Houdini公式YouTubeは5月19日(火)、Lebrov Motion Imagery代表・Andrey Lebrov氏によるFMX HIVE 2026イベントでの講演「Advanced 3D GSplats | Processing, Animation & Worldbuilding | Andrey Lebrov | FMX HIVE 2026」を公開した。3DGS(3D Gaussian Splatting)のプロダクションパイプラインへの導入による、キャプチャデータの処理と軽量化からプロシージャルなアニメーションの付与、そして大規模なワールドビルディングまでのワークフローを解説している。
HDKによるスプラットデータの軽量化と高速ベイク
Lebrov氏はまず、数百万点に及ぶ膨大なスプラットデータをHoudini上で効率的に扱うための独自ツールセットを紹介。講演当時、Houdiniのネイティブ機能や既存のプラグインでは、容量の大きいPLYファイルの読み込みやアニメーションのベイク処理に多大な時間がかかっていた。そこで同氏は、C++を用いてHoudini Development Kit(HDK)ベースの専用ローダーとベイカーを開発した。さらに、データ格納形式にSPZコンテナ(SPZ Container)を採用することで、ファイルサイズを従来の約10分の1に圧縮しつつ、読み込み速度を19倍以上高速化したという。これにより、アーティストは重いスプラットデータを通常のポイントデータと同様の軽快さで操作できる。
衛星LiDARデータを活用したドローン撮影の完全自動化
複雑な形状の樹木を環境光ごと高精度にスキャンするため、同氏はHoudini内に「LMI Mission Planner」というドローン飛行計画ツールを構築。ドローンの手動操縦では網羅的なキャプチャが難しいため、オープンソースの衛星LiDARデータをHoudiniに読み込み、現実の地形や標高を正確なスケールで再構築している。その上で、ドローンのウェイポイント(通過点)やカメラのピッチをポイントデータとして配置し、障害物との距離を事前にシミュレーションしている。このアプローチにより、被写体に対する精密かつ反復可能な自動飛行キャプチャが可能となり、疎密点群(Sparse Point Cloud)からシャープなスプラットを生成する基盤となる。
球面調和関数の直接編集による色収差やゴーストの除去
屋外でのドローン撮影に起因する映像の品質低下、特にカメラレンズによる色収差や、風で揺れた枝の背景に空が焼き付くゴースト現象を解決するアプローチについても言及。Lebrov氏は単なるカラー補正ではなく、独自ツール「LMI Splats Editor」を使用し、スプラットの色や光の反射特性を保持する放射輝度場(Radiance Fields)の係数である球面調和関数(Spherical Harmonics)をプログラム的に直接編集している。ユーザーが指定した輝度のしきい値に基づいて不要なピクセルの色空間データを抑制し、隣接する正常なスプラットデータを問題箇所にラップすることで、作業による修正プロセスを排除するものだ。
独自ソルバを用いたプロシージャルな骨格生成と風シミュレーション
講演の終盤では、静的な樹木のスプラットに対して、風で自然に揺れるアニメーションを付与するワークフローを解説。スプラットデータには初期状態でリグが存在しないため、「Infect Tracer」という独自のソルバを構築している。スプラットの点群内部にエージェント(自律的に動く粒子)を発生させ、樹木の生物学的な枝分かれの法則に従って空間を伝播・増殖させることで、エージェントの軌跡からプロシージャルにスケルトンを自動生成している。生成された骨格はクラスタリング処理によって枝ごとにグループ化され、専用の風ソルバを適用することで、スプラットの形状を破綻させることなく個別の枝を滑らかに揺らしている。
■Advanced 3D GSplats | Processing, Animation & Worldbuilding | Andrey Lebrov | FMX HIVE 2026(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=EfQku1Rbmd0
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