Cygames企画によるオリジナルロボットアニメ『勇気爆発バーンブレイバーン』。監督の大張正己氏が得意とするロボットアニメらしいアクションと熱血なストーリーで大好評を博している。今回はアニメーション制作を担当しているCygamesPicturesのCG部に取材した。
アドリブにも対応し大張監督らしいアニメーションを目指す
SNSやファン界隈で「オーバリズム」と表される大張監督独特のポージングは、意外にも3DCGでも無理せずにつくれるという。「少しスケールで伸ばすなどして、様式美を拾っていくと無理をしないでつくれます。それよりも、実はアニメーションのタイミングやカメラワークなど、動きの中に『オーバリズム』につながるものがあると思います」と大張監督のファンでもある中野氏は本質を語る。
リグはアニメーターがポージング優先で作業できるよう、パーツをカットごとに自由に動かせるように組んである。例えば変形シーンは、変形用のモデルを用意しておらず、既存のモデルを工夫してつくり上げた。もともと変形を詳細まで詰めたキャラクターデザインをしていないため、大張監督のラフなコンテを基にアニメーターが独自の変形と演出を加えてつくっている。
総じて大張監督から3DCGへの信頼は厚く、チェック時に「良いですね!」と高評価を受け、カット自体をアドリブで依頼されることも多かったという。これはCG側が監督の嗜好を深く理解して、多くの提案をしていったからだろう。良いカットづくりには、監督へのリスペクトが大事だという好例だ。
9話:バーンブレイバーンへの合体
9話で登場したバーンブレイバーンへの合体シーン。
アイキャッチのブレイバーンのポージング
1話:ゾルダートテラーを連携して追い込むカット
1話のゾルダートテラーを3機のティタノストライドが連携して追い込むカット。打ち合わせ時に「コンテ通りでなくていいので尺いっぱいで連携をとってる動きが見せられると嬉しいです!」「3機がかりでようやく戦える印象を与えたい」と大張監督から依頼を受け、アドリブで芝居を任されたカットだ。担当したのは3DCGリードアニメーター・岩垣澄快氏。「アドリブと言われて、はじめは正直困りました。参考になりそうなカットや、良いカメラワークのシーンを探して、まずメカの場所にブロックを置いてカメラを付ける検証からからはじめました」とのことだ。
9話:スミスの後ろで踊るクーヌスのカット
このカットはクーヌス役の声優、田中敦子氏のプレスコがあった上で、アニメーションを付けたという。3DCGを担当した3DCGアニメーターのQin Ziao/チン ザオ氏は「尺が長かったのもあり、田中さんの快演に影響されてアドリブで芝居を大きく足しました。チェック時に大張監督と演出の斉藤良成さんに『すごく良いです!』と言っていただけたカットです」とふり返った。演出的には宝塚を意識して踊らせるようなアニメーションにしたということだ。チン氏は昨年に新卒で入社したとのことだが、本作ではアドリブを任されるまでになったという。
CGWORLD 2024年7月号 vol.311
特集:とことん深掘り! アニメの3Dレイアウト
判型:A4ワイド
総ページ数:112
発売日:2024年6月10日
価格:1,540 円(税込)
TEXT_石井勇夫 / Isao Ishii(ねぎデ)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota
EDIT_海老原 朱里 / Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada