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OVA『.hack//Quantum』メイキング_01

OVA『.hack//Quantum』メイキング_01

11月27日より、バンダイビジュアル主催の期間限定上映イベント「ANIME FES. "VS"」にて、『.hack』シリーズ最新作『.hack//Quantum(ドットハック クワンタム)』第1話が公開中だ。本作は、2009年度「文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門」優秀賞を受賞するなど、話題を集めたTVシリーズ『東京マグニチュード8.0』を手掛けたキネマシトラス(制作)とオレンジ(3Dパート)が再びタッグを組んだ注目作である。次世代の日本アニメーションを担うであろう新進気鋭のスタッフたちが、本OVAシリーズにおいて3DCGをはじめとするデジタル技法をいかに効果的に用いているのか、全3回に分けてレポートする。

3DCGによる作画的なアニメーション表現の追求

『.hack』シリーズと言えば、主に「The World(ザ・ワールド)」と呼ばれる作中のゲーム世界で物語が進行していくというイメージがあるが、最新作『.hack//Quantum』(以下、Quantum)では、従来のシリーズ作品よりも現実世界の要素を増やすことで、リアルとバーチャルがよりいっそう混在した新たな『.hack』の世界を見事に描き出している。「せっかくネットワークゲームをやっているという題材なので、リアルの部分とゲームの部分を対比したドラマにすれば面白くなるというイメージがあったので、それを最大限活そうと考えました」と橘 正紀監督は語る。リアルとバーチャルの対比を象徴するのが、大型の剣を持ち、ドラゴンが登場するなど華やかで極彩色な世界観を持つ、ゲーム「The World」が重さや暑さ寒さなどの物理法則から解放された自由な空間であるのに対し、主人公たちが暮らす現実世界は雪降る冬の青森であり、受験を控えた女子高校生たちという一見、束縛された空間を舞台にしたことだ(現在、公式サイトにて第1話の冒頭7分が公開中であり、そこでもリアルとバーチャルの対比が効果的に描かれているのでぜひ観てもらいたい)。

そして、橘監督の掲げた「リアルとバーチャルの混在」を映像で表現するために、大きな役割を担っているのが3DCGをはじめとするデジタル技法だという。「僕はセルの時代からアニメ制作に携わって来ているのですが、数年前から作画の限界を感じ始めていました。例えば、カメラが被写体を回り込む(1枚画のパース変化)や群衆描写といった表現を作画で行おうとすると莫大なコストが発生してしまうし、制作アプローチとしても非効率ですよね。そこで見出したのが、3DCGをはじめとするデジタル技法というわけです」。
『Quantum』第3話では、数百体のプレイヤーが織り成す戦闘シーンが登場するが、そのうちの1カットは6秒以上の長尺で描かれている。そして、そこには『東京マグニチュード8.0』(以下、M8)で培ったCGキャラクターによる群衆表現の制作ノウハウが活かされているそうだ。それでは、第1話におけるデジタル技法の見どころを次ページから具体的に見ていこう。

『.hack//Quantum』場面写真01 『.hack//Quantum』場面写真02 『.hack//Quantum』場面写真03 『.hack//Quantum』場面写真04

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