ZBrushマスターとして独特の存在感を放つVillard・岡田恵太が、ZBrushを用いた勢いのある造形テクニックを毎月紹介していく本連載。今回は冬の代名詞「トナカイ」を、クリーチャー感のある造形で制作します。
コンセプトアートに近い雰囲気で仕上げる
今回は12月ということもあり、トナカイをモチーフにして何か作ろうと思いました。美しい印象の正統派のトナカイにしても良かったのですが、クリーチャーに振ってみました。トナカイの顔が裂けて少しグロテスクなクリーチャーになりました。また、今回は少しアート寄りの雰囲気に調整しています。今後は造形としての作品やアート寄りの制作を織り交ぜて進めていけたらと思っています。
主要な制作アプリケーション
・ZBrush 2021
・KeyShot 8
STEP 01:顔のラフを制作
顔のシルエットやボリュームを作成していきます。自分の中でも少しイメージがふわっとしたところからスタートしたので、トナカイの参考資料を観察しながら雰囲気を徐々に探っていきます。
STEP 02:顔の分割
顔のラフモデルができてきたら、顔を分割してクリーチャーにしていきます。身体部分と顔から出ている軟組織との質感のちがいを意識して制作していきます。軟組織にはそこまでディテールは必要ありません。
STEP 03:指の作成〜ディテールの追加
STEP 04:KeyShotでレンダリングする
今回は特にポージングを行う必要はないので、そのまますぐKeyShotでレンダリングをします。最終的にPhotoshopでレタッチを加えて完成です。
完成
完成です。
今回は少しコンセプトアートよりの作品となりました。造形で毛を作成するのは時間や手間がかかる場合があるので、軽くレタッチして毛の雰囲気を整えています。
今後もアート寄りの作品を記事に加えていこうと思います。
岡田恵太/Keita Okada(Villard Inc.)
デジタルスカルプター、3Dコンセプトアーティスト。1991年7月生まれ、広島県出身。2012年大阪の専門学校を卒業後、大阪のゲーム会社に就職。2013年に退職し上京した後、1年ほど建設現場の作業員(荷揚げ屋)などをしながらZBrushを独学で習得し東京のゲーム会社へ就職。2015年からフリーランスとなり、PS4用ゲームのDLC『Bloodborne The Old Hunters』をはじめ主にクリーチャーなどのコンセプトモデルを手がける。2017年3月、新会社「Villard」を設立
www.artstation.com/artist/yuzuki
www.villard.co.jp