2015年11月22日(日)、今年も文京学院大学の本郷キャンパスにて「CGWORLD 2015 クリエイティブカンファレンス」が開催された。本稿では、速報として全体的なトピックをふりかえる。

様々なかたちの"新たな試み"が目立った、今年のCGWCC

 今年で5回目となる「CGWORLD 2015 クリエイティブカンファレンス」(以下、CGWCC)は、「業界の垣根を超え、誰もが気軽に勉強や交流ができる場所を提供しよう」というコンセプトの下、第一線で活躍するデジタルアーティストやプロダクションの方々にボランティアで登壇していただく代わりに、モチベーションありきで自由に講演していただいている。
回を重ねるごとに参加者数とセッション数は増えていき、講演内容もよりバラエティに富んだものになってきているが、ひとえに登壇していただいている方々のご尽力の賜物である(改めてここに謝意を示したい)。

  • CGWORLD 2015 クリエイティブカンファレンス速報
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(右)開場直後の総合受付に並ぶ列。今年は過去最多となる1,700人以上のデジタル・コンテンツ制作者や学生、ホビー層が参加した/(左)最大で800人が収容できる仁愛ホールであっても、ピクサーの講演では立ち見があったという(写真は、4時間目(17:30〜18:30)に行われたwiseのセッションへの入場列)

 今年のCGWCCは、過去最大となる8トラック同時並行で全31セッションが催された。
速報値によると、1,700名以上が参加。もちろん過去最多である。多種多様なセッションが行われたが、今年はVR関連と海外展開に関するセッションが目立ったほか、ダンデライオン・アニメーション・スタジオによる「CGアニメーションとデジタル作画の協業 ~今できること、これからできそうなこと~」からは、デジタル作画に対するアニメ業界の関心度合いの高さがうかがえた。
その一方では、昨年までは何らかのかたちで必ず含まれていたデジタルスカルプティングに関するセッションが1つもなかった(※今ではCGWORLDでおなじみのModelingCafeによる講演も行われたが、今回は「教育&環境」をテーマにしたものであった)。

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(左)積木製作による「建築業界発、非ゲームにおけるVRのビジネス活用」セッションの様子/(右)wiseによる「VRにおけるUE4のリアルタイムVFXワークフローについて」セッションの様子。さらに、今年9月に「VR THEATER」をオープンさせたDMM.futureworksによるセッションも行われた。CGWCCにVR関連のセッションが登場したのは今年が初だが、改めてその盛り上がりを感じた

着実に成長しているCGWCCだが、半日開催という物理的な時間の制約に加え、会場キャパシティの上限にも近づいている(特に懇親会の会場については参加者から不満の声が目立ちはじめている)。無料かつ自由といった、評価されている部分は保持しつつ、さらなる発展につなげていければと思う。

なおCGWORLD.jpにて、独自視点で注目した講演のレポートを順次公開していくので、そちらもぜひご覧いただきたい。

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(左)カフェテリアに設けられた書籍展示の様子/(右)毎年最後に設けられている懇親会の様子。年々、参加者が増えていることもあり、現在の会場では集客スペース的な限界も正直感じた

CGWORLD 2015 クリエイティブカンファレンス速報

神風動画・代表取締役の水崎淳平氏プロデュースによる「IMC2! イケメンクリエイター カモン!」の様子。今回は、白組の田中尚美プロデューサーならびにStudioGOONEYSがパートナー。毎年エンターテインメント性あふれるセッションを企画、実現する水崎氏のバイタリティには頭が下がる

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(左)トリプルアディショナルの小張泰洋氏(VISUAL ARTIST)による講演「魅せる映像づくり」の様子。前半は同社が手がけたTOTOウォシュレットの海外向けPVを例に、After Effectsのコンポジットワークについて。後半では、今年の頭に発表したオリジナル作品『at the biginning』(下記)で採り入れたFUSIONによるコンポジットワークを披露/(右)シリコンスタジオの「最新リアルタイムCG技術を映像業界に! ~ポストプロセスミドルウェアYEBISのご紹介~」の様子。これら2講演のように、その気になればすぐに実践できるTIPSを惜しみなく披露するセッションも好評を博していた

トリプルアディショナルのオリジナル短編作品『at the beginning』(2015)

CGWORLD 2015 クリエイティブカンファレンス速報

例年通り、ASIAGRAPH 2015年度 CGアートギャラリー公募展示部門の受賞作品の展示と上映も実施。全5部門の公募に対して、アジア14の国と地域から600点以上もの応募があったという。CGWCC当日は、厳正な審査により選出された入選作品の中から、動画部門、静止画部門の代表的な作品が展示上映されたほか、懇親会では表彰式も行われていた

TEXT_沼倉有人 / Arihito Numakura(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota