Adobeは6月25日(木)、「Adobe Substance 3D」公式YouTubeチャンネルでGDCにおけるid Softwareの講演動画「Building the Dark Fantasy Materials of DOOM: The Dark Ages | Adobe Substance 3D」を公開した。ゲーム『DOOM:The Dark Ages』の開発において、少人数のテクニカルアートチームがいかにして膨大なテクスチャアセットを効率的に制作・管理したか、Substance 3D Designerを活用したプロシージャルなアプローチや独自のDamage Revealシステム、そして巨大マップ向けのコンポジットマテリアルの構築手法について解説している。

Damage Revealシステムとマテリアルのモジュール化

『DOOM:The Dark Ages』では、プレイヤーが環境に与えた破壊の痕跡をワールド内に永続的に残すための仕組みとして、Damage Revealシステムを採用。Damage Markersと呼ばれる球体や立方体などの仮想オブジェクトのバウンディングボックス内に存在するサーフェスに対し、アーティストが作成したダメージ用のマテリアルをハイトマップに基づいてブレンドする。

しかし、このシステムをすべてのタイリングマテリアルに適用するとアセット数が倍増してしまうため、同チームはSubstance 3D Designerを用いて素材ごとのダメージ表現をフィルタとしてモジュール化するアプローチを採用した。これにより、石のひび割れや木のささくれなど、共通の物理特性を持つダメージを高速かつ柔軟に量産している。

プロシージャルな木板とダメージ表現の生成

木板(Wood Planks)の作成プロセスでは、複雑なノードグラフを回避し、ベースとなる木材マテリアルから任意のバリエーションを生み出すMaterial to Planksフィルタを開発。本フィルタ内では、タイルジェネレータやEdge Detectを組み合わせて板のすき間やベンドを制御し、Vector Warpを用いて各板の木目をランダム化している。

さらに、この出力結果をWood Damageフィルタに接続することで、板の先端が欠けたチャンク表現やシロアリによる浸食、さらには削りカスや大きな破片といった微細なディテールまでを、ブーリアン演算のようにプロシージャルに合成できる。

コンポジットマテリアルによる描画負荷の軽減とテクスチャ密度の均一化

膨大なアセットの制作効率を上げ、テクスチャメモリの消費を抑えるために採用されたのが、コンポジットマテリアルという手法。アセットごとに固有のベースカラー(Albedo)などを持たせるのではなく、ベイク済みのマクロノーマルとレイヤーのブレンド比率を制御するRGBAマスクのみを保持するアプローチである。

赤チャンネルは基本となる質感、緑チャンネルは色味の変化、青チャンネルはオクルージョンや凹んだ曲率(Concave Curvature)による汚れ、アルファチャンネルは凸面の曲率(Convex Curvature)による摩耗といった具合に標準化されている。Automatic Texel Densityと組み合わせることで、巨大なアセットをスケールしてもタイリングマテリアル側の解像度が維持される設計となっている。

巨大マップを支えるHotspot Vistaアプローチ

プレイヤーが巨大なメカに乗り込んだりドラゴンに乗って飛行したりするマップでは、通常のモジュール単位のアセットではタイリングの反復が目立ってしまうという技術的な壁が存在した。これを解決するために考案されたのが、トリムシートとテクスチャアトラスの概念を融合させたHotspot Vista。ベースとなるミドルポリゴンのモデルに対してZBrushでスカルプトを行い、タイリング可能なシームレスなディテールを追加する。そこに先述のコンポジットマテリアルを適用することで、専用のテクスチャを大量に用意することなく、視覚的に反復を感じさせない巨大な建造物群を極めて低い負荷で実現している。

■Building the Dark Fantasy Materials of DOOM: The Dark Ages | Adobe Substance 3D(YouTube)

https://www.youtube.com/watch?v=zUjDtN8oUoU

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