こんにちは!ボーンデジタル、サポートチームの村田、Kai、黒河です。
近年の技術の進歩により、高品質なゲームや映像はもちろん、3DCGソフトに触れる機会も増えてきたのではないでしょうか。
特に建築業界では、CADやBIMによる設計だけでなく、ビジュアライゼーションを活用したプレゼンテーションやプロモーションの重要性が高まっています。そのため、制作に使用するハードウェア選びに悩んでいる方も多いと思います。
そこで今回は、HPのZ Workstation(デスクトップ&モバイル)を使用し、リアルタイムレンダラーがどれくらい快適に動作するのかを検証してみました!上述の通り、プレゼンテーションに建築Vizが活用される機会が増えているほか、CAD/BIMユーザー自身がViz制作を行うケースも増加しています。それに伴い、ノートPCを活用したリモート環境での作業や、クライアント先へマシンを持ち込んで業務を行うニーズが高まっていることから、特にモバイルワークステーションである ZBook シリーズを中心に検証を行なっています。
なお、検証結果から見える推奨スペックについても言及しますので、マシン選定の目安としても本記事を活用いただければ幸いです。
そしてもう一つ目玉の内容として、HPが提供するリモートコラボレーションツール「HP Z Remote Graphics Software(RGS)」についても試してみました。「リモートワーク環境の構築」や「社内の機材運用」を考えるうえで、とても便利で優秀なソフトウェアだと感じましたので、その魅力もあわせてご紹介したいと思います。RGS を使用することで、「モバイル端末を多数揃える」よりも、「少数のデスクトップワークステーション + 安価マシン」で結果的にコストメリットも出せるのではと思います。
HP Z Workstation でないと使えないソリューションラインナップを是非チェックしてみてください!
リアルタイムレンダラーのパフォーマンス検証(Chaos Enscape, D5 Render)
まずは、近年建築Vizでよく使用される リアルタイムレンダラーである Chaos Enscape と D5 Render を、HPのモバイルワークステーション、 HP ZBook Mobile Workstation シリーズで動かしてみました。
使用したマシンは以下です。
| モデル名 | CPU / プロセッサー | GPU / グラフィックス | メモリ |
|---|---|---|---|
| HP ZBook 8 G1a14 | AMD Ryzen™ AI9 HX PRO 375 | AMD Radeon™ 890M | 64GB |
| HP ZBook 8 G1i16 | インテル® Core™ Ultra5 235H | NVIDIA RTX™ 500 Ada | 32GB |
| HP ZBook X G1i 16 | インテル® Core™ Ultra7 265H | NVIDIA RTX™ PRO 2000 Blackwell | 32GB |
| HP ZBook Ultra 14G1a | AMD Ryzen™ AI MAX PRO 395 | AMD Radeon™ 8060S | 128GB |
| HP ZBook Fury G1i 16 | インテル® Core™ Ultra9 285HX | NVIDIA RTX™ PRO 5000 Blackwell | 32GB |
| HP ZBook Fury G1i 18 | インテル® Core™ Ultra9 285HX | NVIDIA RTX™ PRO 5000 Blackwell | 32GB |
OS:Windows 11 Pro
※今回お借りしたマシンのスペック構成で検証しており、CPU, メモリ, GPU, SSD の構成はモデルごとにカスタマイズできるメニューが用意されています。詳しくはこちら。
検査項目は分かりやすく以下の4つをピックアップしています。
・画面操作FPS:GPUの性能を検証します。具体的には視点を動かしFPSの振れ幅を確認します。
・レンダリング速度:GPUの性能を検証します。具体的には4Kの16:9の画像をpngで出力します。
・動画出力速度:動画レンダリングによるコンパイルによってCPUの性能を検証します。具体的には1080pの解像度で3秒間のアニメーションを出力します。
・シーン読込時間:ストレージ及びメモリへの影響を検証します。シーン展開を開始して画面操作が可能になるまでの速度を計測します。
Chaos Enscape
まずは Chaos Enscape の結果から見ていきましょう。
以下に検証結果を表形式で載せます。
利用したシーンデータは4.6GBの以下シーンになります。
HP ZBook 8 G1a
HP ZBook 8 G1i
HP ZBook X G1i
HP ZBook Ultra G1a 14inch
HP ZBook Fury G1i 16inch Mobile
HP ZBook Fury G1i 18inch Mobile
比較した機材の中でエントリーモデルに位置する HP ZBook 8 G1a 14inch は、動かせはするが、やや重いと感じる場面もあり、もう少しパフォーマンスが欲しくなる印象です。FPS値もできれば30FPSは平均して出して欲しいところです。
ミドルクラスの HP ZBook X G1i 16 までいけば、快適に操作することができ、レンダリング速度も十分かなと思います。
HP ZBook 8 G1i 14inch Mobile だけ、Enscapeが 起動できず今回の機材では検証できませんでしたが、他は概ねスペック通りに性能を上げてきている印象です。
HP ZBook Fury G1i は、さすがに良いものを積んでいるだけあって非常にパフォーマンスはよいですね。実際、サクサクとストレスフリーで使用することができ楽しかったです。
ただ、社員全員のPCを HP ZBook Fury G1i にするという選択肢は価格の面では現実的ではないと思いますので、Enscape を利用するユーザはミドルクラスの HP ZBook X G1i 16 を選択するのが良いかと思います。
また、メインメモリについては、可能であれば64GBを搭載したものを選べるとよいかなと思います。
理由としては、Revit や SketchUp、Rhino などで作成した大規模な3Dモデルを読み込むことが多く、建物や周辺環境を含むシーンでは膨大なジオメトリやマテリアル情報をメモリ上で管理する必要があること。また、近年は4Kや8Kの高解像度テクスチャを多数使用する場面も増えているため、メモリ消費量が大きくなります。
そしてリアルタイムレンダラーは主にGPUのVRAMを利用して描画を行いますが、VRAMだけで不足した場合はメインメモリを補助的に使用します。そのため、メモリ容量に余裕があるほど動作が安定し、読み込みの遅延や表示の不具合が発生しにくくなります。さらに実務ではリアルタイムレンダラーだけでなく、Revit や SketchUp などを同時に起動するケースも多く、32GBでは不足する場面があると予想されます。
小規模な住宅のCG制作などは32GBでも対応可能かと思いますが、大規模な建築プロジェクトや高品質なビジュアライゼーションを行う場合は64GBあることで快適性と安定性が大きく向上します。そのため、将来的な案件規模の拡大やソフトウェアの高機能化も見据えると、64GBのメモリ搭載は達成したい要件になるかと思います。
もう1つ、熱やファンの動作音についても触れておきます。モバイルワークステーションでは、Enscape を利用するとどの機種でもCPUやGPUに高い負荷がかかるため、本体の温度を効果的に下げるため、ファンも継続的に回転します。ファンの動作音は一般的に騒音と感じるほどではありませんが、静かな環境では気になる方もいるかもしれません。今回検証した機種はいずれも高負荷時には温度が100℃近くまで上昇していましたが、本体下部に隙間を設けることで80℃台まで低下することを確認できました。これは、本体底面の吸気口からより多くの空気を取り込めるようになり、内部の熱を効率よく排出できるためです。特にモバイルワークステーションは冷却性能が筐体の設置環境に影響されやすいため、スタンドなどを活用して底面の通気性を確保することもおすすめします。
冷却性能については、ヒートシンクも関わってくるわけですが、筺体が大きさに比例してヒートシンクも大きくなります(筺体の大きさ≒ヒートシンクの大きさ)ので、こちらもマシン選びの参考になれば幸いです。
後述しますが、デスクトップワークステーションのパフォーマンスはもちろんのこと、静音についても優秀で高負荷の状態でも気になりませんでした。快適な作業環境という点では、やはりデスクトップワークステーションに軍配が上がります。一方で、デスクトップワークステーションを複数台導入する場合、初期投資が大きくなりやすく、利用者全員に同等の環境を整備することが難しいケースもあります。
こうした課題を解決する手段として有効なのが、HPの「HP Z Remote Graphics Software(RGS)」です。RGS を活用することで、高性能なデスクトップワークステーションの処理能力をネットワーク経由で利用できるため、手元の端末は比較的低スペックなノートPCやシンクライアントであっても、快適な作業環境を実現でき、さらにネットワーク構築は必須ですが、クライアント(リモート)先でも快適に動かすことができます。もしかしたら高価なワークステーションを利用者ごとに用意しなくても作業環境を提供できる可能性があり、コストを抑えながら高い生産性を維持できる大きなメリットを持っています。
D5 Render
デスクトップワークステーションの話に行く前に、モバイルの D5 Render の結果も見ていきましょう。D5 Render は Enscape と比較すると処理負荷が高いけど高品質”なソフトウェアになります。どの程度差が出るか楽しみです。
また、シーン内に含まれるポリゴン数が 多い(重い)データ と 普通のデータ の2つ用意し、そちらの差分も確認しようと思います。後述の結果でも見えますが、重いデータに関しては開くことができないものもありました。
重いデータ シーンサイズ:3.72GB、ポリゴン数:約178億
普通のデータ シーンサイズ:3.48GB、ポリゴン数:約1億3千万
以下に検証結果を表形式で載せます。
HP ZBook 8 G1a
HP ZBook 8 G1i
HP ZBook X G1i
HP ZBook Ultra G1a 14inch
HP ZBook Fury G1i 16inch Mobile
HP ZBook Fury G1i 18inch Mobile
まず、Enscape で十分動作したミドルクラスの HP ZBook X G1i 16 から見ていきましょう。
HP ZBook X G1i 16 は中々優秀で、ちゃんと動作はしてくれました。FPSの値は普通のシーンで少し重いなと感じる時がありますが、基本的には作業をする際に大きな問題は出ません。
しかし、重いシーンになると大量のアセットを読み込んでいるうちにダウンしてしまい、エラーログを確認するとGPUのパワー不足と思われるメッセージが表示されていました。
重いシーン並のデータを扱う可能性のあるユーザには向きませんが、リアルタイムレンダーツールを使用して作業をするには最低でもこの程度のスペックが必要となるというところでしょうか。
また、同じミドルクラスの HP ZBook Ultra G1a 14inch ですが、今回検証した中でユニークな性能がありまして、それは「128GBのLPDDR5XメモリをGPUと共有することでVRAM64GBなどの設定が出来る」CPUを搭載したモバイルワークステーションです。
搭載する「Radeon 8060S Graphics」はNVIDIAの「RTX3060」より少し性能が良いものになります。
それでも残念ながらFPSの値は高くなく、作業をするにはストレスになるレベルになります。
操作時にはモデルを非表示にしたり、描画モードを簡易にする工夫が必要となります。
しかし、唯一重いシーンをレンダリングまで行う事が出来たPCでもあり、この結果を見ると重いシーンはVRAMのサイズが重要であることが分かります。リアルタイムレンダーではシーンのデータをVRAM上に置いておきロードする為、VRAMが小さいPCだとシーンすら開くことが出来ません。これは前述したメインメモリが大きいと良い理由にも繋がります。
次に、エントリークラスの2機種ですが、上記の結果から予想できるかと思いますが、満足に動かすことはできませんでした。
HP ZBook 8 G1a 14inch については、普通のシーンは読み込み動かすことは出来ましたが、画面操作時のFPSが1FPSしか出ず、レンダリング関連はレンダリング中にダウンしてしまい測定が出来ませんでした。重いシーンは読み込みすらできない状態になります。
使用しているGPUがエントリーモデルのため、やはり描画の限界が早く作業には向かないのかなと。
HP ZBook 8 G1i 14inch は、非力でもGPUを別途搭載している分FPSの値が9-13と高くなっています。これは特にNVIDIAのDLSSが使用可能な為、結果が出たと考えられます。しかし、重いシーンは読み込むことが出来ず、これはGPUのパワー不足と思われます。
※今回お借りしたマシンのスペック構成で検証しており、CPU, メモリ, GPU, SSD の構成はモデルごとにカスタマイズできるメニューが用意されています。詳しくはこちら。
そして、ハイエンドクラスの HP ZBook Fury も確認していきましょう。
HP ZBook Fury G1i 16 は普通のシーンであればストレスを抱えることなく操作することができるレベルでしょう。レンダリング速度も中々に速く日常使いできたら思わず微笑んでしまうような快適さです。ただ、重いシーンのFPSだけ思うように出なかったですね。広範囲を扱う土木系のユーザであれば、これくらい重いデータを動かすこともあるでしょう。
その点、HP ZBook Fury G1i 18 を見てみると、満足に動かせる結果が確認できました。これはスペック構成も大きく関係しており、メインメモリやVRAMのサイズ, また帯域幅が大きい高性能が故であることが見て取れます。ここまでの構成を組むと、モバイルでも大規模シーンを非常に快適に動かせることがわかりました。ちなみに熱に関しても HP ZBook Fury G1i 18 が一番排熱効率が良さそうでした。ただ、他のマシンと同様に下部の隙間を開けることはおすすめですね。
デスクトップワークステーション & RGS という選択
ここまでモバイルの性能を見てきましたが、デスクトップワークステーションで D5 Renderを動かした結果も載せておきましょう。使用するモデル Z2 Tower で、グラフィックカードは GeForce 5080, RTX PRO 4000, RTX PRO5000 blackwell, RTX Pro 6000MAX-Q の4機種を付け替えて検証しました。数値的にはグラフィックカードの性能検証ですね。
Z2 Tower+GeForce 5080
Z2 Tower+RTX PRO 4000 Blackwell
Z2 Tower+RTX PRO5000 Blackwell
Z2 Tower+RTX PRO 6000 Blackwell MAX-Q
GeForce 5080 の時点ですでに快適に動かせているのがわかるかと思います。また、静音性能や排熱性も高く作業に支障をきたすことは無いように感じますし、長時間作業も十分な性能じゃないかと。これは Z2 Tower の設計が優秀なのだと思います。
前提として、昨今のリアルタイムレンダラーの用途は、オフィス内で制作を行うだけでなく、プレゼンテーションツールとしてビューポートを直接見せるという運用が増えていると思います。つまり、作業場所を選ばずどこでも誰にでも見せることができるように、モバイルでリアルタイムレンダラーを動かしたいというニーズが増えていると感じます。
「快適に動かすという意味ではデスクトップが優秀だけど、持ち運びを考えるとモバイルにしたい」「ただ、モバイル機で高スペックにするとどうしてもコスト面が気になる」というジレンマを多くの人が抱えているかと思います。
そこで、HPのソリューションである「HP Z Remote Graphics Software(RGS)」についてもご紹介したいと思います。まだあまり知られていないソフトだと思うので、ぜひ持ち帰っていただきたいです。
RGS は一見すると、Windows のRDPのようなソフトなのですが、細かく見ていくと有用な要素が沢山あります。
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・接続先がHPマシンであれば、Windows, MacOS, Linux系 すべてのクライアントマシンからアクセスができる。低スペックマシンでも問題なく接続先マシンを動かせる。
・転送される画像の圧縮方式が良く、圧縮アーティファクト(映像の歪み)が気にならない。
・環境の帯域幅により60 FPSまで画像を転送可能で画質が良い。
例えば、Zoomのセッションよりも画質が良いので、画面共有に最適。
・マルチユーザが同じセッションに接続できる。(RGS の目玉機能)
こちらは非常にユニークな機能で、接続先に接続先にローカルユーザーアカウントの用意、
D5 Render、Enscape と Twinmotionを RGS でデスクトップワークステーションにアクセスして利用しましたが、ストレスフリーで扱えましたし、出先でソフトのデモンストレーションなども行えました。個人的には非常に役立ちました。また、都内近郊でしかテストしていませんがスマホのテザリングでも快適
ただし、基本的に企業の場合はネットワーク環境の整備は必須かと思うので、導入が簡単とは言えないかと思います。弊社でもオーバーレイネットワークを構築し、ネットワーク参加者のみが利用可能なようにセットアップしました。
少しテクニカルな要素も交えた所感ですが、まず RGS の画質が良いです。現在のウェブミーティングソリューションの画質より良いので、クライアント先でデモンストレーションなどをする時に非常に便利です。但し、クラウドゲートウェイがないので、別なソリューションを用意する必要があり、弊社は今回 Nebula オーバーレイネットワークを構築し、異なるネットワークからの接続を検証しました。(例えば社外から色んなネットワーク (モバイルや家) からセンダーへ接続を試みるなど。)
つまり、RGS を利用すれば、低スペックのノートPCやシンクライアントから、高性能な HP Z Workstation へリモート接続できるということです。しかも、レシーバとなるノートPCは特にメーカーの縛りはありませんので、従業員に貸与するマシンは柔軟に選定できます。そのため、利用者ごとに高価なワークステーションを配備する必要がなく、導入コストを抑えながら高いグラフィックス性能を共有することもできると思います。恐らく、毎日全員が高いグラフィックスを要求するという環境の方は少ないかと思うので、HPの Z Workstation と RGS の組み合わせで社内の機材環境を検討するのは、選択肢としては十分あり得ると思います。
とはいえ、実際に試してみないと分からないという声もあるかと思いますので、その際は弊社やHPがデモンストレーションお見せできます!
おわりに
使用した感想としては、HPのワークステーションはデスクトップ, モバイルともに品質が高いと感じました。ただやはり、ワークステーション導入コストが気になる方には、そこをカバーできるであろうRGSというソフトが非常に優秀だったので、実際に使用している模様を弊社のYoutubeチャンネルで公開して体感いただこうと考えています。
さらに、HPは他にも様々なソフトウェアソリューションを持っており、実際はハードウェアだけはない、ソリューションベンダーであることに気づきました。
マシン選びに悩んでいる方は、一度HPの Z Workstation を覗いてみてはいかがでしょうか?
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株式会社日本HP
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