コロナ禍の自粛ムードを経て、少しずつ経済活動が戻りつつある。こうした動きを象徴するように、香川県高松市で自分たちで理想のゲームをつくる「最強ゲームジャム」が開催された。小学生から地域のゲーム開発者まで30名弱が参加し、9月5日(土)・6日(日)の2日間で4タイトルを開発。地元のテレビ局も取材に訪れるなど、地域の注目を集めたイベントとなった。ゲーム規制条例に加えて台風も接近するなど、様々な逆風を乗り越えて開催された本ゲームジャムの概要をレポートする。

TEXT&PHOTO_小野憲史 / Kenji Ono
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada

ゲーム開発コミュニティと県施設がタッグを組んで開催

「次世代の地域インフラはxR技術をはじめ、現実を拡張したものになる。そのときに求められるのがエンジニアの価値観。都会的な価値観をもったエンジニアだけが地域社会のベースとなるインフラを拡張していく未来が、本当に良いのだろうか。香川で育った子どもたちが、一度県外に出て行き、再び地元に帰ってきて、地域インフラを拡張していく。そうした未来づくりの一助になれると嬉しい」。

本ゲームジャムの開催意図について、主催者の1人である渡辺 大氏はこのように語った。高松市で活動するゲーム勉強会コミュニティ「讃岐GameN」の代表で、医療従事者という本業のかたわら、Unityの自主制作会「ゆるもく会」を定期開催している。自身もまた県外で進学した後、地元にUターンして就職した経歴のもち主だ。Unityに出会ったのも学生時代で、大きな可能性を感じたという。

同じく本イベントを共同開催したのが、香川県の情報通信交流館「e-とぴあ・かがわ」だ。コロナ禍で4月11日~5月11日は臨時休館したが、ゴールデンウィーク明けから活動を再開。感染症対策に注意を払いながら、様々な自主企画を進めている。小中学生向けに定期開催中のScratch教室「プログラミング・ラボ」はそのひとつだ。他にロボット・ラボや、シニア向けスマホ教室など、多彩なイベントが開催されている。

もっとも、館側にも問題意識があった。プログラミング・ラボを「卒業」した子どもたちの受け皿づくりだ。そこで希望者を本ゲームジャムに誘導し、本格的なゲーム開発を体験してもらって、Unityにいたる導線がつくれれば......と考えたという。幸い「ゆるもく会」も交流館で実施されていたため、互いに面識があった。こうして2つのコミュニティが核となって、2019年秋から準備が進んだ。

施設の運営にかかわる指定管理者のかがわ県民情報サービスの馬場道浩氏は「武道やスポーツでは大人が指導し子どもが体験といった具合に、役割が分かれることが多い。これに対してゲームづくりでは、大人と子どもが同じ目線で作品づくりにかかわれる。これにより大人も子どもも能力が伸ばせる」と語る。当初は4月に開催される予定だったが、コロナ禍で延期され、9月に晴れて開催される運びとなった。

▲讃岐GameN代表の渡辺 大氏(左)と、かがわ県民情報サービスの馬場道浩氏(右)

もっとも、一般的なUnity教室などと異なり、ゲームジャムとなると手練れのプログラマが必要だ。小中学生が参加するため、開発時間も短くせざるを得ない。本ゲームジャムでも午前10時に開始し、午後5時に全プログラムが終了。その中でツールの勉強会や特別講演会が挟まるなど、めまぐるしいスケジュールが組まれている。開発に専念できる時間は、実質9時間程度という短さだ。

そこで重要なピースを担ったのが、大阪に本社を構えるゲーム開発会社のxeenだ。同社では2012年より高松市内に香川スタジオを構え、現在6名が勤務中。旗振り役である滝下直樹氏をはじめ、社員の大半も地元出身者だ。大手ゲーム会社の受託開発などを行うかたわら、香川スタジオのメンバーを中心に自社アプリ『みつめて - 宇宙女子と写真をシェア』もリリースしている。

▲xeen滝下直樹氏(中央奥)

▲『みつめて - 宇宙女子と写真をシェア』

「地元でゲーム業界を目指す若者を応援したい」という滝下氏。本ゲームジャムにも企画段階から加わり、実務家ならではのアイデアやノウハウを提供した。当日も滝下氏をはじめ3名がUnityエンジニアとして参加し、それぞれがチームのリーダーとして獅子奮迅の働きをみせた。

これに加えて、大きな存在感を示したのがメンター陣だ。「子どもたちが途中で退屈しないように」という配慮からチームごとに2名程度が加わり、サポートにあたった。参加者は地元の大学生や、アナログゲームのクリエイター、BOOKOFF 高松新屋島店の店長にして、香川県eスポーツ協会の会長(同店舗の2Fにはeスポーツとアナログゲームが楽しめるスペースもある)、さらにはゲーム好きの看護師まで多種多様で、共通点は「子ども好きであること」だけだ。プログラムに忙しいxeenのメンバーと子どもたちのクッション役となったり、子どもたち同士のつながりを取りもつなどして、大いに活躍した。

このように本ゲームジャムは、小中学生から高専生・専門学校生・社会人が一堂に会する、他では見られないユニークな内容となった。また、単にゲームをつくるだけでなく、小中学生向けにBlender教室が開催されたり、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンからエバンジェリストを招き、特別講演会を実施したりと、もりだくさんの2日間となった。

全体スケジュール

9月5日(土)

  • 9:45
  • 受付開始
  • 10:00
  • 開会挨拶・参加者紹介・テーマ発表
  • 10:30
  • 名札作成
  • 10:45
  • チーム分け・企画会議
  • 12:00
  • 休憩
  • 13:00
  • 作品制作とBlender研修
  • 14:30
  • 中間発表
  • 15:00
  • 作品制作
  • 16:00
  • 特別講演会「遊びの技術が暮らしを変える 広がるゲームの世界」
  • 17:00
  • 質疑応答
  • 17:30
  • 終了

9月6日(日)

  • 10:00
  • 開会挨拶
  • 10:05
  • 作品制作
  • 12:00
  • 休憩
  • 13:00
  • 作品制作
  • 14:30
  • 他チームの作品体験(開発と同時並行)
  • 15:30
  • 成果発表
  • 16:15
  • 表彰・講評
  • 17:00
  • 終了

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「スタートとゴール」をテーマに4作品が完成

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「スタートとゴール」をテーマに4作品が完成

ゲームジャムのテーマは「スタートとゴール」だ。スタートとゴールが明確であれば、自由にアイデアを広げて好きなゲームがつくれる。極端な話、スタート地点とゴール地点の間に障害物を配置すれば、それだけでゲームになるという立て付けだ。自分たちで世界観やルールを考えても良いし、Unityのサンプルゲームを改造しても良い。開会式が終わると、参加者たちはチームに分かれ、三密状態にならないように注意しながら、企画会議がスタートした。

企画会議を主導したのはxeenの3名だ。それぞれがチームリーダーとなり、メンターと小中学生が加わって、アイデア出しが始まった。もっとも、会場は三密状態を避けるため、机の間隔が広く取られており、ブレインストーミングに向かない状態だった。そこで急遽、各チームがホワイトボードの前に集まり、立ってアイデア出しを行うことに。最初はぎこちない感じだったが、徐々に参加者同士で打ち解けていき、議論が盛り上がっていった。

そのかたわら、思わぬトラブルも発生していた。9月6日から7日まで九州地方に接近した台風10号だ。JR四国が運休する事態が想定され、香川高等専門学校詫間キャンパスに通う高専生3名の参加が危ぶまれる事態に。最終的にオンラインでチームを組み、Discord上でリモート開発が行われた。同じく2日目は台風接近に伴い、午後3時には会場が閉館する事態も想定された。もっとも、台風が中国大陸側に北上したため、ゲームジャムは予定通り継続され、関係者は胸をなで下ろした。

企画会議の模様



  • ▲チーム「玉子」



  • ▲チーム「TAYAKA(株)」



  • ▲チーム「VGM1」



  • ▲オンラインチーム「Unity完全に理解した」

企画会議が終了すると、大人たちがUnity上で開発を進める一方、小中学生を対象にBlenderのミニセミナーがスタートした。子どもたちがBlenderでオブジェクトを制作し、FBXファイルでエクスポート。これらをもとにUnity上でレベルデザインを行い、ゲームに仕上げるという立て付けだ。本格的な3DCGツールに触るのは皆初めてだったが、90分間のレクチャーに意欲的に挑戦。メンターのサポートを受けつつ、簡単な素材ならつくれるようになっていった。

このアイデアを提案したのはxeenの滝下氏だ。当初はUnityの公式サンプルのうちレースゲームをベースとして、各チームが自由に改造する「レースゲームジャム」が想定されていた。初日はUnityのチュートリアルも兼ねて、全員がレースゲームを遊びながら、コースの改造にチャレンジする。2日目はUnityのProBuilderを使用し、簡単なオブジェクトを作成したり、スマートフォンで自分の顔を撮影し、テクスチャで取り込んだりして、コースを飾る......といった具合だ。

これに対して滝下氏は「サンプルの内容やコードを理解するだけで、けっこうな時間がかかる」、「Blenderの基本操作程度なら、子どもたちでもすぐに理解できる」と提案。大人はUnityでプログラミング、子どもはBlenderで素材づくりと分業体制が取られることになった。Blenderのレクチャーを行なったのは、地元の専門学校を卒業し、xeenにプログラマとして新卒入社した宮﨑琴音氏だ。学生時代にBlenderを学習した経験があり、社会人1年目ながら講師役を務め上げた。

▲Blenderの基本操作に関するミニレクチャーと、ゲーム内に登場するオブジェクトを作成する参加者たち

▲大人から子どもまで様々なスタイルで、ゲームの共同開発が進められた

他にユニティでエバンジェリストをつとめる簗瀬洋平氏による特別講演会「遊びの技術が暮らしを変える 広がるゲームの世界」も開催された。簗瀬氏はトヨタ自動車のxR活用事例をはじめ、Unityがゲーム開発だけでなく、建築業界や自動車産業など、様々な領域で活用されている現状について紹介。Unityについて学ぶことで、将来様々な分野で活躍できると説明した。

質疑応答では香川高専の学生を中心に、ゲーム開発に関する具体的な質問が多く寄せられた。また、同社が主催するゲームコンテスト「Unityインターハイ」で、徳島県の高校生が開発したアクションゲーム『モチ上ガール』が優勝し、Nintendo Switchで発売された事例が紹介されると、会場から「香川県も負けてはいられませんね」などとコメントが寄せられる一幕もあった。

▲特別講演会の模様(左)とユニティ簗瀬氏(右)

完成したゲームをインターネット上で公開

2日目は台風の接近に関係者が気を揉む中、粛々と開発が進められた(結果的に台風の進路が逸れ、予定通りの進行となった)。完成した4作品はWebGL形式にビルドされ、試遊可能な状態でオンライン上に公開された。成果発表会ではユニティの簗瀬氏が「どのチームも限られた時間内で企画内容がしっかりと盛り込まれ、ゲームとして仕上がっていたので、驚きました」と感想を述べた。

続いて各賞の発表の後、簗瀬氏と渡辺氏が講評を述べ、2日間にわたったゲームジャムが終了した。今回制作されたゲームは10月に開催される「プログラミング・ラボ」で試遊展示される予定だ。「友だちがつくったゲームが展示されることで、他の参加者にも関心をもってもらえたら」(渡辺氏)。讃岐GameNが主催する「ゆるもく会」も同じ日に開催し、互いに連携を取っていくという。

Unity賞『始まりは卵から』(チーム:玉子)
unityroom.com/games/startwithegg

  • ▲フィールド上に散らばる卵を3分間で収集し、孵化場で孵化させ、出荷場所に投げ込んで売上を競うゲーム。卵からはひよこやダチョウ、はたまた妖精など、様々なものが誕生する。「企画段階で動物をたくさんつくると言われていて心配していたが、きちんとつくられていて驚きました。また、効率良く時間を使って卵を孵化させるところや、適度にランダム性が入っていてスコアを競う気にさせられるなど、よく考えられてつくられているなと思いました」(簗瀬氏)

讃岐GameN賞『めろカー大乱闘』(チーム:TAYAKA(株))
unityroom.com/games/tayakagame

  • ▲3D対戦レースゲームで、コントローラを2つ用意してプレイする。迷路状のステージを走り回り、相手のスタート地点に先にたどり着いたほうが勝利だ。ステージ上にあるアイテムを取ると、一定時間スピードがアップする。「かっこいいスポーツカーやがっちりとしたトラックが登場するところ、迷路を走るときに車の上に矢印がついていて、ナビゲーションしてくれるところが良かったです」(簗瀬氏)

xeen賞『VGM1』(チーム:VGM1)
unityroom.com/games/vgm1game

  • ▲コース上に散らばるアイテムを活用し、他のプレイヤーを妨害しながらゴールを目指すレースゲーム。Unityの公式サンプルゲームをベースに改造された。一定時間巨大化する、ミサイルのようにアイテムを飛ばして先行者にぶつけるなど、様々なアイテムが存在する。「公式サンプルゲームがベースとなっているので、全体的な完成度が高いですね。サンプルを自分なりに改造していくと、理解がどんどん深まるので、オススメです」(簗瀬氏)

『MazeBreakTrough』(チーム:Unity完全に理解した)
unityroom.com/games/mazebreaktrough

  • ▲迷路状のステージを壁を壊しながらゴールを目指すゲーム。歩いたり、壁を壊したりすると、行動力やエネルギーが消費される。ゴール時の残存エネルギーがスコアに換算されるしくみ。「タイトル画面やリザルト画面も用意されていて、さすがでした。未実装に終わった部分もあると思うので、ぜひ完成させてください。その際に視界の要素を入れて、全体像を不明瞭にしたりすると、より面白くなるかもしれません」(簗瀬氏)

「今回はじめてゲームをつくった人も多いんじゃないかと思います。ゲームってこんなふうに、自分たちでつくれるんですね。Unityインターハイをはじめ小学生がゲームをつくって応募できるコンテストもありますので、興味ももった人はぜひ自分でつくってみてください。ゲームづくりは時間もかかるしいろいろ勉強することも多いですが、少しずつ進めていけば必ずできるようになります。目指すところまで到達できなくても、そこで学んだことは絶対に無駄になりません」。

「また、ゲームづくりについて学んでいくうちに、学校の勉強に一生懸命取り組むことでゲームづくりも役立つことが次第にわかってくると思います。ゲームづくりだけでなく、スマホアプリをつくったり、いろいろなものをつくったりすることも楽しいので、これからもがんばってください」(簗瀬氏)。

「今回香川ではじめて、将来ゲームクリエイターになりたいという小中学生から、すでに片手を伸ばしている高専生や専門学校生、さらには夢を叶えて走っている社会人まで、いろいろな人が集まるイベントができました。参加していただいた皆さんのおかげです。ありがとうございました」。

「今回ゲームづくりを体験して、もっと本格的にやってみたいという人がいたら、本施設で毎月、讃岐GameNとしてゲームをつくる勉強会を開催しています。参加者が各自で教え合い、学びあいながら、Unityでゲームをつくっていますので、ぜひ参加してみてください」(渡辺氏)。

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地元テレビ局でニュース放映される

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地元テレビ局でニュース放映される

なお、本ベントの模様は地元テレビ局のKSB瀬戸内海放送で取材され、9月8日に地域ニュースとして放映された。18歳未満を対象に、ゲームの利用時間を1日60分、休日は90分までとする「ネット・ゲーム依存症対策条例」の制定で、全国的に注目された香川県。KSBは本条例の制定過程について検証番組「報・動・力『検証 ゲーム条例』」を制作・放送するなど、独自の報道姿勢で知られている。

渡辺氏は「今回、テレビで取り上げられたことで、職場の同僚から声をかけられるなど、少なからぬ影響があった」とふり返った。それまでは本業のかたわらコミュニティ活動に力を割くことに対して、職場で冷ややかな目を感じることもあった。しかし、今回の放送によって周囲から活動内容を理解され、ポジティブに受け止められるようになったという。

このように本ゲームジャムは、2つの意味を地域にもたらした。1つはコロナ禍にもかかわらず、オフラインでのイベントが開催されたこと。そしてもう1つは、4月1日から施行された「ゲーム規制条例」とのかねあいだ。

これに対して渡辺氏は、「『e-とぴあ・かがわ』という県の施設で開催できて、良いアピールになった」と語った。適切な感染症対策を実施すれば、ゲームジャムが開催できることを、広く証明できたからだ。「子どもたちにとって、オンラインで見知らぬ大人たちと交流することは、想像以上にストレスになる。そのためオフラインで開催できて良かった。こうした施設がある香川県は、全国でも恵まれていると思う」。

またゲーム規制条例についても「県のイメージが落ち込んだからこそ、あとは上がっていくだけ」とポジティブな姿勢を隠さない。「今後もプログラミング・ラボや讃岐GameNの活動などと組み合わせながら、毎年開催していきたい」と抱負を述べた。

条例の制定を受けて香川県は7月、県内の小中学生に「ゲーム依存対策学習シート」を配布した。家庭でできる自己チェックシートだが、内容の妥当性に対して賛否両論が寄せられている。もっとも、条例に対する考え方は県民の間で、様々なちがいがある。今回は普段から「プログラミング・ラボ」に通うなど、ゲーム・リテラシーの高い家庭からの参加が多く、開催に際して特に問題はなかったという。

その上で次回は「チームビルディングをより丁寧に行う」、「モデリングだけでなく、プログラミングの楽しさを子どもたちに体験させる」など、様々な改善を行なっていきたいと述べた。「Scratchを学んで、より高度なゲームプログラミングを期待していた子どもたちにとっては、少し物足りなかったかもしれません。今後の課題にしていきたいですね」。

同様のふり返りはxeen滝下氏からも聞かれた。

「ゲームジャム自体が初参加で、子どもたちがほとんどというチーム構成の中、はたして2日でゲームが出来上がるのかという不安と、参加した子どもたちが満足してくれるのか。この後、もっとゲームづくりしてみたいと思ってもらえるか心配でした。結果的にメンターさんが大いに手助けしてくださったので、何とかなった印象です。全てのチームがなんとかゲームの形を残せたのは良かったと思います」。

「ただ、せっかく子どもたちがつくってくれたのに、未実装に終わったモデルデータもありますので、そのあたりは申し訳ないと思っています。また、分業に徹してしまったので、モデリング以外の体験をあまりさせてあげられなかったことは残念です。プログラミングや、開発中のゲームをプレイしつつ、改善アイデアを出し合うような会議の実施などができればよかったかなと思います」。

「可能であれば、施設側でUnity講座やBlenderモデリング講座などを開いていただき、その集大成として年1回のゲームジャムができると良いかもしれませんね。他にゲームジャムという形だと、どうしても成果物に目がいきがちなので、ゲーム開発体験会のような緩いスタイルにした方が、子どもたちがもっとゲームをつくってみたいという気持ちにつながるかな、とも考えています。今後も相談していきたいですね」。

長くゲーム産業の空白地帯とされてきた瀬戸内地域。高松市に限れば「xeen以外のゲーム会社は存在しない」といっても過言ではない状況だ。もっとも讃岐GameNをはじめ、ゲーム開発者コミュニティは徐々に育ちつつある。e-とぴあ・かがわによる支援がみられるのも、香川県ならではだ。こうした中、本ゲームジャムの開催にたどり着いた意義は大きい。今後の展開を注目していきたい。