Google DeepMindは11月14日(金)、次世代AIエージェント「SIMA 2」(Scalable Instructable Multiworld Agent)を発表した。同社の高性能AIモデル「Gemini」の統合により、仮想3D世界でプレイし、推論し、人間と共に学習する、対話可能なAIエージェントとなったまた、同社が開発した画像やテキストから仮想世界を生成するAI「Genie 3」との連携実験においても高い適応性を見せたという。SIMA 2はまず、研究プレビューとして一部の研究者やゲーム開発者に提供されている。

高い推論能力による抽象的な目標理解と複雑な手順の計画的実行

SIMA 2はGeminiモデルを中核に据えることにより、推論能力を向上させた。従来のAIエージェントが単純な命令に従うことに主眼を置いていたのに対し、SIMA 2はユーザーの抽象的な目標を理解し、それを達成するための複雑な手順を自ら計画・実行できる。AIエージェント自身の行動や視覚情報についても言語化できるため、ユーザーから「何をしているのか?」と問われれば、現在見ている状況や、次にどのような行動を取る予定かを説明できる。

未学習のゲームや環境にも柔軟に適応

SIMA 2は、学習していない新しいゲームや環境に対しても高い適応能力(ジェネラリゼーション、汎化性能)を示す。マルチモーダル入力にも対応し、テキストや音声だけでなく、画面上のスケッチや画像、絵文字や多言語での指示も理解し、適切なアクションを起こすことができる。

試行錯誤を通じてスキルを磨く自己改善サイクル

▲SIMA 2の自己改善サイクル

SIMA 2は、人間の介入なしに自己学習する能力を備える。Geminiからのフィードバックと報酬推定を用いた「自己改善サイクル」により、試行錯誤を通じてスキルを磨き続けることができる。

世界モデルGenie 3との連携でも高い適応性を見せる

画像やテキストから仮想世界を生成するAI「Genie 3」との連携実験では、生成されたばかりの未知の世界においても、SIMA 2は即座に状況を把握し、意味のある行動をとることができたと報告されている。

■SIMA 2: An Agent that Plays, Reasons, and Learns With You in Virtual 3D Worlds(Google DeepMind Blog、英語)
https://deepmind.google/blog/sima-2-an-agent-that-plays-reasons-and-learns-with-you-in-virtual-3d-worlds/

CGWORLD関連情報

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https://cgworld.jp/flashnews/01-202508-Google-Genee3.html

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https://cgworld.jp/flashnews/01-202510-TinyWorlds.html

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https://cgworld.jp/flashnews/01-202511-HunyuanWorld-Mirror.html