクワクしながら働くことができました。

新人の頃に、先輩達がルーカスフィルムから『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(以下、『クローン・ウォーズ』)を受注するためのテストを受けていたのですが「受注が決まったら絶対にこのプロジェクトに入りたいです!」とプロデューサーやスーパーバイザーにしつこくアピールをしていました(笑)。

当時まだまだ実力が伴っていませんでしたが、「『スター・ウォーズ』が好きなのは認める!」と"やる気採用"していただき、プロジェクトにアサインしてもらいました。念願の『スター・ウォーズ』作品に関われて本当に嬉しすぎる毎日でした! 外国人ばかりのプロジェクトチームだったので、多国籍な環境で働くことができたのも面白かったです。

――いつ頃から、海外での就業を意識されたのでしょうか?

CGを始めたときから「いつか海外へ!」、「いつかハリウッド映画に関わりたい!!」という夢はありましたが、そのための準備をして海外に挑んだ訳ではありませんでした。

PPIの『クローン・ウォーズ』制作は1年半で終わってしまったのですが、僕はこの大好きな『クローン・ウォーズ』にもっと関わり続けたくて、その後もシリーズ制作に関わっていた唯一の会社、台湾のCGCG(※シーズン1からファイナルシーズンまで制作)に応募することにしたんです。「クローン・ウォーズをやるためにこの会社へ行く!」と、それだけの気持ちで台湾に行くことを決めました。

事前に台湾について何も調べず、アジアのどこかという認識だけ。Skypeでの面接も契約などのやり取りも全て英語だったので、勝手に英語圏の国だと思っていました......。ところが飛行機が台湾に着陸した直後に中国語だらけの看板を目にして、そこで初めて「あれ? おかしいな」と思い、空港職員に「Excuse me?」と話しかけると中国語で返されて、台湾が中国語圏の国だということに、そのときやっと気がつきました(笑)。

幸い、CGCGはアメリカのTVシリーズをメインに制作している会社だったので、職場では英語が通じました。ワクワクするプロジェクトばかりで仕事も毎日楽しく、ここでもたくさんの良い同僚、そして学生以来のラグビーをする機会にも恵まれ、休日はラグビーに没頭する毎日。台湾チームの選手としてラグビーのアジア大会に出場し、見事優勝する経験まででき、台湾での4年間は楽しくあっという間でした。


カナダにいる現在も、週末にはラグビーを楽しんでいるという

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<2>台湾からハリウッド映画を目指して、カナダへ

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