WOW inc.は2026年4月6日、国土交通省が推進する3D都市モデル「PLATEAU」を活用した映像制作の技術チュートリアル第3弾として、映像作品「POP OUT CITY by PLATEAU」の記事と動画を公開した。広島市のデータを用いたミニチュアルックの作品が制作されており、チュートリアル記事(前編・後編)とハンズオン動画を通じて、その実践的な制作手法が解説されている。
国土交通省が推進する「PLATEAU」を活用した映像制作の技術チュートリアル第3弾として、WOWは広島市の3D都市モデルを用いたミニチュアルックの作品を制作しました。ビルから飛び出すもみじ饅頭、街に溢れるレモン——。ディレクターの独創的な世界観が生き生きと表現された作品をご覧ください pic.twitter.com/3XCgRpOmCa
— WOW inc. (@wow_tokyo) April 6, 2026
映像作品「POP OUT CITY by PLATEAU」は、広島市の3D都市モデルをキャンバスとして活用し、まるで精巧なミニチュア模型のようなルックを持たせた。映像内では、ビル群の隙間から大量の鮮やかなレモンがとめどなく吹き出したり、巨大なもみじ饅頭が飛び交ったりするシーンのほか、球場から鯉が飛び跳ね、巨大なお好み焼きが地面からせり上がってくるなど、独創的な世界観が表現されている。
公開されたチュートリアル記事は「TOPIC37」と「TOPIC38」の前後編となっており、Houdiniを用いた実践的なミニチュアルック制作フローが詳細に網羅されている。
前半「TOPIC37|PLATEAUでミニチュアルック映像を作る」では、3D都市モデルを読み込んで基本的なシーンをつくるまでの基礎工程を解説。まずはPLATEAUからダウンロードした3D都市モデルの読み込みと整理を行い、テクスチャを持たないLOD1の建物に対してテクスチャを貼り付ける手順を紹介している。その後、HoudiniのレンダリングエンジンKarmaを用いてレンダリングを行っている。
ミニチュアルックの表現手法は、焦点距離の指定によって表現する簡易的なアプローチを採用。ティルトシフトレンズの光学的なぼけ味をCG上で表現する方法も解説している。
後半の「TOPIC38|3Dスキャンデータとの組み合わせと物理シミュレーション」では、まず、建物の屋根をディテールアップする工程を詳しく解説。1つの建物だけを選択して重複点をまとめ、屋根をカットして押し出したり、キットバッシュを用いてディテールを出したりする簡易的な方法から、屋上の複雑な凹凸を自動でつくる処理、屋根の方向と合わせて3Dモデルを配置する実践的なアプローチまでを紹介している。
そして、3Dスキャンを用いた具体的なディテールアップに話は及ぶ。3Dスキャンの技術概論に始まり、実際にLiDARスキャンや3D Gaussian Splatting(Postshot)を用いてスキャンを行う工程を詳説。そうして取得した3Dデータを都市空間へ配置するワークフローでは、1つの3DGSモデルを切り出して配置する具体的なノウハウも紹介している。
最終段階では大規模な物理シミュレーションの実装を解説。シーン構築をベースに、地面から湧き出るレモンのシミュレーションや、建物周辺の風ともみじ饅頭のシミュレーションについて、パーティクル版と煙版(流体)の両面からアプローチしている。
なお、これらのチュートリアルと連動したハンズオン動画も公開されている。
■PLATEAU Pop-out City(WOW)
https://w0w.co.jp/works/plateau_popoutcity
■TOPIC37|PLATEAUでミニチュアルック映像を作る(PLATEAU Learning)
https://www.mlit.go.jp/plateau/learning/tpc-37/
■TOPIC38|3Dスキャンデータとの組み合わせと物理シミュレーション(PLATEAU Learning)
https://www.mlit.go.jp/plateau/learning/tpc38/
前回までのチュートリアル
WOWによるPLATEAUの技術チュートリアルは2024年からスタート。第1弾となる基礎編「NIIGATA WONDER by PLATEAU」では新潟市のデータを用いたアプローチを紹介した。
■第1弾「NIIGATA WONDER by PLATEAU」(WoW)
https://www.w0w.co.jp/works/plateau
続く第2弾の応用編「LUNAVITATE by PLATEAU」は、京都市の3D都市モデルと実写映像、VFXを融合させた幻想的な映像作品。月の引力によって京都の街にある物や車、建物までもが重力から解き放たれて空へ吸い寄せられ、夜空に無数の構造物と灯篭が舞うという神秘的な世界が描かれている。
■第2弾「LUNAVITATE by PLATEAU」(WoW)
https://www.w0w.co.jp/works/plateau_lunavitate
Webサイトや公式YouTubeでは、これらの実際の作品に加えて、LOD3モデルの活用法や大量のオブジェクトのアニメーション制御、物理シミュレーションの実装手順などを解説したメイキングやハンズオン動画が公開されている。
WoW inc.について
WOW inc.は、東京、仙台、ロンドンに拠点を置くビジュアルデザインスタジオ。広告やインスタレーション、ユーザーインターフェイスデザインなど、幅広い分野で独創的な映像表現やデザインソリューションを提供する。
■WOW inc.
https://www.w0w.co.jp/
PLATEAUについて
PLATEAUは、国土交通省が主導する日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を推進するプロジェクト。現実の都市空間をデジタル空間に精巧に再現し、まちづくりや防災、映像制作、ゲーム開発など、多様な領域におけるオープン・イノベーションの創出を目指している。
■PLATEAU
https://www.mlit.go.jp/plateau/