スマートフォン向けゲームを企画・開発・運営しているf4samurai。現在、人気アニメ『コードギアス』の最新ゲーム作品『コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ』(以下、ロススト)の開発と運営を行っている。
2022年のサービス開始以来、本作は原作アニメのフィーリングを踏襲した演出によってファンの人気を集め、2023年11月にはサービス1.5周年を迎えた。そこで本記事では本作の開発において、f4samuraiの「3DCGモデル」「3DCGモーション」「エフェクト」「3DCG背景」の4つのセクションがどのように原作を活かしたゲームづくりを行っているかをうかがった。
第2回となる今回は3DCGモーション開発について。前回も登場したリードデザイナーのWakabayashi氏と2023年4月に中途入社したモーションデザイナーのNaka氏に入社のきっかけや、人型兵器 “ナイトメアフレーム”によるアクションを始めとした3DCGアニメーションをどのように手掛けているかについて語ってもらった。そこには、f4samuraiならではのセクションに縛られない開発があった。
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2/17(土)13:00~14:00
IPゲームタイトルにおける3DCGの作り方
-コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ編-
リード3DCGデザイナーを務めたWakabayashi氏が登壇します。
ムービーパートも自社ですべて制作!
——Nakaさんの担当業務について教えてください。
Naka:モーションデザイナーのNakaです。業務としてはインゲームモーションをメインに担当していますが、『ロススト』ではゲーム内ムービーパートも担当しています。比率としては7:3くらいですかね。
——人型兵器 “ナイトメアフレーム”のムービーパートはNakaさんが手がけられたんですよね。『ロススト』では激しい戦闘シーンが印象的です。
Naka:はい。もちろん他のスタッフの協力もありつつですが、こちらのシーンは基本的にはひとりで制作しました。
Naka氏
モーションデザイナー
——1分ほどの尺がありますが、おひとりでの制作なのですね!
Wakabayashi:Nakaさんはまだ入社して日が浅かったため重たいタスクはあまり渡さないようにしていたのですが、個人面談の際にそれだと物足りなさそうな気配を感じたので、大きいムービーシーンをお任せすることにしました。
Naka:原作としてアニメが既にありますが、今回はCGでアニメーションをつけるということだったので、原作の良さも活かしつつもアニメっぽくしすぎず、3Dならではの表現になるよう心がけました。
Wakabayashi氏
リードデザイナー
Wakabayashi:「原作は2Dアニメだけど、ゲーム内ムービーなので3Dを活かしたものに」とお願いしたとおり、カメラワークを上手く使ったり、エフェクトや水しぶきを追加したりすることで、臨場感が出る演出になりました。
——1分という尺のムービーパートを制作するにあたって意識したことはありますか?
Naka:実は、このムービーパートではボイスなども自分で入れているんです。カメラワークや映像の尺間のなかに収まるように、どこでボイスが流れて、キャラのカットインが入って……というタイミングも考えながら制作しました。
プレビューをつくってから実際に自分で音をはめてみて、ちょっと尺間を変えてみたりするところは苦労しました。
——ムービーパートの全般を制作しているというのは、ゲーム制作会社としては特殊な印象があります。
Naka:そういうところまでできるのが面白いな、と思います。前職のCGプロダクションで映像制作をしていた経験があるので、それを活かせるムービーパートの制作にも携わることができて嬉しいです。
——Wakabayashiさんは、Nakaさんのそういった前職の経験も踏まえてムービーパートを任せたのでしょうか?
Wakabayashi:そうですね。これまでに制作されたもののクオリティを見て、Nakaさんならお願いできると判断して今回はすべてお願いしました。僕自身もこのムービーパートを実現したい思いが強かったのですが、自分で制作する余力はなかったので……。Nakaさんがいなかったら「自分たちで出来ないから、ここはもうCGでのムービー制作はあきらめるか……」となっていた可能性もあります。
映像業界出身のクリエイターがゲーム会社で活躍
——改めてになりますが、Nakaさんの入社のきっかけはなんだったのでしょうか?
Naka:前職のCGプロダクションに勤務していたころ、知り合いのエフェクトデザイナー(Takagi)さんがf4samuraiに勤めていて、職場の話を色々と聞くうちに興味を持ったんです。
Wakabayashi:Nakaさんは2023年4月に入社したばかりなので、まだ1年も経っていないんですよね。
——Takagiさんには次回のエフェクト編でお話をうかがいます。Nakaさんから見て、入社前のf4samuraiの印象はいかがでしたか?
Naka:Takagiさんからは「CG部署ができたばかりで、いろんなことを任される環境だよ」と聞いていて、そこが自分と合いそうだと感じました。これまでずっとジェネラリスト的な働き方をしてきていたので、仕事の範囲をあまりしぼりたくなかったんですよ。
他のゲーム会社だったら「3Dモデラーの担当範囲はここまで」、「モーションデザイナーの担当範囲はここまで」と完全に領域が分かれていることが多いのですが、f4samuraiではそうではないので。いろんなことができそうだなと思ったのが入社の決め手ですかね。
————その後実際に入社して、仕事をしてきてみていかがでしょうか?
Naka:かなり働きやすい会社だと思います。オフィスも綺麗ですし、制作環境がとても良いですね。
——普段どんなツールを使用されていますか?
Naka:基本的にはすべてMaya、Unityです。カットシーンのプレビューを確認するときにAfter Effectsをちょっと使いますが、いろんなツールを幅広く使うというよりはMayaでの制作と、Unityでのタイムライン上での作業を突き詰めていく感じです。
Wakabayashi:Nakaさんはf4samuraiに入社するまでUnityの経験がなかったそうですが、結構すんなり習得されてました。なので求められるスキルとしては、ツールの使用経験よりもしっかりモーションやカメラワークをつけられることのほうが重要かな、と思います。
——f4samuraiの社内では技術の共有などはございますか。
Naka:基本的には対面でイチから教えてもらっています。あとは、社内Wikiのようなものがあるので活用させてもらっています。
Wakabayashi:社内Wikiはf4samuraiの人間や、プロジェクトのメンバーであればアクセスできて、マニュアルやトラブルシューティングが書いてあります。
Naka:本当に助けられていますね。入社するまでUnity自体も触ったことがなかったので、入社してから社内Wikiをベースに勉強していきました。
——CGプロダクションからゲーム会社に転職されて、Nakaさんが苦労された点はありますか?
Naka:やはりゲームならではのバグやエラー対応への経験がなかったことですね。今回の『ロススト』でもそこは毎回、周囲に助けられています。
Wakabayashi:ゲームの動作としてどこがどうおかしいのか、何が原因でバグが起きているのか、という判断はやはり経験がないと難しいところではありますね。
たとえば映像制作であれば、つくったものに対しての「ポリゴンがちょっと欠けていた」という不備はわかりやすいと思います。ですがゲームの場合はプログラムも絡んでいるので、3Dモデルがダメなのか、実装しているコードがダメなのか確認しなければなりません。このようなゲーム開発ならではのポイントは、入社後徐々にキャッチアップしてもらっています。
——f4samuraiさんとしては、Nakaさんのようなゲーム業界経験者ではないクリエイターも受け入れる余地があるのでしょうか?
Wakabayashi:そうですね。むしろゲーム開発企業でプレイアブル用のモーションを専門でやってきたようなクリエイターの方だと、今回のようなカメラワークがしっかりあるようなカットシーンを制作する機会があまりないと思うんですよ。
Nakaさんのような映像系の知識をもったクリエイターが作るカットシーンだからこそ、より3Dが活きた映像表現が実現でき、作品全体のクオリティが上がっている側面もあると思います。なので、f4samuraiはCGプロダクションや映像業界出身のクリエイターさんが活躍できる環境であると言えるのではないかと。
Naka:そうですね、自分もゲームの開発経験はなかったですが、社内サポートもしっかりしているので恐れずに挑戦できる環境かな、と思います。
Wakabayashi:あとは「自分の職務領域を限定しすぎず、いろんなことにチャレンジしてみたい」という考えの方のほうが当社にはマッチすると思いますね。ゲームを気持ちよく見せる尺間を考えてつくったことのある方であれば、なお嬉しいです。
【おまけ】f4samurai「ロススト」チーム座談会 その2
——皆さんは前職から中途採用でf4samuraiに入社して「自分の力を発揮できているな」と思うことは多いですか?
Naka:そうですね。やってきたことがそのまま通用していると感じます。
Yoshida:私も今まで培ってきた技術を使わせてもらっています。
Takagi:私も好きにやらせてもらっていますね。最近のスマホってスペックがめちゃくちゃ上がっていて。わりと制限なく好きなようにつくっても、実機でヌルヌル動くし「こんなにできるんだなあ」、「こんなにエフェクト入れても大丈夫なんだ」と驚かされることが多いので、ガンガンつくらせてもらっています(笑)。
——TakagiさんとNakaさんは前職は映像業界で、同じCGプロダクションに勤めていたそうですね。
Takagi:そうですね。自分が先に転職したのですが、思っていたより映像業界での経験が活かせるのと、働き方やオフィスなどの環境面がとても良いなと感じていて。その後ちょうどモーションデザイナーの社内ニーズが高まってきたこともあり、「Nakaさんぴったりじゃん!」と思って伝えてみたところ、また一緒に働けることになりました(笑)。
——ありがとうございました! では次回、第3回目ではTakagiさんに『ロススト』のエフェクト制作についてより深くおうかがいします!
次回は1月23日(火)「第3回 エフェクト編―原作の魅力と最新トレンドを押さえた制作のこだわり」を公開予定です。お楽しみに!
▼求人情報
■募集職種
①3DCGモデラー | open.talentio.com/r/1/c/f4samurai/pages/87611
②3DCGモーションデザイナー | open.talentio.com/r/1/c/f4samurai/pages/84864
③エフェクトデザイナー | open.talentio.com/r/1/c/f4samurai/pages/84257
④3DCG背景デザイナー | open.talentio.com/r/1/c/f4samurai/pages/84555
※いずれの職種も『コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ』もしくは『新規3DCGゲームタイトル』の開発・運営に携わっていただきます。
<参考記事>
3DCGデザイナーのお仕事紹介 | note.com/f4samurai/n/nb2b4579ddedb
リード3DCGデザイナーインタビュー | recruit.f4samurai.jp/interview/473
■雇用形態
・正社員(試用期間3カ月 ※本採用時との待遇差なし)
※ご希望・ご経験により業務委託でのオファーをするケースもあります。
■勤務地
〒101-0021
東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX 北ウイング14階
■待遇
給与 :
経験・能力を考慮の上、当社規定により決定します。
想定年収(メンバー):450万円 ~
想定年収(リーダー ):650万円 ~
※みなし固定時間外手当(45時間相当分)を含む月給制
(みなし固定時間手当を超える時間外労働分の割増賃金は追加支給)
※賞与制度あり(年2回)
福利厚生 :
通勤手当(上限50,000円/月)、社会保険完備、健保組合保養所、健康診断、他
■勤務形態
月・金:リモート勤務
火・水・木:秋葉原オフィス勤務(原則出社必須)
■休日・休暇
完全週休2日制(土曜・日曜)、祝日、年次有給休暇(入社時付与あり)、年末年始休暇、慶弔休暇、夏季休暇、特別半休制度(1ヶ月に1度使用可能)
※年間休日120日以上
TEXT_葛西 祝 /Hajime Kasai
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota