リモートワークでのCG制作をより快適に。SplashtopとWacom Bridgeで実現する液タブ最適化の新ソリューションについて白組に聞く
CG業界にも普及が進むリモートワーク環境に風穴を開けた「Wacom Bridge」。クリエイティブをもっと自由にするこのソリューションについて、Splashtop Enterpriseユーザーの白組に聞いた。
藤井晴信 氏
白組
システム部 System Coordinator
shirogumi.com
リモートワークで本当にCG制作ができるのかを模索
コロナ禍を期に急速に普及したリモートワーク。特にクリエイティブの現場では、ネットワークの遅延や品質管理の面で課題を抱えていた。そこに有力な選択肢として登場したのが業務用リモートワークソリューションの「Splashtop Business」シリーズ(以下、Splashtop)。白組もまた、Splashtopの実力に触れ導入した企業のひとつだが、制作上の課題はまだ残っていた。制作に欠かせない入力デバイス、液晶ペンタブレット(以下、液タブ)での作業では、微細な遅延でさえも制作に影響していたのだ。その課題を受けて、ワコムとスプラッシュトップによってWacom Bridgeが共同開発され、リモート環境下におけるペン入力の最適化が実現した。
白組はWacom Bridgeの開発段階からテストに協力。主導的役割を担ったのは白組のシステム部、System Coordinatorの藤井晴信氏である。
「直近では当社の新規コンテンツ事業部がアニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!(企画・製作・原作 バンダイナムコエンターテインメント)』を制作したのですが、そのサポートとして機材の検証や選定をしました。この作品もそうですが、キャラクターデザインからレイアウトまで、やはり液タブを使った作業が絶対的に必要です」(藤井氏)。
現場レベルでのリモートワークはその比率が日に日に増えており、現在は5~6割がリモートだという。コロナ禍が訪れるまで全く想定していなかった、突然のリモート対応。藤井氏は「リモートでホントにできるの?っていうところの検証からですから……、大変でした。このチームはリモートでいける、このチームは出社が必要といった、ワークフローに応じた判断に苦慮しました」と当時をふり返る。そうした苦労を経て、現在ではワークフローごとにリモートの適性を把握できている状態だという。
「リモートワークが特に向いているのはツール開発、アニメーション、モデリング。根を詰めて作業するタイプの仕事はリモートのほうが効率が上がるようです。人によるのが背景で、コンポジットやエフェクトはフェーズによってリモートOKとなっています」(藤井氏)。
仕組みが整うに連れて、遠隔地のアーティストとの協業も増えた。現在では、協業スタッフが作業している場所を意識することはほとんどない。「リモートワーク導入前は、新しいスタッフが来るよとなったらあれこれ用意する手間がありましたが、今ではPCとSplashtopを用意しておけば良いだけ。たまに外国人のスタッフもいて、どこからですかと尋ねたら『香港です』、なんてこともあります」と藤井氏は微笑む。
クリエイティブスタッフの選択肢を増やすことが重要
Wacom Bridgeには、手元のペン先の追従遅れをラインで補い、体感遅延を低減させる「Wacom Inkline」機能が搭載されている。この機能は特に、鉛筆感覚で描画することを好むスタッフに好評だという。
「Inklineはタイミングを調整できるんですが、今のところ、鉛筆に慣れているスタッフは一番長い軌跡の設定で使うのが良いようです」(藤井氏)。
リモートワークが増えた白組では現在、一部の座席をフリーアドレス化しているというが、その理由は何か?「当社にはプロジェクトによってモデリングを担当したり、アニメーションを担当したりと役割やチームが変わるスタッフが多いんです。だから、機材をスタッフに紐付けるのではなくて、フリーアドレスの座席に機材を紐付けたほうが都合が良いんですよ」と藤井氏は答えた。スペックの高い機材に、社内の別の場所からアクセスする「社内リモートワーク」にもSplashtopを活用しているという。
最後に藤井氏は選択肢が増えることの重要性を語った。「僕らのようなシステム部は、スタッフの要望に応えられるように選択肢を用意しておくことが大事なんです。作業性と作品のクオリティは相関していますから、常に選択肢を増やすように動いています。Splashtopのおかげで『快適なリモートワーク』という選択肢を提示できています」。
プロのCG制作ワークフローは今、Splashtop BusinessシリーズとWacom Bridgeの登場によって新しいフェーズに突入している。
Splashtop Business Performance
ITの知識もVPNも、難しいセットアップ作業も必要ないリモートアクセスソリューション。Splashtop Business PerformanceはWacom Bridgeが搭載されたSplashtop Businessシリーズのハイエンドプランで、最短で申し込み当日から使用できる。
ユーザーの操作デバイスはWindows、Mac、iOS、Android、接続先の会社PCはWindowsとMacをサポート(Wacom Bridgeは操作デバイス・接続先ともに現在Windowsのみ対応)。クリエイティブ制作であってもハイスペックな操作デバイスは必要なく、60fpsのリアルタイム描画技術によって画面遅延のないストレスフリーな操作性を実現する。
通信は高度に暗号化され、世界的に信頼性の高いリレーサーバーを介して通信されるほか、なりすましや不正アクセスを防ぐ様々な認証方式にも対応し、国際認証SOC2も取得。
リモート環境下におけるペン入力最適化機能「Wacom Bridge」
01.設定の一元管理
リモートワーク環境においても、手元の液晶ペンタブレット、板型ペンタブレットのデバイス設定が反映される
02.切り替え不要
リモートワーク環境と手元の環境どちらでも、設定を切り替えることなくいつでもペンタブレットが使える
03.Wacom Inklineによる体感遅延の低減
リモートワーク環境での描画時に、ネットワークの遅延によって手元のペン先の追従が遅れている部分にラインを補うことで体感遅延を低減させる。補うタイミングは好みに合わせて調整できる
Wacom Bridge 無料トライアル
「Splashtop Business Performance」を使用し、Wacom Bridgeの機能を無料でトライアルいただけます。
お申し込みはこちらお問い合わせ
スプラッシュトップ株式会社
www.splashtop.co.jp
TEXT__kagaya(ハリんち)
EDIT_Mana Okubo(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota