札幌市は、ゲーム開発に力を注ぐ都市として、地域産業を活性化させるための様々な取り組みを展開している。例えば、札幌を拠点とするゲーム開発企業と連携し、若手クリエイターを支援するイベント「Sapporo Game Camp」を実施するなど、ゲーム業界の盛り上げに本気で取り組んでいる。そんな札幌で、なぜ多くの企業が拠点を構えるのか、今回はエイティング札幌スタジオのメンバーに、その理由や札幌の魅力について話を聞いた。
エイティング
コンシューマーハードを中心に、様々なプラットフォーム・アクションゲームをはじめとした多岐にわたるジャンルのタイトルを幅広く開発しています。 代表作品がかなり多いので、ぜひ以下の開発実績をご確認ください。(または 8ing 開発実績で検索)
www.8ing.co.jp/works/
会社の垣根を超えた交流が活発
CGWORLD:札幌市に拠点を置いた経緯を教えてください。
亀井康孝氏(取締役/札幌スタジオ所長):エイティングは、2010年に開発体制の強化を考え、札幌スタジオを開設しました。現在は、30人が在籍するスタジオで東京のスタジオと対等な開発力を有したスタジオとして機能しています。
これが実現できたのは、ベテランの存在が大きいです。かつて札幌には、数々の人気タイトルを開発した大手ゲーム会社が存在していました。それらの人気タイトルを開発してきた10年以上のキャリアがあるクリエイターたちが弊社に参画してくれました。他の場所であれば課題となる制作体制の基盤づくりや、教育に関する課題を着実に解決してくれたことで今があります。
札幌市に拠点を置く企業
上記の地図は、札幌市に拠点を置いている今年のSaporo Game Campに参加する企業の所在地を示したもの。①〜⑮の企業の実績、求人情報はこちら
①アドグローブ
②インフィニットループ
③エイティング
④キングポーン 札幌オフィス
⑤グルーブボックスジャパン
⑥ゲームドゥ
⑦サイクロンゼロ
⑧ジーアングル
⑨ジースタイル
⑩セガ札幌スタジオ
⑪トライシス
⑫ハ・ン・ド
⑬pixyda
⑭HiBiGA
⑮ロケットスタジオ
中川 剛氏(札幌スタジオ副所長):また、クリエイター同士、会社の垣根を超えて活発に交流する文化が根付いていますね。例えば、年に2回開催している「札幌ゲームクリエイターズ会」は、次で28回目になります(笑)。ベテランから若手まで気軽に参加できるイベントです。他にも、クラブ活動も活発でサッカーや野球、ゲームなど、各社チーム間で競い合って楽しんでいます。
自然豊かな環境で都心と変わらない仕事ができる
CGW:クリエイターとして、札幌の魅力的なところはどこですか?
中川氏:気候、自然、食べ物ですね。夏でも涼しく、山や川、海が身近なので、気軽に自然を楽しめます。出社前に釣りをしてきたという社員もいました(笑)。プライベートと仕事のバランスが取りやすい場所だと思います。美しい自然やおいしい食べ物など、本物に触れる体験は、作品づくりに活きてきます。リアルなものに触れることで、何がそのものらしさを生み出しているのか気づきを得られます。
亀井氏:冬は雪が大変で……ということも実はそんなになくて(笑)。地下鉄が整備されているので、通勤に影響が出ることもほとんどないです。物価も安いので、札幌市の中心部に住む人が多く、通勤時間自体が都内よりかなり全体的に短い印象です。ちなみに、弊社は東京と札幌の拠点間で、雇用条件や案件の性質に大きな違いはありません。自然が豊かで住みやすい環境で、都心と変わらない仕事ができるという点で、非常に恵まれた環境だと感じています。
CGW:Sapporo Game Campにも参加されるそうですが、参加する意義をどのように考えていらっしゃいますか?
亀井氏:これからの業界を担っていく方々と交流できる貴重な機会だと捉えています。昨年参加した際には、ゲームをつくってみたい、すごいゲームをつくりたいという純粋な参加者の方々の熱意に、私たちも刺激を受けました。
また、ありがたいことにSapporo Game Campをきっかけに、弊社に入社したいと言ってくださる方もいらっしゃいました。非常に嬉しいことです。同時に、より若いクリエイターを受け入れられる体制を広げていきたいとも感じました。札幌で学ぶ若者の多くは、札幌で働くことを希望していますが、採用枠がその需要に追いついていないのが現状です。
「Sapporo Game Camp 2024」10/11(金)~10/13(日)札幌で開催!-参加型イベント、トークセッションなど盛りだくさんの3日間
札幌市が参画するSapporo Game Camp実行委員会は、札幌を基盤とするゲーム開発企業とともに、10月11日(金)~13日(日)までの3日間、第3回目となる「Sapporo Game Camp 2024」を開催する。昨年に引き続き、プロの開発者と一緒にゲーム制作にチャレンジするGame Jam(ゲームジャム)、ゲーム開発の楽しさを体験してもらうプログラミング講座、ゲーム業界のリアルを届けるトークセッションを実施するほか、新たに初心者でも楽しめる3DCGの制作講座が加わった。
COMMENT
本イベントは、札幌のIT人材およびゲームクリエイターの育成と、さらなるエンタメ業界の盛り上げを目的として札幌市と札幌のゲーム会社様ご協力のもと、2022年10月に第1回目を開催いたしました。第2回の開催となった2023年のイベントでは、札幌の現役クリエイターによる「トークセッション」のコーナーを新設した他、第1回の開催時に好評をいただいた「Game Jam」と「プログラミング講座×eスポーツ体験会」も規模を拡大し、3日間で約1,000人の皆様にご来場いただき、盛況のうちに無事閉会することができました。これもひとえに参加者の皆様のおかげと感謝しております。2024年の第3回は、それまでの取り組みに加え、「トークセッション」に日本を代表するクリエイターの方々をお呼びしたり、ゲーム制作に欠かせない「3DCG制作体験」を新たに追加しました。
今後もより多くの方々にゲームに関わる仕事の魅力を伝えていきたいと思います。ご参加いただく皆様には、「Sapporo Game Camp」を楽しんでいただき、本イベントの経験を通じて新たな発見や成長があることを期待しております。参加者の皆様にはお気軽に会場へ足を運んでいただけましたら幸いです。一緒に札幌のエンタメ業界を盛り上げましょう!
札幌で活躍される多くのゲーム開発企業の皆様と共に、「Sapporo Game Camp」の取り組みを推進できておりますことを誠に嬉しく思っております。このイベント等を通じて、ゲームクリエイターという仕事の魅力に気付き成長した札幌の子どもや若い世代が、将来、札幌で活躍してくれることを切に願っています。
自然豊かで過ごしやすい気候の札幌は、クリエイティブな仕事をするには最適な場所です。全国で活躍される皆様にはぜひこのイベントの見学にお越しいただき、札幌のまちに触れ、皆様の才能を発揮する場所として、札幌を候補にしていただければ幸いです。
EDIT_中川裕介(CGWORLD)