CGWORLD編集部では以前、クリエイター向けワークチェア「LiberNovo Omni」のレビューを掲載している。今回、同ブランドが2026年度の新製品発表会と体験会を東京で開催し、新製品を含む複数モデルを一度に試せる機会が設けられた。

PCやGPU、モニター、ペンタブレットには惜しまず投資するクリエイターも、椅子の選定だけは後回しになりがちではないだろうか。しかし長時間のデスクワークが前提の制作現場では、座環境の質が集中力や身体への負担に直結する。「クリエイターは腰が大事」というのは、経験を積むほど実感を伴って迫ってくる話だ。

今回、本記事ではLiberNovoがクリエイター向けを謳う理由を、実際の体験とあわせてレポートする。

記事の目次

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    LiberNovoとは

    LiberNovoは、長時間デスクワークにおける身体への負担軽減を目的としたエルゴノミックチェアブランド。最近、各種のSNSで数多くの投稿がみられるので、一度は目にしたこともあるだろう。

    「座り心地の良い椅子」を作るのではなく、長時間のデスクワークで発生する身体への負担を、椅子の構造や機構によって軽減していくことを設計の軸に置いているのが大きな特徴だ。

    現在は世界70カ国以上で展開し、エルゴノミックチェアの累計販売台数は5万台を超える。国内ではMakuakeでの先行販売でも実績を持ち、クリエイターや長時間作業者から注目を集めている。

    今回発表された4モデルのラインナップ

    今回の新製品発表会では「Omni Pro」「Omni SE」「Maxis Airflow」の3新モデルに加え、従来モデルの後継にあたる「Omni Gen」が紹介された。

    LiberNovo Omni Pro
    従来のLiberNovo Omniの上位モデルに位置づけられ、新たに座面通気機能「AirFlowモード」を搭載。素材面も強化されており、長時間作業時の快適性を重視するユーザー向けだ。

    LiberNovo Omni SE
    電動機能を省き、回転ノブ式の手動ランバーサポートを採用したモデル。腰まわりのサポートを確保しつつ、価格を抑えた導入しやすい選択肢となる。

    LiberNovo Maxis Airflow
    大柄な体格向けに設計されたモデルで、適合身長178〜200cm、耐荷重最大181kg。ヘッドレスト・背面・アームレスト・座面奥行きなど各部を大柄なユーザーに合わせて見直している。

    LiberNovo Omni Gen
    従来のLiberNovo Omniの後継となる標準モデル。AirFlowは非搭載だが、今回のシリーズアップデートを取り込んだ電動ワークチェア。

    リニューアルの大きなポイント:5段階リクライニングの導入

    今回のリニューアルで大きなポイントのひとつが、リクライニング機能のアップデートだ。従来の4段階から5段階へと変更され、角度は105°・115°・125°・135°・160°の5ポジション。

    105°は集中作業向けの直立に近いポジション、115°は資料確認やアイデア整理など思考作業向き、125°は負担を分散させながら画面に向かう長時間作業向け、135°はよりリラックスした作業や映像視聴向け、160°は仮眠や作業の合間の休息向けという設計だ。

    CG制作においては、モデリングやペイント作業、プレビュー確認、レビュー待ちなど、同一セッション内でも必要な姿勢が異なる。そのたびに椅子側の角度を切り替えられることは、長時間の作業セッションで積み重なる疲労の軽減に寄与するだろう。

    バックレストとランバーサポートの構造

    また、腰痛経験者にとって、サポート位置の細かな調整可否は椅子選びの重要項目になるだろう。

    LiberNovo Omniシリーズでは共通の特徴として、「フレックスフィットバックレスト」がある。8枚のパネルをジョイント接続し、14のデュアル接続ポイントと16の球体ジョイントにより、背中のカーブや動きに追従する構造だ。

    背中を面で押さえつけるのではなく、身体の動きに合わせて形状が変わるため、長時間着座でも背面との密着感が維持されやすい。

    電動ランバーサポートはモーター駆動で腰まわりのサポート位置を無段階調整できる。腰を支える位置が少し変わるだけで座っているときの楽さは大きく変わるため、この調整の精度は腰痛経験者にとって特に重要な項目だ。

    そして、この電動サポートを活かした「Omniストレッチ」という機能もある。これは5分間の電動ストレッチで、長時間作業で溜まった疲れをリフレッシュするためのものだ。

    理想を言えば、長時間作業の合間には立ち上がってストレッチをした方がいい。だが、現実にはつい座り続けてしまう。レンダリングを待ちながら別作業をしたり、レビュー後にそのまま修正へ入ったり、オンライン会議が続いたりする。

    そういうとき、椅子側に身体をリセットするきっかけがあるのはありがたい。レンダリング待ち、レビュー後、長時間の打ち合わせ後など、作業の区切りに使うと良さそうだ。

    ヘッドレスト・アームレストの改良

    その他、今回のリニューアルではヘッドレストの調整幅が拡大し、高さ・前後位置・角度をより幅広い体格に合わせやすくなった。映像チェックやプレビュー確認など手を止めて画面を見る時間が多い制作作業では、首の支えの質が肩や首への疲労蓄積に影響する。

    アームレストの調整幅が広がっている点も重要だ。アームレストの位置が高すぎると肩が上がり、低すぎると腕が浮く。どちらも長時間続くと疲労につながる。腕の位置が合うと、肩の力が抜ける。これは地味だが、制作環境ではかなり重要なポイントだ。

    CG制作では、マウス、ペンタブレット、キーボード、左手デバイスを行き来する。特にペンタブレットや液晶タブレットを使う作業では、肘や前腕の支え方が作業のしやすさに直結する。アームレストの調整幅が広がったことは、デスク環境に合わせやすくなるという意味で実用的なアップデートだと感じた。

    LiberNovo Omni Proの注目機能:AirFlowモード

    実際に座って最も印象に残ったのが、Omni Pro搭載の「AirFlowモード」だ。通気性の高い5層構造の座面クッションと、内蔵された吸気式電動ファンによって座面の蒸れと熱をコントロールする機能で、低風量モードでは最大24時間駆動する。着座検知センサーにより、離席時はファンが自動停止する設計だ。

    体験時の印象としては、風量を強く主張するタイプではなく、座面下で空気が静かに動く程度。動作音も振動も、作業の妨げになるレベルではなかった。夏場の在宅環境や空調の届きにくい作業室では、長時間の着座で腰まわりや太もも裏に熱がこもりやすい。そうした蒸れによる小さな不快感の蓄積が、気づかないうちに集中力を削っていく。

    AirFlowは、涼しさを演出する機能というより、長時間座り続けることで発生する不快感を減らすための機能だと感じた。

    プロユースを意識した素材選び

    座面・背面にはデンマークのGabriel社製「Atlanticファブリック」を使用。11万回の耐摩擦試験をクリアし、通気性・耐火性・OEKO-TEX STANDARD 100認証も取得している。
    制作会社やスタジオに導入する場合、座面や背面のヘタり、ファブリックの摩耗、キャスターまわりの安定感は、長期使用で効いてくる部分だ。

    実機を見ても、Omni Proは単に“快適そうな椅子”というより、プロユースの作業道具としての存在感がある。白系モデルはスタジオやギャラリー的な空間にも映えそうだし、黒系モデルは編集室や制作会社のオフィスにも馴染みやすい。

    LiberNovo Omni SE:現実的な複数台導入の選択肢として

    LiberNovo Omni SEは手動ランバーサポート採用でシンプルな構成のモデルだ。ノブ式で無段階調整が可能なため、初期セットアップで自分に合う位置を決めてしまえば、日常的な使用で不足は生じにくい。

    電動ストレッチやAirFlowは必要ないが腰まわりのサポートはしっかりほしい、という層の入口として機能するモデルだ。在宅環境への個人導入はもちろん、学校や制作会社での複数台導入にも現実的な選択肢になる。

    体験を通じて感じたこと

    今回の体験会で改めて感じたのは、椅子はスペック表だけではわからないということだ。

    ランバーサポート、リクライニング角度、ファブリック、通気性、耐荷重。それぞれの情報は重要だが、最終的には「自分の身体がどう感じるか」が大きい。

    今回の体験では特にOmni ProのAirFlowモードとフレックスフィットバックレストの追従感が印象に残った。いずれも即効性を主張する機能ではないが、長時間の制作セッションで蓄積する疲労や不快感を抑制するという意味で、実用的な設計だと感じた。

    クリエイターにとって椅子は単なる家具ではなく、長時間の制作を支える作業環境のインフラであり、腰や背中への投資でもある。体格・作業姿勢・デスクの高さ・使用デバイスによって合う・合わないは変わるため、可能であれば実機で試してから判断してほしい。

    CGWORLD編集部としても、今後のLiberNovoの動向は引き続きチェックしていきたい。また、最近、長時間座るのがしんどい。作業後に腰や背中がつらい。制作環境を見直したい。そう感じているクリエイターは、一度LiberNovoの新モデルを体験してみる価値がありそうだ。

    なお、弊社にも実機を設置しており、CGWORLDのイベントや講座などで弊社へ来訪の機会があれば、ぜひ試してみてほしい。

    TEXT__池田大樹(CGWORLD)
    EDIT_遠藤佳乃(CGWORLD)