ブルガリア共和国のChaos Software社は1月28日(火)、3Dレンダリングソフトウェア「V-Ray 7 for Maya」、「V-Ray 7 for Houdini」をリリースした。先行するV-Ray 7 for 3ds MaxやV-Ray 7 for CINEMA 4Dなどと同様の新機能搭載に加えて、それぞれ固有の新機能も搭載する。
「V-Ray 7 for Maya」「V-Ray 7 for Houdini」共通の新機能
3D Gaussian Splattingのレンダリングに対応
3D Gaussian Splatting(3DGS)がサポートされ、V-Ray 7のレイトレーシング機能によって、キャプチャされた環境のGaussian SplatsとPCで生成したオブジェクトをシームレスにブレンドできる。
■3D Gaussian Splatting: A new frontier in rendering(公式ブログ記事、英語)
https://www.chaos.com/blog/3d-gaussian-splatting-new-frontier-in-rendering
新しいFireFly(明るいピクセル)の除去アルゴリズム
FireFly(明るいピクセルの斑点)を効率的に除去することで高品質なレンダリングを短時間で実現する、新しいFireFly除去アルゴリズムを搭載している。
Intel Open Image denoiser(デノイザー)のアップデート
Intel Open Image Denoise 2.3.0をサポートし、デノイズの品質が向上。
V-Ray GPUの強化
V-Ray GPUはレンダリングスピードが大幅に高速化され、コースティクスもサポート。最初のレンダリングピクセルまでの時間を短縮し、テクスチャをより効率的に処理するように最適化された。
改良されたV-Ray Sunによるライティングの進化
V-Ray SunのPRG Skyモデルは、海上の薄明かりをサポートするように改良され、Turbidity(水の濁り度合い、濁度)レベルの調整によりシーンの精度とコントロールを向上できるようになった。
ライトパスエクスプレッションでシャドウを分離
ライトパスエクスプレッション(LPEs、Light Path Expressions)の拡張により、シャドウの情報をライトやオブジェクト、マテリアル単位で抽出できるようになった。
VFB(V-Ray Frame Buffer)の強化
VFB(V-Ray Frame Buffer)で複数のカスタムシェイプの領域を定義し、領域のみをレンダリングできるようになった。また、新しくVignette(ビネット)レイヤーが追加。VFB内で範囲や強度を調整できる。
「V-Ray 7 for Maya」固有の新機能
OpenPBRのサポート
V-Ray Materialにオープンなサーフェスシェーディングモデル規格「OpenPBR」のモードが追加。複数の3DCGツール間で一貫したシェーディングを実現できるようになった。
■関連記事:OpenPBR 1.0がGitHubでリリース! 物理ベースレンダリングのシェーディングモデル共通化に向けた大きな一歩(CGWORLD.jp)
Chaos Scatterの強化
新しいChaos Scatterコントロールにより、オブジェクトの配置やアートディレクションがより簡単になった。「Look at」オプションを使って樹木が太陽に向かって傾く様子を自動で再現したり、散布用のサーフェスをスプラインで描いたりといったコントロールも可能。
Chaos Cosmosにアセットの切り替え機能が追加
新機能asset variants(アセットのバリアント)が利用可能に。アセットバージョンを簡単に切り替えて、新緑と紅葉の風景を瞬時に切り替えるといった使い方ができる。
複雑な照明器具のライティングをスピーディにレンダリングするV-Ray Luminaires
Chaos製品のCosmosライブラリに含まれる照明器具のオブジェクトを効率的かつ正確にレンダリングする新しい方法としてV-Ray Luminairesを搭載。これにより、モデルをCosmosライブラリからインポートした際に、ジオメトリと光源に加えて、新しいVRayLuminaireライトという光源が作成され、外から見たときの発光をエミュレートする。VRayLuminaireライトは、事前に計算されたライトフィールドを参照し、ライトカラーや強度などもコントロールできる。
■V-Ray Luminaires: dramatically faster, more accurate rendering of complex light fixtures(公式ブログ記事、英語)
https://www.chaos.com/blog/v-ray-luminaires
USDサポートの拡張
V-Ray 7 for MayaはMayaUSD 0.30.0をサポート。V-Ray Clipperを含むサポートも拡張された。
「V-Ray 7 for Houdini」固有の新機能
新しいボリュームシェーダ
雲、煙、大気のようなボリュームエフェクトを簡単に作成できるシェーディングのアップデートが実装。シェーディンググラフの構築が可能で、ライトセレクトのサポートにより、コンポジットでボリューメトリックをより自由にコントロールできる。なお、新ボリュームシェーダはパフォーマンスが最大6倍向上しているという。
MaterialXサポートの拡張
ノイズやパターン、ランダム化のオプションなど、ほとんどのMtlXプロシージャルテクスチャを作成し、レンダリングできるようになった。
より簡単になったトゥーンシェーディング
V-Ray for Solarisのトゥーンシェーディングのワークフローが完全に再設計され、より直感的になった。
Copernicus・Yetiキャッシュ・Chaos Cosmosのサポート
Solaris用V-Rayは、Houdini 20.5の新機能であるCopernicusをサポート。また、V-Ray yetiノードの新搭載により、SolarisでYetiキャッシュファイルのレンダリングが可能になった。さらに、Chaos CosmosはSolaris版V-Rayと完全に統合され、Cosmosのモデルやマテリアル、HDRIを簡単にシーンに配置できるようになった。
V-Ray 7 for Maya、V-Ray 7 for Houdiniの全更新内容はこちら。
■Transform how you create with V-Ray 7 for Maya and Houdini(公式ブログ、英語)
https://www.chaos.com/blog/v-ray-7-maya-and-houdini
■What's New in V-Ray 7 for Maya(chaos docs、英語)
https://docs.chaos.com/display/VMAYA/What%27s+New+in+V-Ray+7
■What's New in V-Ray 7 for Houdini(chaos docs、英語)
https://docs.chaos.com/display/VRAYHOUDINI/What%27s+New+in+V-Ray+7
CGWORLD関連情報
●「V-Ray 7 for Cinema 4D」リリース! Gaussian Splatsサポート、OpenPBRサポート、VFBの機能強化、V-Ray GPUの進化など新機能多数
Chaos Softwareが3Dレンダリングソフトウェア「V-Ray 7 for Cinema 4D」をリリース。
https://cgworld.jp/flashnews/202501-V%E2%88%92Ray7-C4D.html
●高品質な定番レンダラ「V-Ray」がついにBlenderに! 「V-Ray for Blender」ベータ版提供開始
Chaos Softwareが3Dレンダリングソフトウェア「V-Ray」のBlender版、「V-Ray for Blender」のベータ版を公開。対応ホストはWindows版Bleder 4.2で、アドオンとして提供される。ベータライセンスはChaosアカウントに紐付けられ、ベータテスト期間中は無料で利用できる。
https://cgworld.jp/flashnews/202412-VRay-Blender.html
●「V-Ray 7 for 3ds Max」リリース! 3D Gaussian Splattingレンダリングのサポート、VFB強化、高度な照明機器のライティング表現、V-Ray GPUの強化など
Chaos Softwareが「V-Ray 7 for 3ds Max」をリリース。
https://cgworld.jp/flashnews/202411-VRay7.html