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No.14:画の中のスケールとディテール

No.14:画の中のスケールとディテール

こんにちは。ビジュアルデベロップメントアーティスト(Visual Development Artist)の伊藤頼子です。『ゼロから特訓!ビジュアルデベロップメント』と題してCGWORLD Entry.jp第13回まで続けてきた私の連載(※1)が、第14回からはCGWORLD.jpへ移動することになりました。引き続き、ぜひお付き合いください。 今回は、画の中のスケールとディテールについて学びます。

※1 本連載のバックナンバーはこちらで総覧いただけます。

TEXT&ARTWORK_伊藤頼子 / Yoriko Ito
EDIT_尾形美幸 / Miyuki Ogata(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota

ディテールの加え方によって、スケール感が大きく変化する

連載 第12回では、オーバーラッピングを適切に使うと、オブジェクトの位置関係やスケールが明確になることを説明しました。今回は、ディテールの加え方によって、オブジェクトのスケール感が大きく変化することを学びます。ディテールを的確に表現したり、デザインできるようになることを目指しましょう。

Lesson27:絵画のスケール感を表現する

たくさんの絵画が飾られた部屋を描き、そのスケール感を表現してみましょう。

▲絵画と部屋だけを描いても、どのくらいの大きさなのか伝わりません


▲【左】人を加えると、絵画と部屋の大きさがわかります/【右】人の大きさを変えると、絵画と部屋のスケール感が変化します


▲椅子を加えることで、絵画と部屋のスケール感を表現しています。このように目安になるオブジェクトを加えると、スケール感を計ることが可能です

Lesson28:家のスケール感を表現する

家のディテールを描き、そのスケール感を表現してみましょう。

▲左右の建物の大きさは同じですが、窓や入り口の大きさを変えると、スケール感が変化します


▲この家にディテールを描きこみ、スケール感のちがう2つの家を表現してみましょう


▲画の中の大きさは同じでも、窓やドアのサイズ次第でスケール感がかなり変わります。車などのオブジェクトを加えると、スケール感を計る目安になるため、さらに効果的です


Lesson29:橋のスケール感を表現する

橋のディテールを描き、そのスケール感を表現してみましょう。

▲この橋にディテールを描きこみ、スケール感のちがう2つの橋を表現してみましょう


▲画の中の大きさやデザインは同じでも、柱やレンガのサイズ次第でスケール感がかなり変わります。バスや人、船などのオブジェクトを加えると、スケール感を計る目安になるため、さらに効果的です。このようなオブジェクトを加える際は、背景のスケール感に合った、適切な大きさにすることが大切です

Lesson30:ディテールをデザインする

ディテールを描き込みすぎると、うるさくなったり、見づらくなったりする場合も多くあります。時と場合に応じて、ディテールの密度や明暗などを加減しましょう。すべてを描かなくても、一部を描くことで、その全容を見る人に想像させることができます。Lesson29の作例の場合、橋のレンガをすべて書き込んでいませんが、橋がレンガでつくられていることが伝わります。どのようなパターンで、どこにディテールを配置するか、デザインしながら描くことがポイントです。

▲【左】手前の建物の壁に、古いレンガのディテールを描き込みましょう/【右】壁全体をレンガで埋め尽くすと、ここではうるさく感じられます


▲【左】一例として、三分割法(※2)を応用したディテール表現を紹介します。壁を三分割し、レンガの密度に変化を付けるとすっきりします/【右】もう1つ作例を紹介しましょう。見る人の視線が、画の中の焦点(Focal Point)へ自然と導かれるようにディテールを配置すると、画面が見やすくなります

※2 三分割法については、連載 第3回で解説しています。




今回のレッスンは以上です。第15回も、ぜひお付き合いください。
(第15回の公開は、2018年3月末〜4月頃を予定しております)

プロフィール

  • 伊藤頼子
    ビジュアルデベロップメントアーティスト

    三重県出身。短大の英文科を卒業後、サンフランシスコのAcademy of Art Universityに留学し、イラストレーションを専攻。卒業後は子供向け絵本のイラストレーション制作に携わる。ゲーム会社でのBackground Designer/Painterを経て、1997年からDreamWorks AnimationにてEnvironmental Design(環境デザイン)やBackground Paint(背景画)を担当。2002年以降はVisual Development Artistに転向し、『Madagascar』(2005)でAnnie Award(アニー賞)にノミネートされる。2013年以降はフリーランスとなり、映画やゲームをはじめ、様々な分野の映像制作に携わる。2013年からはAcademy of Art UniversityのVisual Development Departmentにて後進の育成にも従事。2017年以降は拠点をロサンゼルスに移し、現在はアートディレクターとしてアニメーション長編映画を制作中。
    www.yorikoito.com

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