3DCGクリエイターがノートPCを選ぶ際、最も悩ましいのがレンダリング性能とモビリティのトレードオフのはず。マシンパワーを妥協したくないが、筐体サイズや予算の壁が高くなる。さらには急成長を続けるAIへの対応を考えるとマシンの買い換えタイミングも気になるところ……。

そこで注目したいのが、GIGABYTEの最新クリエイターノートPC「AERO X16」シリーズ。AMD Ryzen AI 300シリーズプロセッサとNVIDIA GeForce RTX 50 Series Laptop GPUsを搭載したCopilot+ PCなのでAI関連にもしっかりと対応している。重量級のCG・VFXシーンでも実用に耐えながら、重量わずか1.9kg、最薄部1.67mmという本機の実力を、FUKUPOLYこと福田泰崇氏に試してもらった。

記事の目次
    FUKUPOLY(福田泰崇/Yasutaka Fukuda)
    2000年に武蔵野美術大学造形学部建築学科を卒業。学生時代から独学でVFXを学び、映像作家、CGアーティストとして活動中。2014年に株式会社FUKUPOLYを設立。企業CMやミュージックビデオなどの3DCG制作や、3Dプリンタを利用した立体造形、ライブ映像制作など幅広い分野で活躍している。
    XFUKUPOLY公式サイト

    つくること自体が楽しい。そんな創作欲を存分に発散できるのが、Pwnisher主催の「3D Community Challenge」!

    まずはFUKUPOLY氏が最近手がけた作品や現在の制作スタイルを聞いてみた。

    ——今日はよろしくお願いします。FUKUPOLYさんをインタビューさせていただくのは初めてなので、まずは自己紹介からお願いします。

    FUKUPOLY/福田泰崇氏(以下、FUKUPOLY):
    よろしくお願いします。私と3DCGとの出会いは美大生のときでした。美大では建築を学んでいたので今でいう3Dパース的なものから取り組みはじめたのですが、3DCGクリエイターとしてのキャリアのスタートはある芸術家の方が作品をつくるに際しての3DCGによる事前検証用のデータ作成でした。

    ——てっきり最初からCMやテレビ番組などのエンタメ産業で活動されていると思っていたのですが、わりと硬派なジャンル(?)から始められていたんですね!

    FUKUPOLY:
    (笑)。プロとして活動し始めたときからフリーランスだったので、今でも手がけているCMやテレビ番組向けのCG制作にもわりと初期から携わっていました。

    今でもCMやTV向けの3DCG制作が多いですが、ライブイベントの幕間に流すサイネージ的なものではディレクションまで手がけることもあります。そんなときは絵コンテも描きますよ。

    2025年の『R1グランプリ』プロジェクトにて、FUKUPOLY氏は本戦に向けたコンセプト映像のCGカット、番組のオープニング映像のCG、キービジュアルのCG、などのCGディレクション、CG制作を担当した

    ——ディレクションもされるとうかがって、FUKUPOLYさんがオリジナル作品もコンスタントに発表されていることにもつながっているのではないかと思いました。いかがでしょうか?

    FUKUPOLY:
    ディレクターとしての活動を増やすためにオリジナル作品をつくり始めたわけではありませんが、自分の性分として創作というプロセス自体に惹かれています。

    つくること自体が楽しいので、時間を見つけてはあれこれやってみたくなる。そのせいか、作品への評価はあまり気になりません(笑)

    ——まさにクリエイターとの鏡かと。最近ではどのようなオリジナル作品をつくられましたか?

    FUKUPOLY:
    Pwnisher(パニッシャー)こと、クリントン・ジョーンズ/Clinton Jonesさんが主催されている「3D Community Challenge」へ積極的に参加するようにしています。このコミュニティチャレンジは2020年の「PARALLEL DIMENSIONS」が初開催、先日の「Rampage Rally」が11回目の開催でした。私はこれまでに6回参加して、そのうちの3回でTOP100入りすることができました。

    ——素晴らしい! 毎回数千人規模で世界中から凄腕のCG・VFXアーティストが参加していて、回を重ねる度に難易度が上がっている印象なので。ただ、日本のアーティストはまだ参加が少ない気がしてもったいないですよね、英語の壁というか……。

    FUKUPOLY:
    そうですね。私も翻訳ツールを利用しながら参加していますが、毎回テーマとルールが明確に定められているので、大喜利を楽しむ感覚でクライアントワークに必要な技能を鍛えることができるので、今は個人制作の中でも最優先で取り組んでいます。

    今年8月に開催された3D Community Challenge「Rampage Rally」。FUKUPOLY氏はアメリカンダイナー店内にて、ハンバーガーが調理されていく過程を乗り物のジャンプシーンに見立てるというユニークなアイデアで勝負。見事、TOP100入りを果たした

    ——プロとして活動しながら、オリジナル制作を行うことに多くの人が苦労していると思うのですが、FUKUPOLYさんはどのように両立させているんですか?

    FUKUPOLY:
    仕事も個人制作も平日に行うようにしています。平日は毎朝7〜8時頃から仕事をやり始めて、暗くなったら個人制作をする感じです。だから休日は基本的にCGや映像制作をしていません。

    ——なるほど。どちらも明確に作業時間を区切ることで、限られた条件下で最良のものをつくり出すということを日常的に行われているわけですね。夜になってから調子が出てくる身としては肩身が狭いです……。

    FUKUPOLY:
    その意味でも3D Community Challengeが良いんですよね。完全に自由だと「何をつくろう?」と考えることに時間がかかってしまったり、期限がないといつまでも完成しないという問題が起こりがちですが、お題が決まっているし、毎回テンプレートが配布されるのですぐに作り始めることができます。

    あとはDiscordもあるし、期間中は他の参加者のSNS投稿も活発になるので勇気づけられる人も多いと思うのでオススメですよ。

    薄くて軽いのに高性能。ノートPCに対する印象が変わった!

    ——ここからは今回試してみていただいたGIGABYTE AERO X16の感想を聞かせてください。そもそものところでFUKUPOLYさんはノートPCを使われていますか?

    FUKUPOLY:
    使っていますが、CGや映像制作の用途では使っていません。もちろん自宅で作業をすることもありますが、ノートPCから仕事場のメインマシンにリモートアクセスするかたちですね。だから今使っているノートPCも薄型のスペック的にはそれほど高性能ではありません。

    実は今春に骨折をしてしまい、10日ほど入院したときがありました。幸い手は動かせたので、そのときも病室からノートPCでメインマシンにリモートアクセスして仕事をしていました(笑)

    ——それは大変でしたね(汗)。その意味では、AERO X16のような高性能ノートPCを使われたのはひさしぶりでしたか?

    FUKUPOLY:
    だから、びっくりしました! とても薄くて軽いのに、Blenderで普通に作業できてしまったので。

    昔、高性能ラップトップを買ったことがあるのですが持ち運ぶには重すぎて結局、据え置きで使っていました……。それに対して、AERO X16は気軽に持ち運びたくなりますね。バッテリー容量も76Whあるので持ちが良かったです(※バッテリー駆動時間は、最長12時間)。

    GIGABYTE AERO X16 Copilot+ PC

    商品の詳細はこちら。
    www.gigabyte.com/jp/Laptop/GIGABYTE-AERO-X16-EG61H
    評価機の主要スペック
    型番

    GIGABYTE AERO X16 1WH93JPC64DP

    OS

    Windows 11 Pro (GIGABYTE recommends Windows 11 Pro for business.)

    CPU

    AMD Ryzen™ AI 7 350 プロセッサー(50 TOPS)

    GPU(グラフィックス)

    NVIDIA® GeForce RTX™ 5070 Laptop GPU(8GB GDDR7、ブーストクロック 最大 Graphics Power 85W 798 AI TOPS)

    ストレージ

    1TB M.2 PCIe Gen4 SSD(PCIe Gen4x4)

    RAM(メモリー)

    DDR5-5600 16GB*2 合計32GB(空きスロット 無し)※最大64GB

    ——AERO X16は薄型&軽量なのに16型という、ディスプレイの広さも特長です。

    FUKUPOLY:
    画面表示もクリアで見やすいですね。16型でノングレアのIPSディスプレイ(sRGB100%カバー)だから、CG・映像制作用途に向いていると思います。

    解像度もWQXGA(2,560×1,600)あるのでDCCツールのUIも問題なく表示できます。ベゼルが細いから実際の表示サイズよりも大きく見える印象なところも気に入りました。

    AERO X16は、4面スリムベゼルを採用することで画面占有率(画面と本体の比率)92%を実現している。また、全てのディスプレイは鮮やかな色を再現できるように出荷前にしっかりと調整されている(写真提供:FUKUPOLY)

    ——筐体デザインやインターフェイスはいかがでしたか?

    FUKUPOLY:
    デザインがシンプルで格好良いですね。

    キーボードの打鍵感も気に入りました。クリック感が快適でタイピングがしやすかった。それと、タッチパッドの面積が広いのでマウスを使わなくても細かい操作が色々できそうですね。

    I/Oについては、HDMI 2.1とEthernet(RJ-45)があるところにゲーミングPCらしさを感じました。USB端子もこれだけスリムなのにType-Cが1口、Type-Aが3口(3.2 Gen1×2、2.0×1)あるのは充実していると思いましたが、欲を言えばType-Cがあと1口(計2口)欲しかったです。

    AERO X16は、大きなキートップ(前世代比10%)と最適化された押下圧カーブを備えた「ゴールデンカーブキーボード」を搭載。快適な打鍵感と静音性を両立している(写真提供:FUKUPOLY)

    パフォーマンス検証<1>Blender

    ——今回はどのような検証をされましたか?

    FUKUPOLY:
    先ほどお話しした3D Community Challenge「Rampage Rally」と、その前に参加した「Chasm's Call」のBlenderシーンファイルを使って実際によく行う操作を試してみました。

    お借りしたモデルは、AMD Ryzen AI 7 350 プロセッサー(50 TOPS)とNVIDIA GeForce RTX 5070 Laptop GPUを搭載しているだけあって、Blenderの作業を快適に行えました。特に「Rampage Rally」はかなり重いシーンになるのですが、問題なく扱えました。

    多少コマ落ちしますが、グレーモデル表示であればリアルタイムプレビューしながら作業できるので効率性が上ると思いました。

    Blenderシーンのリアルタイムプレビュー(グレーモデル)
    TOP100入りを果たした3D Community Challenge「Rampage Rally」応募作品のシーンファイル。FUKUPOLY氏いわく、かなり重いデータとのこと
    CyclesレンダラーによるBlenderシーンのリアルタイムプレビュー
    TOP100入りを果たした3D Community Challenge「Rampage Rally」応募作品のシーンファイル

    Cyclesレンダラでカラーやシェーディング表示をONにするとさすがにリアルタイムプレビューは難しかったのですが、普段もグレーモデル表示でレイアウトやアニメーション作業を行なっているので問題ありません。

    むしろ、これだけスリムなラップトップで普段の感覚に近い状態でBlenderの操作ができることに驚きました。

    Blenderシーンのリアルタイムプレビュー(グレーモデル/Cyclesレンダラー)
    3D Community Challenge「Chasm's Call」応募作品のシーンファイル
    2025年2〜3月に開催された「Chasm's Call」応募作品の完成ムービーとブレイクダウン。近景が規定を満たしていないと判断されて選外になってしまったが、Blender本社の目に止まり、公式リールに掲載された

    パフォーマンス検証<2>LiquiGen

    Blender以外には、LiquiGenによる流体シミュレーションとEmberGenによるボリューム系シミュレーションも試しました。

    どちらも快適に操作ができましたが、特にLiquiGenでは「Rampage Rally」で作ったケチャップの重い流体シミュレーションでも大きな遅延がなかったので感心しました。

    RTX 5070の恩恵だと思いますが、これだけプレビューが滑らかなら効率良くトライ&エラーできるはずです。

    LiquiGenのリアルタイム流体シミュレーション&プレビュー
    TOP100入りを果たした、3D Community Challenge「Rampage Rally」参加作品に用いられたケチャップのシズル素材

    高性能と機動性を両立した、理想のクリエイティブ環境

    ——最後に全体的な感想をお聞かせください。

    FUKUPOLY:
    今回、AERO X16を使ってみて高性能ノートPCに対する印象が変わりました。

    先ほども言いましたが、これだけ薄型&軽量なのにバッテリーの持ちが良いから気軽に持ち出せます。3DCG作業をがっつりやりたいときはACを接続すれば問題ないので、フレキシブルな使い方ができると思います。

    ほかにも印象的だったのが、高負荷の処理が行われている最中もファンの音があまり気にならなかったことです。通常の操作ではファンの音はほとんど聞こえませんでした。冷却性だけでなく静音性にもこだわりを感じました。

    仕事場で使うときもメインのデスクトップPCで重いレンダリング中に、AERO X16で物理シミュレーションやコンポジット作業を進めるといった連携も可能になるはず。

    自分のように常に複数のアプリケーションを同時に起ち上げるスタイルのクリエイターにとって、GIGABYTE AERO X16は確実に効率性を高められるノートPCだと思います。

    GIGABYTE AERO X16は気軽にも持ち歩きたくなるノートPCだと、FUKUPOLY氏

    お問い合わせ先

    日本ギガバイト株式会社

    www.gigabyte.com/jp



    商品の詳細はこちら。

    www.gigabyte.com/jp/Laptop/GIGABYTE-AERO-X16-EG61H

    INTERVIEW & EDIT_NUMAKURA Arihito
    PHOTO_弘田 充