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グレーディングではなく、編集用途の観点から実力をさぐる!「DaVinci Resolve 12.5」レビュー

グレーディングではなく、編集用途の観点から実力をさぐる!「DaVinci Resolve 12.5」レビュー

カラーグレーディングシステムとして世界的に高名な「DaVinci Resolve」。2009年に当時の開発元であったDaVinci Systemsがブラックマジックデザインがに買収されたのを機に、その翌年から無償版の配布を開始。そして昨年リリースされたバージョン12では本格的なタイムライン編集機能が実装された。今回は最新のバージョン12.5について、筆者が映像ディレクションを担当したPVを例に、"グレーディングは門外漢の映像ディレクター"という立場からレビューしたい。

TEXT_峯沢琢也 / Takuya Minezawa
EDIT_沼倉有人 / Arihito Numakura(CGWORLD)

<1>導入のきっかけ

SDの時代からプロの現場では広く利用されてきたDaVinci Resolve(以下、DaVinci)。本来はグレーディングシステムのため、編集用途でDaVinciを使用しているのはまだ少数派だと思う。正直、筆者が使い始めたのもつい最近のことだ。昨夏にタイムライン編集機能が実装されたバージョン12パブリックベータ版がリリースされたのを機に、まずは無償版から試用しはじめたのだが、その使い勝手の良さに感心させられた。

【DaVinci Resolve】2.1 エディット/タイムラインの生成
一連のワークフローを紹介したチュートリアル動画シリーズが「DaVinci Resolve ウェブ講座」としてYouTubeで公開されている


しかも4K素材やステレオコピック(S3D)素材を扱わない限りは、無償版でもフルバージョンと遜色なく使える印象だ。さらに日本語UIにも対応しており、初めて触ってもまったく戸惑うことはない、もちろんショートカットなども自由自在にカスタマイズできるので他の編集ソフトを触っている人にも優しい。さらにこの無償版は、商用利用が認められているのだ。それを知ったときは「これだけ高機能なのに無料とは、普通ならありえないぞ!」と、正直驚いた。現在の最新バージョンである12.5(※1)では、もともとのグレーディングの機能の改良はもちろん、それ以上に編集やエフェクトの関連の新機能が多く追加されており、ユーザー層の拡大に意欲的であることが窺える。

※1:2016年8月11日付で、バージョン12.5.1がリリースされた。
Blackmagic Design、DaVinci Resolve 12.5.1アップデートのダウンロード開始を発表


【DaVinci Resolve】5.1 まとめ

各種メディアからの動画素材の取り込みについては、多種多様なファイルコーデックやカメラのプリセットに対応しているのは、グレーディングツールとしては当然のことだと思うが、今回主に取り上げるエディット(編集)機能についても直感的に操作できる仕様にまとめられている。一般的な映像編集ソフトの使用経験があれば、すぐに習得できると思う。また、筆者としては専門外のカラーグレーディングについてもノードベースのUIが直感的でわかりやすい。UIは日本語表示にも対応しているほか、ディスプレイの表示をシングルモニタとデュアルへの切り替えがワンクリックで行える点などもユーザーフレンドリーだと言えよう。

昨春開催された「Blackmagic Creators Show III」より、NAKED/藤田秀紀氏による講演の様子をまとめたもの

DaVinci独自の特色としては、

1.メディア(素材の取り込み)
2.エディット(編集)
3.カラー(グレーディング)
4.デリバー(出力)


......という、4つの用途ごとに独立したUIが設けられていること。それぞれの工程で必要な機能だけに特化したUIにまとめることが、わかりやすい操作感につながっている。それらの切り替えは、タブブラウザのようにボタンひとつで行える。まずは駆け足でDaVinciの特徴を紹介したが、「まずはマニュアルも読まず無償版を触ってみて、実制作にも使ってみよう」と思わせてくれる、そしてそれが本当に可能であるというのが筆者の感想だ。

<2>[メディア]という操作概念

ここからは、先日筆者が映像ディレクションを担当させていただいた『ハピクラポリス』PVを例に、一連のワークフローを紹介していきたい。本作は、キッズステーションの子ども向け番組『子育てTV ハピクラ』に登場するキャラクター「ハピクラポリス」のPVである。

【公式】ハピクラポリスPV(APP独占配信)

まずは撮影した動画素材をDaVinciに取り込む。画面下の[メディア]をクリックしよう。DaVinciはファイルビューアを介して取り込みたい映像を見ながら読み込みが行える。ここでプロジェクトで使用する素材のインポート(正確には扱う素材の登録)を行う、多くの動画ファイルや静止画(連番を含む)に対応しており、よほど特殊なコーデック(ファイルフォーマット)でない限りはまず問題ないだろう。

ビンと呼ばれるフォルダに整理してデータをドラッグ&ドロップしていくだけでインポート(素材の登録)は完了する。読み込まれた素材には、ファイルのパスからコーデック、尺、フレームレートといった情報はもちろんのこと、任意でシーンやテイク数の記入も行えるので、大元のファイル名をリネームしなくともデータの整理が行えるのがありがたい。

【DaVinci Resolve】1.1 メディア/はじめに

そのほかにも一覧表示にした際に見やすいようクリップカラーやフラグの色を付ける、コメントの部分に補足を記入するといったかたちで同じビンの中でもグループ分け(ソート)が可能になっており、大量の素材を扱う際にはぜひとも最初にデータの整理を行うことをお勧めしたい。
またこの[メディア]工程で素材のフレームレート、アスペクト比、フィールド、アルファチャンネルの設定も変更が可能になっており、属性や任意に設定した情報を元にソートすることで料理の下準備のように編集やカラーグレーディングの前に素材のセッティングを行うと効率化が図れる。

グレーディングではなく、編集用途の観点から実力をさぐる!「DaVinci Resolve 12.5」レビュー

このように一覧でサムネイル表示が可能になっているので多くの編集ソフトと同じように直感的にデータを立ち上げることが可能になっている。また、この工程では素材のメタデータを確認する事もできるので尺や画面サイズ等確認を行なっておくと良いだろう

グレーディングではなく、編集用途の観点から実力をさぐる!「DaVinci Resolve 12.5」レビュー

表示を切り替えることでサムネイルからリストにも切り替えられる。筆者は主にビン(フォルダ階層)の整理と一緒にテイク数やコメントを書き加えていつでも素材の差し替えが可能なように整理を行なっている。こうすることで修正や変更があった際にも「あの素材どの辺りにあるだろう?」という煩わしさから解放される

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<3>特化型ツールに匹敵する[エディット]機能

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