Zeromatter社のStaff Material Artist・Hugh Chew氏は6月23日(火)、自身のYouTubeで動画「Why Baked Lighting Still Matters in Unreal Engine」を公開した。本動画は、同氏がUnreal Engine 5におけるライティングを解説するシリーズ3部作の完結編。Lumenなどのダイナミックライティングが主流となる中、なぜ依然としてベイクされたライトが重要なのか、その仕組みから実務的な最適化手法までを包括的に解説している。

ライトモビリティの使い分けとStationaryライトの重複制限

Chew氏はまず、ライトのMobility(Static、Stationary、Movable)のちがいと使い分けについて解説。パフォーマンスに優れるStaticに対し、動的な影を描画しつつ事前計算の恩恵も受けられるStationaryライトは、実務上非常に有用な選択肢となる。ただしStationaryライトには、影響範囲が重なるライトが4つを超えると、5つ目以降が強制的にStatic扱いとなりダイナミックな挙動を失うという制限がある。Directionalライトも無限遠に影響を及ぼすStationaryライトとして制限の1つにカウントされるため、配置間隔や減衰半径(Attenuation Radius)の緻密な管理が求められるとのこと。

CPUとGPUのLightmassの品質比較

ライティングのベイク処理における、CPUとGPUのアプローチのちがいも検証。CPU Lightmassは処理に膨大な時間を要し、チーム開発では複数のPCを連携させる分散レンダリングシステムが必要となる一方で、精度の高い高品質な計算結果をもたらす。対照的に、近年導入されたGPU Lightmassは並列処理により短時間でベイクが完了し、画面上で計算過程をリアルタイムに確認できるという利点がある。しかし、現行のGPUライトマスでは微細なライトブリード(光の漏れ)や、ホットスポット(不自然に明るい箇所)が発生しやすい傾向があるため、最終的な品質を求めるプロダクション用途ではCPU Lightmassの使用を推奨している。

モジュラーアセットにおけるライトマップUVのシームレス化

動画の後半では、Mayaにおけるライトマップ用UVセットの設定方法を解説。特に壁や床などのモジュラーアセットを並べて配置した際、パーツの継ぎ目に不自然なシャドウの境界線が発生しやすい。そこでChew氏は、テクスチャ用のUVとは異なり、ライトマップ用のUVはツール上でUVの頂点を極小のグリッドにスナップ&整列させている。これにより、UEのLightmass計算時にシームレスで綺麗な影を得やすくなる。

Lumenとの実測パフォーマンス比較

最後に、地下鉄の車両内部の環境を用いて、ベイクドライトとLumenの処理負荷を比較検証。ベイク済みのシーンでは約75〜80fps(フレームタイム約13ms)と安定した高速描画を実現しているが、Lumenを有効にしたシーンでは約38〜40fpsまでパフォーマンスが低下する。Lumenでは画面解像度のスケーリングを下げて負荷を軽減できるものの、VRやNintendo Switchのようなハードウェア制約の強いターゲットでプロジェクトを成立させるには、メモリやディスク容量を消費してでもベイクドライトを採用するべきだ、とChew氏は述べている。

■Why Baked Lighting Still Matters in Unreal Engine(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=tD2kOgZpG1g

■Unreal Engine Lighting Series Complete!(ArtStation)
https://www.artstation.com/blogs/hughchew/YQgdr/unreal-engine-lighting-series-complete

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