3D技術の標準化を推進する非営利団体AOUSD(Alliance for OpenUSD)は3月23日(月)、3Dシーン記述フレームワークOpenUSD(Universal Scene Description)の最新バージョン「OpenUSD v26.03」をリリースした。本アップデートでは3D Gaussian Splats(3DGS)のネイティブサポートや、Webブラウザでの実行を可能にするWebAssemblyへの対応が追加。また、データ処理エンジンの改良や描画性能の向上などの機能強化も施されている。

「OpenUSD v26.03」では、3DGSデータをOpenUSDの第一級primタイプとして扱うための仕様「UsdVolParticleField3DGaussianSplat」が含まれる新しいデータ構造のスキーマ「UsdVolParticleField」が導入された。動作確認用の専用レンダラ「hdParticleField」も同梱されており、開発者がすぐに表示テストや互換性の確認を行うことができる。

▲usdviewでの3DGS表示デモ。「UsdVolParticleField3DGaussianSplat」スキーマと専用レンダラ「hdParticleField」により、3DGSシーンがビューポート内で描画されている。左下パネルでは、位置やスケール、Spherical Harmonicsなど、3DGSを構成する詳細なパラメータ群を確認できる

OpenUSD v26.03ではまた、Webブラウザ上で高速にプログラムを実行するための技術である「WebAssembly」形式へのコンパイルが可能となった。これにより、ブラウザ上で直接USDの3Dシーンデータを読み込んで操作できるアプリケーションの開発が容易になる。

その他の更新内容として、配列データの一部だけを上書きできる新しい編集方式である「Sparse Array-Edit Overrides」(スパース配列編集のオーバーライド)が実装。従来は無数の要素が並んだデータを変更する際、データ全体を丸ごと置き換える必要があったところ、キャラクターのメッシュの特定の頂点だけを微調整したり、数百万の部品からなる組み立てモデルの特定のネジの位置だけを変更したりといった操作が、軽量かつ効率的な差分データとして処理できるようになった。

また、キャラクターのリギング基盤としてFKコントローラ(Forward Kinematics Controller)が追加された。現時点では初期段階の機能実装となるが、親となる関節の動きに応じて子の関節がどう動くかを計算して姿勢を決定する機能が備わっている。

さらに、スキニングの処理方式の改良「Deferred Skinning」(遅延スキニング)により、描画パフォーマンスが向上。キャラクターのインスタンスを大量に描画する際に、描画の直前まで計算を遅らせて処理を最適化することで、システムにかかる負荷を大幅に削減する。これにより、大量のキャラクターであっても、従来より高速かつ滑らかに描画できるようになっている。

その他、内部処理の効率化により、データの読み込み速度やパフォーマンスが向上し、複雑に関連付けられたファイルの読み込み処理時間は最大200倍改善されたケースもあるとのこと。

なお、次回のリリースではPython 3.8のサポートを終了する。

■Announcing OpenUSD v26.03: Key Features and Improvements(AOUSD公式ブログ)
https://aousd.org/blog/openusd-v26-03/

■Universal Scene Description(GitHub)
https://github.com/PixarAnimationStudios/OpenUSD

OpenUSDについて

OpenUSD(Universal Scene Description)は、ピクサー・アニメーション・スタジオ(Pixar Animation Studios)が開発した拡張フレームワーク。大規模な3DCGベースのプロジェクトを記述、構成、シミュレーションし、共同作業するために開発された。映画制作のような複雑な3DCG制作環境を支える包括的な技術エコシステムとして機能する。

■Our Mission(AOUSD)
https://aousd.org/#our-mission

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