表情という味付け
12 の拡張原則の第6回目となる今回は、フェイシャルアニメーションについて取り上げます。これは、12 の基本原則におけるセカンダリアクションの拡張版とも言える技術です。今までこの連載で用いてきたキャラクターには、基本的に表情を付けていませんでした。これにはいくつか理由があります。
まず1つめは、表情を扱うことで「動きの基本概念」というポイントに絞って解説を行うこの連載の趣旨からはずれ、キャラクター性や状況設定といった「好み・演出」の部分が大きく出てしまい、内容が普遍的でなくなるという点です。2つめに、表情を入れることで作業量が膨大になるということが挙げられます。顔を動かすのが大変なのはもちろんですが、セットアップにもそれなりの時間をかけないとしっかりとした表情を付けることは困難であり、フレキシブルなフェイシャルのセットアップは非常に難易度の高い作業だからです。最後の理由は、筆者がフェイシャルアニメーションがあまり得意でないという点。ただ、この連載を通して筆者自身の実力向上が目的でもあるので、自分を追い込むためにも今回からフェイシャルの入ったキャラクターを用いて解説を行なっていきます。
フェイシャルの解説については前述のように好みの問題があるため、できるだけ普遍的な部分にフォーカスしたいと思います。今回はこれまでの「原画」と「動画」ではなく、「身体の動き」と「顔の動き」に分けて解説を進めていきます。
TEXT_森江康太(トランジスタ・スタジオ/ディレクター)
書籍「アニメーションスタイル+」著者。MV『Express』等の作品で監督としても活動している。
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