2024年7月にリリースされる『ファイナルファンタジーXIV』の最新拡張パッケージ『黄金のレガシー』のティザートレーラーが公開され、新たな冒険へといざなうハイスペックなビジュアル表現が大きな話題を呼んだ。メイキング第1回は、先端のデジタルヒューマン技術やエイジング表現が盛り込まれているキャラクター篇をお届け!
Information
シーンの環境を合わせて見た目の印象を揃える
本作では実際の人物を社内スタジオで撮影してリファレンスにし、CGシーンの中で実写と同じライティングのスタジオを構築することでキャラクターの質感がアップデートされた。テクスチャは毛穴やシワなどが描き足されてディテールアップされ、より高精細になっている。特に光の戦士は長い船旅を経ていることから、日焼けや皮のむけ方なども詳細に検討され、髪も長旅で傷んだ感じを出しつつ、汚らしく見えないよう上品にまとめられている。さらに、顔の表面の皮膚だけではなく、目や口の中の歯、舌もディテールアップが施された。
衣装はそれぞれの部分ごとにMaya、MarvelousDesigner、ZBrushを適材適所で使い分け、テクスチャはSubstance 3D Painterで統一されている。衣装のテーマはエイジングで、レザーの傷やシワ、擦れはもちろん、シャツの襟には毛玉まで加えられ、これによりCGっぽさを消すことをねらったという。
また、キャラクターの見え方に統一感を出すため、本作ではゲームモデルをムービーの環境に持ち込み、比較しながらムービー用のモデルが制作された。目の虹彩などゲームエンジンでないと表現できない特殊なシェーダは、Mayaのシェーダで再現。特にまつ毛は板ポリからHairに変更されているため、印象を合わせるのに一番時間がかかった部分だという。
「今までもゲームのデータを提供してもらってムービーを制作していましたが、ここまでこだわったのは初めてでした。今回は全キャラで環境を合わせて比較しながら制作しています」(リードキャラクターモデリングアーティスト・宮尾周司氏)。
巨大モンスターは、リグを参考に関節位置に注意しながら骨格を作成した後、その上に筋肉がモデリングされている。「主の表面の隆起を見つつ、自分の解剖学の知識やトカゲや恐竜の骨格を参考にしました。空想上の生物なので、想像した筋肉も入れています」(キャラクターモデリングアーティスト・高瀬庄治氏)。
光の戦士のR&D
質感のアップデート
日焼けした肌の検証
日焼け肌の検証。本作では長い航海で日焼けしたというような物語を追加するという目的があったため、画像のように日焼け、汗ばみ、汚れ、皮のむけ方で多くのバリエーションが出され検討されている。
新しい髪型への変更
新ジョブ・ヴァイパーの衣装
SIMを意識した衣装モデル
テクスチャによる経年劣化表現
巨大モンスターの3Dモデル
筋肉SIM用のつくり込み
ゲームモデルとの整合
エレンヴィル
ナッツイーター
マムージャ族
ムービーでは、ゲームモデルを参考にしつつクオリティアップが施された。装飾品の留め方など、より本物に見えるようなディテールも追加されており、説得力を増すことにつながっている。
「『ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー』ティザートレーラー 第2回アニメーション篇」につづく。
CGWORLD 2024年3月号 vol.307
特集:『ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー』ティザートレーラー
判型:A4ワイド
総ページ数:112
発売日:2024年2月9日
価格:1,540 円(税込)
TEXT _石井勇夫(ねぎデ)
EDIT_藤井紀明 / Noriaki Fujii(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada