ランチャーを使ってアプリケーションを立ち上げる
ランチャー上部のプルダウンメニューから作業を行うプロジェクトを選択します。標準ではbaseProjectとtutorialの2つが登録されているので、tutorialを選択します。
続いて、使用するアプリケーションを選択します。リストの左側で大分類、右側でアイテムを選択します。アイテムをダブルクリックするか、ダイアログ下部のRunボタンを押すと起動します。
アプリケーションの初回起動時には実行環境を構築するための処理が走ります。一度環境構築が終われば次からはこの処理は行われないので、最初だけは少しお待ちください。パイプラインツールの更新などを行なった場合も、ランチャーが自動的に更新処理を行います。このようにすることで、誰でもいつでも同じ環境で作業を開始することができるようになっています。
環境構築が終わればアプリケーションが立ち上がります。
Mayaや3ds Max、Nukeなども同様に立ち上げることができます。これらを立ち上げると、自動的にJCGSメニューが追加されてアプリケーション上で使用するパイプラインツールにアクセスできるようになります。
ランチャーの機能
ランチャーは、パイプライン運用の上でとても重要な役割を担っています。ランチャーを使用しなくても、プロジェクトを運用する際に複数人の環境を整えるために工夫をしている方は多いでしょう。
例えば、 BATファイルをつくってそこからアプリケーションを起動しているケースもあると思います。少人数で顔を向き合わせながら仕事を進める場合、これでも十分回すことはできるかもしれません。それでも、BATファイルをローカルマシンにコピーしてしまったために更新が反映されなかったり、BATファイルが多すぎてどれを使えばいいのかわからなくなったりといったトラブルが多発しがちです。
また、プロジェクトごとに使用するプラグインを切り替えなければいけない場合も準備が大変です。あるプロジェクトではArnold、別のプロジェクトではSuperRender2.71を使い、また別のプロジェクトではSuperRender3.14を使うというケースはよくあります。別の種類のプラグインであればまとめてインストールしてしまえば対応できますが、異なるバージョンのプラグインをひとつの環境に同居させるのは大抵の場合不可能です。
この問題は作業用マシンに限りません。特に厄介なのはレンダーサーバです。複数のプロジェクトで共有されるレンダーサーバの場合、何らかの方法でDCCツール内で使用するプラグインのバージョンを切り替えるしくみを用意できなければ、プロジェクト専用にセットアップしたマシンを切り分けて使用しなければなりません。
このような管理をしていると手間がかかりますし、何より人的ミスが起きます。プロジェクトの途中でやむを得ず使用ツールのバージョンアップをした場合、必ずどこかの環境を更新し忘れて手戻りが発生するでしょう。
そのような、環境整備にまつわるモロモロを一手に引き受けるのがランチャーです。
例えば、当社のランチャーでは以下のようなことを行います。
-プロジェクト選択
-パッケージ管理
-環境変数管理
-アプリケーション実行環境構築
ランチャーからアプリケーションを立ち上げる際にプロジェクトと使用するアプリケーションを選択すると、実行に必要なソフトウェアや環境変数を準備します。そのため、レンダーサーバ上でも自動的に環境を構築してから処理を行うといったことも可能です。また、アプリケーション実行環境は1台のマシンに複数作成することができるため、prj_A用のMayaとprj_B用のMayaで異なるバージョンのプラグインを使用するといったこともできるようになっています。
技術的な詳細はCEDEC2017のTechnical Artist Bootcamp 2017 vol.1「Automation for TA」にてご紹介しているので、こちらを参照してください。
ランチャーはMayaなどのマシンにインストールされているアプリケーションに対して手を加えないので、ランチャーなしでアプリケーションを起動すれば基本的にインストールしたままの状態で実行することができます。そのため、様々なプラグインをインストールしたことで環境が壊れてしまい、アプリケーション本体のインストールからやり直しといったことも防げます。
まとめ
今回は当社で開発しているパイプラインツールをインストールし、ランチャーの立ち上げまで確かめました。また、ランチャーが何をしているか、ランチャーを使用することで得られるメリットについてご説明しました。プロダクションの規模によってどのようなパイプラインを構築するかは大きく変わってくるところではありますが、ランチャーやそれに似たしくみを用意しておくことで、日々の細かいストレスやミスから解放されます。
第23回の公開は、2020年6月を予定しております。
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