Dimension 5社は3月5日(水)、建築ビジュアライゼーション向けのリアルタイムレンダリングソリューション「D5 Render 2.10」をリリースした。アルファ版としてリアルタイムパストレーシングを実装したほか、夜空のライティング、都市ジェネレータ、AIを活用したモーションブラーやインペイント(部分的な置き換え)といったポスト処理、インターフェイスの日本語ローカライズなどの新機能を搭載している。
リアルタイムパストレーシング(アルファ版)




グローバルイルミネーションの計算に新アプローチ「ReSTIR GI」フレームワークを採用した、リアルタイムパストレーシングがアルファ機能として導入された。これにより、ディフューズ間接照明のディテール描写、金属やガラスなどの高反射サーフェスの正確な反射表現、壁と床の接点などオブジェクトの接続部分におけるより正確なGIなどをリアルタイムで実現する。ユーザーはGIの精度や反射、サンプリング品質のパラメータを調節可能だ。

夜空のライティング

昼夜の変化を表現できるD5 Render内の「Geo Sky」に夜空が追加。月の各種パラメータのカスタマイズが行えるようになったほか、天の川(ミルキーウェイ)の環境も追加されている。

都市ジェネレータ

OpenStreetMap(OSM)データを活用して道路や建物、地形などの情報を自動的に分析し、都市の景観を生成できる都市ジェネレータを搭載。最大4平方キロメートルのエリアについて、建物や道路、緑地、水域など特定の地形要素を選択してインポートできる。インポート後はビューポートに地図モデルが表示され、オブジェクトリスト内で管理できる。
また、地理情報システム(GIS)で使用されるShapefile(.shp)フォーマットにも対応。インポートされたShapefileの地理情報はD5 Renderが自動解析し、対応する3Dモデルを生成する。
AIを活用したポスト処理
▲AI Inpainting(インペインティング、部分置き換え)による空の置き換え例

AIを活用した機能として「AI Inpainting」機能が追加。レンダリング画像から空や海、草木などのエリアを自動認識し、それらを別のオブジェクトに置き換えてペイントできるようになった。エリアは手動でも指定できる。
また、キャラクターや自動車などに対してポスト処理でモーションブラーを適用することが可能になった。角度と強度、自動車のテールランプの描写の有無を選択できる。
地形の浸食を正確に制御

地形のサーフェステクスチャに「Erosion Mask(侵食マスク)」が追加。侵食エフェクトとそのエリアを正確に制御できるようになった。なお、Erosion(浸食)レイヤーは変更された地形の高さに合わせて自動適応する。
スキャタワークフローの最適化

ツールバーに「Quick Scatter Template」が追加され、スキャッタリングサーフェス作成後の工程ガイドとして右サイドバーにプロンプトが表示されるようになった。また、散布面エッジに発生するジャギーを取り除くために役立つ「Scatter Quality」(スキャタ品質)オプションも新たに追加された。
その他、全更新内容はこちら。
■What’s new in D5 Render 2.10(D5 RENDER FORUM、英語)
https://forum.d5render.com/t/what-s-new-in-d5-render-2-10/54126
■What is Real-Time Path Tracing in D5 Render 2.10 and Why Does It Matter?(英語)
https://www.d5render.com/posts/what-is-real-time-path-tracing-in-d5-render-2-10
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