遊技機向けのエフェクト制作Tipsなどを発信する、YouTuber“ぶちゃ”さん。同氏が所属する映像制作会社・エルフィンでは、“つくることに集中できる環境整備”にこだわり、備品から福利厚生にいたるまで様々な側面からクリエイターを支援しているという。その実情についてぶちゃさんをはじめ同社の3名に取材し、実際の制作環境について伺った。
Information
株式会社エルフィン
平成20年設立。遊技機やゲーム、TVアニメにおける映像・アニメーションを企画から制作までワンストップで担う制作会社。代表作に、製作委員会としても参加したTVアニメ『ひぐらしのなく頃に 業・卒』がある。
elf-in.com
映像制作に集中できる環境が、クリエイターの成長を促す
「現役プロが教えるElement 3D講座」や各種エフェクト講座など、実践的な遊技機映像制作のノウハウを発信するYouTuber・“ぶちゃ”さんは、入社以来、After Effects(以下、AE)を中心としたコンポジット業務に携わり、現在は開発部 マネージメントセクション シニアプロデューサーとして教育や採用広報にも携わっている。そんなぶちゃさんにエルフィンの特徴を尋ねると、「全体的に風通しの良い会社です。この格好でインタビューに出られるくらいには(笑)」と返ってきた。
パチスロ映像制作者 │ ぶちゃ
開発部 マネージメントセクション シニアプロデューサー
After Effectsを中心に遊技機映像制作のノウハウを発信するYouTuberとして活動。エルフィンには2014年にコンポジターとして入社。2021年に課長となり、現在は教育や採用広報にも携わる。
例えば、作業中に新しいプラグインやスクリプトが必要となった場合、一般的には稟議書を回した上で購入許可が下りるといったケースが考えられるが、エルフィンではマネージャーが会社から一定の決裁権を与えられているため、比較的小規模なスクリプトなどであれば、相談から1時間ほどで購入・導入が決まることもあるという。ぶちゃさんは「形式張った稟議を重視するよりも、スピード感ある業務体制をつくる方がクリエイティブに良い影響がある、というのが木下 崇社長の哲学です」と話す。
「話が通りやすいから現場も声を上げやすい」。その結果、現場に求められる環境構築が行われている。デスクやチェア、キーボードなど日々のハードウェア環境も充実。エルフィンではフラッグシップ級のオフィスチェアを全員に支給。キーボードは静音性や叩きやすさに定評がある高級キーボード・REALFORCEシリーズだ。ぶちゃさんは「これらの機材を使用することで集中力を切らさずに作業することができ、それによって生産性の向上に大きく寄与しています」と述べる。
そしてもうひとつの大きなトピックを、出向を経て入社したコンポジター・山田一斗氏が語ってくれた。「おそらくどこの会社でも、新人は電話応対や買い出し、会議の準備といった雑務をすることがあると思うのですが、僕が出向を経てエルフィンで働き始めた際、そうした雑務に追われることがなく制作に集中できることに驚きました」。
エルフィンでは、そうした業務はバックオフィス担当やマネージャー陣が担う体制が整っており、クリエイターは本来の制作業務に集中しやすい。山田氏は「ただひたすら良い映像をつくりたいと思っているクリエイターにとって、念願の環境だと思います」と語る。
山田一斗/Kazuto Yamada
開発部 コンポジター
2000年生まれ。同業他社からエルフィンへ出向した後、2024年に入社。出向からの入社は同社にとって初のことだったという。
これら制作環境への投資はすべて、クリエイティブに集中するためだ。そのサポートの仕方もマネジメント層から経営者層まで、しっかりと現場に目を配り、細かなニーズをすくい取っていることが窺える。クリエイターにとって成長しやすい環境を用意してくれるのがエルフィンらしさなのだろう。
安定した進行管理と、ライフステージに合わせた福利厚生
エルフィンのプロジェクト管理体制は業界内でも定評があり、安定した進行管理や引き継ぎにおけるスムーズさを推す声が大きい。その理由についてプロジェクトマネージャーの間部優仁氏は、「当社では管理、企画、映像制作と分野ごとに個別で担当を立て、密に連携しつつ分業できる体制を整えています。管理側がクライアントの声に集中し、かつ他プロジェクトから得たノウハウもチームに下ろしていくことで、現場担当が変わっても安定したパフォーマンスを発揮できるんです」と分析する。
間部優仁/Yujin Manabe
開発部 マネージメントセクション プロジェクトマネージャー
1986年生まれ。前職から遊技機映像制作に携わり、2021年にコンポジターとしてエルフィンに入社した後、コンポジット、ディレクションを担当。2024年より現職。進行管理やクライアント対応を担う。
現場クリエイターの意識も高く、逆に管理職側に対して進行状況を尋ねることも珍しくないという。ぶちゃさんは「エルフィンでは縦割りではなくプロジェクトに応じてチームを編成するため、様々なクリエイターの考えが混ざり合います。方法論が硬直化することはありませんし、別の案件で再編成された際にはそれぞれが経験してきた事例を持ち寄って対応しています」と話す。
このような制作管理体制は、働く側にとっても好循環をもたらす。間部氏は「きちんと家庭と仕事の両立を図りたい」という希望から、5年前に同業他社からエルフィンに転職した。「私が前職で残業が多かったことを伝えると、エルフィンの実際の残業時間がわかるデータを見ながら具体的かつ誠実に説明してもらえ、その段階でまず安心と信頼を覚えました」と、ふり返る。その際「企画職では稀に休日出勤がある」という説明だったが、入社して以来、間部氏が休日出勤をしたことは一度もないという。現在は、時間単位の有給休暇や子どもの急な体調不良にも対応できる看護休暇、アニバーサリー休暇など、ライフステージに応じた制度も整備されている。
間部氏が入社した2021年に、エルフィンは自動車部品製造の大手企業・松尾製作所のグループに参画した。「個人的なライフプランの話になりますが、私の場合エルフィンへの入社のタイミングと、住宅ローンを組むタイミングがちょうど重なりました。転職直後だったのでローンの審査が通るか不安だったのですが、滞りなく進行できて安心しました」(間部氏)。
松尾製作所グループへの参画以後、多様な新規事業起ち上げにも注力しているエルフィンだが、スタッフに対し既存の業務をそのままに新規事業のタスクを渡すことはなく、その都度アサインする業務の整理と適正化を徹底しているという。「エルフィンへの転職以前は、既存の業務に新規の案件が重なり、一人で抱えこんでしまうことも多々ありました。新しいことへの挑戦を継続できる体制づくりは、エルフィンの強みだと感じています」と間部氏は語る。
手厚い教育体制と、風通しの良い社風
新人教育にも、エルフィンらしい手厚さが表れている。入社後は6ヶ月間の教育期間が設けられ、本人に合った先輩社員がマンツーマンで指導を行う。カリキュラムはある程度体系化されており、課題ごとの目的やゴール、評価ポイントも言語化されているため、何を身につけるべきかを見通しやすい。教育全体の方針はぶちゃさんが見ており、担当者による指導のブレを抑えている点も特徴だ。
「クリエイターに沿った内容や説明の仕方を意識しており、定着率の高さからも効果を実感しています。社内からもレベルの高い人材が育ってくれているとの声が挙がっています」と、ぶちゃさんは語る。間部氏も「半年の研修を終えた新人がプロジェクトの中で十分に一人前の働きをしていて、メーカーさんに直接見ていただいても遜色ない映像をつくり上げています」と実感を込めて述べた。
さらに、映像制作者が集まり、ツールの情報交換や制作物の共有を行う“ユニット定例”のほか、AE以外のツールや新しい表現に触れる場も用意。Unreal Engineを活用した映像表現、をテーマとした社内共有回など、研究開発に取り組む機会を設けることで、会社としてクリエイターの成長を後押ししている。「遊技機でキャリアを積んできた方ほど、もう一段上を目指せる環境が整っていると思います」(ぶちゃさん)。
「エルフィンに向いている人は?」と質問を投げかけたところ、山田氏は「映像表現を磨くことに対して貪欲な人に向いていると思います。もしかすると業界外の方からは見えづらいかもしれませんが、遊技機の映像演出は非常にレベルが高いので、ぜひ制作業務を通じてその真髄に触れていただきたいと思います。エルフィンでは若い世代にもなじみのあるIP案件に携われる機会もあります。そうした公式素材に触れながら業務として創作できることも特徴なので、その環境を楽しめる人には合っているのではないでしょうか」と話す。
間部氏は「エルフィンでは業務の細分化や適正化が進んでいるので、ご自身の得意分野を活かせる環境だと思います。自分の目指すものや長所を明確にもっている方であれば、活躍できるのではないでしょうか」と話す。
最後にぶちゃさんは「僕のYouTubeチャンネルを見て面白いと思ったり、わかりやすいと感じてくれた方はきっと水が合うと思います!」と締めくくった。
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TEXT_日詰明嘉
EDIT_藤井紀明/Noriaki Fujii(CGWORLD)、Mana Okubo(CGWORLD)