
皆様こんにちは、CGWORLDリサーチャーのますく3DCGです。突然ですが、最近XRグラスやVRゴーグルを愛用するクリエイター仲間との会話で、必ずと言っていいほど話題に上がるのが「視界いっぱいの仮想湾曲ディスプレイの魅力」です。Vision ProやMeta Quest 3で作業環境を構築している友人たちは「この没入感は一度味わうと忘れられない」と口を揃えて言います。
そんな中、今年の夏頃にXREAL Oneの仮想超高解像度ウルトラワイドモニタ機能が大きな話題になりました。現実の世界のデスクの上に巨大な仮想ウルトラワイドモニタを展開できるこの機能は、SNSでも「革命的」と絶賛され、多くのインフルエンサーが取り上げることとなりました。
私もご多分に漏れず購入し実際に使ってみると、長時間の装着による発熱と疲労感が課題でした。仮想ディスプレイの快適さは確かに魅力的なのですが、「この体験を疲れずに享受できないか」という欲求から、物理的な湾曲ウルトラワイドモニタへの注目が急激に高まったのです。
私の周囲でも近年徐々に湾曲ワイドモニタに乗り換え始めるクリエイターが増えはじめ、イラストレーターの友人は「作業効率が段違いになった」と言い、映像クリエイターの同僚は「一度使ったら戻れない」と絶賛しています。しかし、正直なところ私は「一過性の流行」程度にしか思っていませんでした。
そんなタイミングでJAPANNEXT様から1ヶ月間の長期レビューのお声がけをいただいたのです。これも何かの縁だろうと半信半疑ながらも49インチの巨大な湾曲モニタを自宅に迎え入れることになりました。
日本品質とコストパフォーマンスを両立するJAPANNEXT
JAPANNEXT(ジャパンネクスト)は、千葉県に本社を置く日本の液晶モニタメーカーです。「高品質な製品を最高のコストパフォーマンスで提供する」というモットーのもと、4Kゲーミングモニタからウルトラワイドまで、幅広い製品を展開しています。製造は中国や台湾で行いながら、企画や品質管理は日本国内で実施することで、価格と品質のバランスを上手く調整しているのが特徴です。
実は私もJAPANNEXTの4Kモニタを10年以上普段使いしていて、非常に信頼に足るメーカーであることは体感していました。
今回レビューするのは「JN-IPS49G144DQ-HSC6-L」。名前だけ見ると呪文のようですが、スペックを紐解くと納得の構成です。49インチのIPSパネルに144Hz/1ms(GTG:OD)対応、Dual WQHD(5,120x1,440)解像度を搭載し、アスペクト比は32:9という超ワイド仕様。さらにUSB-C接続で最大65W給電、sRGB100%カバーでHDRにも対応し、湾曲率はR3800という、まさにクリエイター仕様のオールインワンモニタです。
注目すべきはその価格設定で、同等スペックの他社製品と比較すると明らかに最安クラスに位置しています。一般的に20万円を軽く超える5Kウルトラワイドモニタ市場において、JAPANNEXT製品は優れたコストパフォーマンスを実現しています。
想像を超えた「大きさ」との出会い
届いた箱の大きさに、まず驚きました。一般的なモニタ2台強の横幅があるこの製品は、55インチのテレビの横幅と同じ約120センチという特大サイズ。組み立てて机に設置すると、文字通り視界いっぱいに湾曲した画面が広がります。

組み立ては非常に簡単で、ケーブル類も大量に付属するため、困ることはないでしょう。マウントはVESA規格に対応しているため、モニターアームで使用することも可能です。今回は付属のスタンドで検証していきます。

5,120×1,440という解像度は、2,560×1,440のWQHDを2枚横に並べた計算になりますが、実際には約1,700×1,440のほぼフルHDモニタ3枚分という作業領域を確保できる感覚です。しかも継ぎ目のない一枚画面として使えるのは、マルチモニタ環境では得られない快適さでした。

WindowsもMacも、最近のアップデートで簡単にウィンドウを分割配置できるようになったので、この機能のお陰で、特殊なソフトを入れなくても、5Kウルトラワイドモニタがすぐさま活躍できるOS環境がようやく整ったのも大きいです。

湾曲ディスプレイの合理性
湾曲ディスプレイについての最初の印象は、正直なところ「思ったより湾曲していない」というものでした。しかし、実際に作業を始めてみると、この湾曲率(R3800)の意味が分かってきます。平面モニタでこれだけの横幅を持つ画面を近距離で見ると、端の方が歪んで見えてしまうのです。この適度な湾曲が、人間の視野特性に合わせて画面全体を自然に知覚できるよう調整されていることに気づきました。

JN-IPS49G144DQ-HSC6-Lは、ほとんど歪みを感じません。このモニタの湾曲率R3800とは3.8メートルの半径の円のラウンドであるということ。人間の目が横に2つついていて楕円の視界範囲を持つことを考えても、4m以内の範囲に入れば歪みの少ない視野で究極の没入体験を与えてくれます。
そして、ファーストインプレッションで最も印象的だったのは、ゲームでの没入体験です。アクションRPG不朽の名作『Skyrim』を起動した瞬間、VRに慣れているはずの私がVR以上の没入感を感じました。一般的なVR機器は中心視野には優れているものの、視界が狭まる感覚がありますが、このウルトラワイドモニタは周辺視野をフル活用できます。Questの視野角と比較して体感で2〜3倍程度でしょうか。中央のメイン画面に集中しながら、周辺視野でサブ情報を自然に捉えられる体験は非常に新鮮で病みつきになるものでした。
クリエイティブワークフローの大幅な改善
1ヶ月間の実用テストで最も印象的だったのは、ノートパソコンとの相性の良さです。USB-Cケーブル1本でモニタへの映像出力とノートPCへの65W給電が同時に行えるため、机の上がすっきりと整理されました。

配線まみれの作業環境が、USBCケーブル1本に。これで作業環境が上がっているのだから、信じられませんでした。これがスマート化ということでしょうか。ちなみにJAPANNEXTでは90W給電対応の製品も多数ラインナップしており、より高性能なノートPCでも安心して使用できます。

Blenderでのノード作業では、全てのノードの文字がはっきりと読めるようになり、「もうウルトラワイドモニタなしでは考えられない」と思うほど快適になりました。DaVinci Resolveでのカット編集作業では、その効率の良さに感心しました。タイムライン、プレビューモニタ、カラーパレット、メディアプールを同時に表示しても余裕があり、すべてのパネルが読みやすいサイズで配置できます。
しかし、真の価値を実感したのは液晶タブレットとの組み合わせです。長年液晶タブレットを使用してきた私にとって、これは長年の悩みを解決してくれる構成でした。

従来の環境では、正面の液晶タブレットでペイント作業を行い、サブモニタを上部に配置していました。この配置により、常に上下左右への首の移動が必要となり、長時間作業での首や肩こりの原因となっていたのです。

こちらの画像は実際の作業中の周辺視野を含めた視界範囲に近いものです。ウルトラワイドモニタを導入すると、自然な視界にすべての情報が収まり、最小限の目線移動だけで広い作業領域を活用できるようになりました。
液晶タブレットにはZBrushやNomad Sculptなどのデジタルスカルプトソフトを配置し、ウルトラワイドモニタにはMayaやBlenderなどの統合ソフトとブラウザやAIツールを同時表示。
上下のサブモニタに配置したソフトウェア間でブリッジ連携を行い、下は筆圧ペン、上はマウスによるオペレーションを行います。
この配置により、ペイント作業中でも参考資料の確認やAIとの対話を最小限の頭の動きで行えるようになりました。
人間工学的な観点から見ても、この改善は大きなメリットでした。1日10時間以上の作業でも、以前のような肩首への負担や眼精疲労が明らかに軽減されました。
価値観を変えた1ヶ月の体験
1ヶ月の使用期間を経て、湾曲ディスプレイに対する私の認識は完全に変わりました。当初抱いていた「変わり種」的な印象は消え、むしろ「近距離で使用する大型モニタには湾曲が必要」という考えに変わったのです。
これまで多くのクリエイターが採用してきた「モニタをたくさん増やす=正義」という発想も見直すことになりました。複数のモニタを配置することで確かに表示領域は増えますが、同時に脳のワーキングメモリにも負荷がかかります。メインとサブの役割を明確に分け、セカンドディスプレイでは3ウィンドウまでに制限することで、脳内がすっきりと整理された状態を保てることを発見しました。
ただし、完璧な製品というわけではありません。個人的には縦長の書類作業が多いため、縦解像度がもう少し欲しいと感じることもありました。この点について調べてみると、JAPANNEXTは豊富なウルトラワイドモニタのラインナップを持っており、40インチ21:9で5,120×2,160解像度の製品なども展開しています。他のラインナップも体験し、本当に自分の用途に適した1台を購入したいと思いました。
未来の没入型作業環境への第一歩
この1ヶ月の体験で私が変わったことは、拡張画面は多ければ多いほどよいという考えは必ずしも正しくないということでした。私は普段JAPANNEXTの4Kモニタ3枚をサブモニタとして運用していますが、ウルトラワイド湾曲モニタ1枚はその作業効率を遥かに超え配線まみれの生活環境やクリエイティブワークフローそのものを変えてくれる新しい存在でした。
VRやARが話題の中心にある時代ですが、物理ディスプレイの進化も確実に続いています。JN-IPS49G144DQ-HSC6-Lは、高品質でありながら手の届く価格を実現し、多くのクリエイターにこの体験を提供してくれる製品です。
デスクに向かい、視界いっぱいに広がる湾曲画面を見つめるとき、未来の作業環境がもうここに始まっているのだと実感します。私達が新しい作業環境にトライするとき、JAPANNEXTは強い味方になってくれます。あなたも、JAPANNEXTと一緒に最も確実な生産性向上への投資をはじめてみませんか?
TEXT_坂本ますく