米Epic Gamesは現地時間の5月11日(木)、Unreal Engine 5.2をリリースした。今回のアップデートではExperimental(実験段階)の新機能搭載に加え、既存機能の細かな改良が施されている。

Procedural Content Generation framework

今回のアップデートにおいて、実験段階ながら目玉機能として紹介されているのが、「Procedural Content Generation framework(PCG)」。プロシージャルで大規模なワールド制作を素早く効率的に行える、UEのエディタ内ツールとランタイムコンポーネントで構成されるフレームワークである。

エディタ内のPCGツールを用いて、ルールやパラメータに基づいて任意のアセットを配置する設定が行えるだけでなく、ランタイムコンポーネントを用いて、ゲームを含むリアルタイムアプリケーション内で任意のシステムを実行できるようになる。ゲームやコンテンツの進捗によってジオメトリが変化した際に、半自動的にワールドを変化させられるということを意味しており、リアルな時間変化、経年劣化などの表現に活用できそうだ。

PCGツールを利用してアセットを配置したシーンの例

Substrate

マテリアルのオーサリングシステム「Substrate」も注目の機能だ(こちらも実験段階)。本機能を有効にすると、シェーディングモデルがモジュール化され、細かなアピアランスとパラメータに分解され、マテリアルに対して細かな制御が行えるようになる。特に、金属の上に液体が付着している表現や、クリアコート塗装の上に乗るホコリといった、レイヤー構造を持つマテリアルのルックデヴで威力を発揮するという。

  • Substrateを利用して塗装のルックデヴを行っている様子
  • Substrateはレイヤー構造を持つマテリアルのルックデヴで威力を発揮するという

NaniteとLumenもアップデート

UE5で搭載された2大注目機能のNaniteとLumenにも細かいながらアップデートがあった。

Naniteでは、カスタムデプスやステンシル、ライティングチャネル、グローバルクリッププレーンがサポートされ、高品質な車のボディの反射を得るような場合に利用できる可変精度ノーマル(Variable precision normals)の追加、ワールドポジションオフセットとNaniteを使用する際に出現しがちなアーティファクトを軽減する設定の追加など。

Lumenでは、シャツの折り目や鼻、耳といった薄いジオメトリに対するキャラクターのGIとオクルージョンの改善を行い、Hair Groom機能との統合を強化。また、半透明マテリアルがマテリアルの粗さに対しても高品質に反射するようになったほか、ソフトウェアレイトレース、ハードウェアレイトレースの両方で品質を改善した。

改善したLumenのGIとオクルージョン

その他のアップデート

上記のほかにも、バーチャルプロダクション用ツールセットの強化、Mac版でのAppleシリコンのネイティブサポート、機械学習を活用した筋肉やクロスのデフォーマ、パストレーサーの進化、マテリアルエディタの改善など、多数のアップデートが施されている。

●Unreal Engine 5.2 is now available!(英語)

https://www.unrealengine.com/en-US/blog/unreal-engine-5-2-is-now-available

●Unreal Engine 5.2 Release Notes(英語)

https://docs.unrealengine.com/5.2/en-US/unreal-engine-5.2-release-notes/