CPUとグラフィックスボードを水冷化し、高速処理と静音性を実現! KASSENの躍進を支える若手CGアーティストがサイコムのデュアル水冷PC「G-Master Hydro X670A Extreme」を検証
様々な分野でVFX制作を手がけるKASSENの若きCGアーティスト金谷健太郎氏が、ハイスペックな映像制作体験を約束するサイコムのCPUとグラフィックスボードに水冷システムを採用したデュアル水冷PC「G-Master Hydro X670A Extreme」をレビュー。各種ツール上での処理速度比較検証から、スペック面以外での注目ポイントまで、様々な角度から語り尽くしてもらった。
ハイスペックな社用PCをさらに上回る使用感
2020年12月設立という若いスタジオながら、映画、MV、CMなど様々な分野でVFX制作を手がけ、高い評価を受けてきたVFXスタジオKASSEN。同社所属の金谷健太郎氏は学生時代からフリーのCG アーティストとして活躍し、2023年KASSEN へと入社。まだ21歳の若手でありながらCMや各種配信コンテンツの制作に携わる新進気鋭の注目CGアーティストだ。
そんな金谷氏が業務で使用しているPC(以下、社用PC)は、AMD Ryzen 9 7950X、メモリ128GB、NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti 12GBと、かなりの高スペックマシンだ。しかし今回の検証PC、 G-Master Hydro X670A Extreme(以下、検証PC)と比較すると「社用PCも良いスペックのマシンですが、遅く感じるほどでした」(金谷氏)と、明らかに体感できるほどの差があったという。
今回の検証PC はグラフィックス性能が求められる処理に対応するため、 グラフィックスボードはNVIDIA GeForce RTX 4090 24GBを搭載、さらにサイコムオリジナルの水冷化仕様となっており、長時間のレンダリングでも速く安定的で、しかも静かな動作が可能になっている。さらに最新の超高速SSDとしてCrucial T700 CT1000T700SSD3 [M.2PCI-E Gen5 SSD 1TB] を搭載、レンダリングやプロジェクトの読み込み速度向上に寄与している。
「もともと社用PCもかなりスペックの高いものが用意されているのですが、今回の検証を経て、VRAM(GPU メモリ)は多ければ多いほどいいんだなということが体感できました。Blenderは他のCGソフトと比較すると、高解像度のテクスチャや多数の画像読み込みでクラッシュしてしまうことが多く、Blenderアーティストはできるだけテクスチャのリソースを削減することを重視しているのですが、VRAMが多いと動作が安定してクラッシュを回避できますし、作業中の操作の快適性も明らかに上がりました」(金谷氏)。
スペック面だけではない 細かな気配りがもたらす快適性
また、金谷氏が感動したのはスペック面だけではないという。
「もともとサイコムさんのPCは筐体がカッコいいという部分で認識していたんですが、今回実機を触らせてもらって、中の配線がとてもキレイなことに驚きました。自分でもPCを組んだことがあるんですが、配線にはとても苦労したんです。プロに任せるとこうなるのかと感動しましたね。それに静音性も高く、排熱も少なくて、普段使いで気になる細かい点までケアされているところが素晴らしいと思いました。実は自宅で簡易水冷CPUクーラーを搭載したPCを使っているのですが、今回検証したサイコムさんのPCの方が圧倒的に静かで、ひとくちに水冷と言っても静音性には大きな差があるのだと気づかされました。それから筐体のフロントにUSB Type-Cのポートがあるのも嬉しいポイントですね」(金谷氏)。
オリジナルの水冷化仕様GPUとSSDがもたらす圧倒的な処理速度
今回は金谷氏の社用PCとサイコムの検証PCを使って、NukeX、Blender + Redshift、Metashapeという3種類の処理速度の検証を行なった。結論から言えば、どの検証においてもサイコムの検証PCがパフォーマンスの高さを見せつける結果となった。
「社用PCもかなりの高スペックなので、正直なところ大した差はつかないと思っていたのですが、この結果には驚きました。特に大きな差を感じたのはBlender + Redshiftのレンダリングです。レンダリング時間そのものにも大きな差がつきましたし、処理中のGPU温度も検証PCのほうが驚くほど低い温度で推移していました。水冷GPUと最新SSDの組み合わせがこの結果をもたらしたのでしょう。様々な作業に快適性をもたらしてくれると思いますが、特にRedshiftなどを使ってGPUベースのレンダリングをされる方にはとてもオススメできるマシンです」(金谷氏)。
G-Master Hydro X670A Extreme カスタマイズモデル(検証PC)
- CPU
AMD Ryzen 9 7950X(16コア32スレッド)
- GPU
オリジナル水冷化 NVIDIA Geforce RTX 4090 24GB
- メモリ
DDR5-4800 128GB(32GB×4)
- SSD
Crucial T700 CT1000T700SSD3 M.2 PCI-E Gen5 SSD 1TB
- OS
Windows 11 Home 64bit
最新情報はこちら
www.sycom.co.jp/custom/model?no=000892
KASSEN金谷氏の社用PC
- CPU
AMD Ryzen 9 7950X(16コア32スレッド)
- GPU
NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti 12GB
- メモリ
Samsung M323R4GABB0-CQKOL 128GB(32GB×4)
- SSD
Seagate FireCuda 530 ZP1000GM30013 M.2 PCI-E Gen4 SSD 1TB
- OS
Windows 10 Pro 64bit
TOPIC1:Blender+Redshiftによるレンダリング速度比較
Blenderで制作した350ml缶のテストシーンを、それぞれのマシンでRedshiftを用いてレンダリングを行い、その速度を比較したもの。結果は社用PCが8分1秒を要したのに対し、検証PCでは5分11秒で完了し、2分50秒の短縮(所要時間35%減)を実現した。
「Blender+Redshiftにおいて特に大きく差が生まれたのは、テクスチャを使用したシーンのレンダリング時間です。通常のマテリアルのみのレンダリングではそこまで大きな差はなく、テクスチャを使用したシーンにその差が顕著に出ました。この結果を生んだ要因として、VRAMの容量差はもちろんですが、レンダリング時にキャッシュをつくる先であるSSDの性能差が大きく関わったのだと思います」(金谷氏)。
TOPIC2:NukeX CopyCatによるマスク作成速度比較
金谷氏も最近よく試しているという、機械学習によって手作業を自動化できるNukeXのCopyCatノードを用いて、手間のかかるマスク作成作業のスピードを比較したもの。結果は、社用PC(GeForce RTX 4070 Ti 12GB)では46分12秒、検証PC(GeForce RTX 4090 24GB)では37分48秒と、8分24秒の短縮(所要時間18%減)を実現。両機のVRAM容量の差やCUDAコア数の差がこの結果に表れたようだ。
「まずプレビュー速度が圧倒的にちがいました。CopyCat自体がけっこう重いツールなのですが、検証PCでは快適に動作し、もっさり感もありませんでした」(金谷氏)。
TOPIC3:Metashapeによるフォトグラメトリー速度比較
Metashapeを用いて、写真のアラインメント、ポイントクラウド構築、メッシュ構築という、いずれも重い処理を最高品質で生成したときに要した時間を比較したもの。詳細な数値は下記のグラフを参照してほしいが、いずれの処理においても大幅な処理時間の短縮と、処理時のGPUの最高温度の低下が確認できた。
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TEXT_オムライス駆 / Kakeru Omuraisu
PHOTO_大沼洋平 / Yohei Onuma
EDIT_藤井紀明 / Noriaki Fujii(CGWORLD)、Mana Okubo(CGWORLD)