ミマキエンジニアリングの3Dプリンタの造形時に使用する3Dデータを自動で最適化するクラウドソフトウェアサービス「Mimaki 3D Print prep Pro(以下、3DP3)」を大幅にアップデートした「Mimaki 3D Print prep Pro ver2.0(以下、3DP3v2)」を、2026年6月より提供開始する。
これに先立ち、4月13日(月)開幕のRAPID + TCT 2026(米国・ボストン)では、本ソフトウェアを用いたデータ準備から造形までの一連のデモンストレーションを実施し、効率的なワークフローを紹介する。
3Dプリント市場背景と課題
近年、3Dプリント市場は着実に拡大しており、試作にとどまらず最終製品の量産や医療、建築、個人クリエイターの領域まで用途が広がっている。
一方で、3Dプリント工程におけるデータ準備は依然として大きな課題だ。CADやCG、3Dスキャンで作成されたデータは、そのままでは造形できない場合が多く、欠損やメッシュの乱れを事前に確認・修正する必要がある。こうした作業には専門知識と時間が求められ、高機能なソフトも高価で操作が複雑なため、特に初心者にとっては導入のハードルとなっている。
このため、データ準備の簡易化・自動化は、3Dプリントのさらなる普及と市場拡大に向けた重要なテーマとなっている。
アップデートの概要
ミマキエンジニアリングが2021年に提供を開始した3DP3は、コストや専門知識といった導入障壁を大きく下げ、多くのユーザーに活用されてきた。今回の3DP3 v2では、従来の月額サブスクリプションによる導入のしやすさと自動最適化機能を維持しつつ、活用領域をさらに広げる機能を追加している。主な特長は以下の3点だ。
内部構造の自動格子変換(ラティス構造変換)機能
3D造形物の内部構造として、従来の中空(内部が空間)および中実(内部が詰まった構造)に加え、新たに格子構造を選択可能となった。4種類から選択できる格子パターンと、自由に調整可能な密度設定により、造形物の軽量化(図2)はもちろん、柔軟性のある3Dプリント材料と組み合わせることで、クッション性や布地の柔らかさといった質感の再現(図3)にも対応する。靴やソファ、ベッドなどの模型試作において、多方向からの柔軟性を再現したモックアップを実現。
また、ロボットアームが対象物をつかみやすい先端形状や柔らかさを短期間で試作・評価できるため、生産現場での設計検証にも活用できる(図4)。
レーザー測定(LiDARスキャン)データからの直接変換機能
ドローンによって取得した地形・建築物の測定データや、事件現場・遺跡のスキャンデータといった3Dデジタルアーカイブ化(スキャンした形状を3Dデータとして記録・保存)されたデータについても、3DP3v2一つで3Dプリント用データへ変換することが可能(図5)。これにより、測定データから造形出力までのプロセスを大幅に簡素化する。
CT(断面画像)スキャンデータからの一貫変換機能
内部構造を可視化するCTスキャンデータは、従来複数のソフトウェアを使用して段階的に3Dプリント用データに変換する必要があり、作業工程が煩雑で時間を要していた。3DP3v2では、こうした従来のワークフローを見直し、CTスキャンデータから3Dプリント用データへの変換を1つのソフトウェアで完結させることが可能だ(図6)。
これにより、CT撮影から造形までの時間を大幅に短縮し、医療分野においては治療の検討に用いる立体モデルを迅速に作成できる。また、研究分野においても、生物や文化財などの内部構造(図7)を視覚的に分かりやすく再現した模型を従来よりも容易に作成することができる。
さらに、従来の3DP3は、クラウドサービスとして提供していたが、今回のバージョンアップにより、インターネットに接続していない環境でも使用可能となった。3Dプリント用データの取り扱いにおいて、機密情報の漏洩リスクや知的財産に関するリスクを低減し、より安心して運用できる。