ブルガリア共和国のChaos Software社は12月11日(水)、3Dレンダリングソフトウェア「V-Ray」のBlender版、「V-Ray for Blender」のベータ版を公開した。対応ホストはWindows版Bleder 4.2で、アドオンとして提供される。ベータライセンスはChaosアカウントに紐付けられ、ベータテスト期間中は無料で利用できる。
V-Ray for Blenderの基本機能
品質と安定性に定評ある多彩なレンダリング機能
クオリティとスピード、安定性に定評のあるV-Rayのレイトレーサーは、CPU・GPU・ハイブリッドレンダリングのいずれにも対応し、ハードウェア性能を最大限に活用できる。
NVIDIA AI DenoiserとIntel Open Image Denoiserによるシャープかつクリーンなレンダリング結果、Firefly(明るいピクセル)の自動検出&除去機能、高度な合成のためのマルチチャンネルやディープEXR、クリプトマット、ライトパスエクスプレッションなどのレンダーチャンネルセットも備える。
GI・サン&スカイ・HDRIなどによるリアルなライティング
V-Rayでは、光のバウンスやサーフェスとの相互作用を正確にシミュレートして、自然なシャドウや反射、アンビエントライティングを作成できるGI(グローバルイルミネーション)を利用可能。GIエンジンには、品質と速度のバランスを考慮して、レイトレースとハイブリッドグローバルイルミネーションを使い分けることができる。
また、フォトリアルよりもクリエイティブを優先したいケースにも対応できる、幅広いライトタイプの人工照明をシミュレートする柔軟なツール群も提供される。
V-Ray Sun & Skyではプロシージャルな雲の制御やシーンに適した空の様子を表現できるほか、エアリアルパースペクティブや環境フォグを利用して奥行きや雰囲気を演出することも可能。
HDRI(ハイダイナミックレンジ画像)を用いて自然光や人工照明のリアルなクオリティを正確に再現したり、V-Ray Dome LightのFiniteモードを利用して3DCGを現実の環境映像にシームレスに統合することもできる。
シネマティック&フォトリアルなルックを生むカメラ&レンズエフェクト
リアルなカメラコントロールや被写界深度、モーションブラーなどによる、フォトリアルかつシネマティックなレンダリングに対応。また、V-Ray Frame Bufferのレンズポストエフェクトを使用することで、オート露出とホワイトバランス設定、ブルーム、グレア、ダスト、スクラッチなどのレンズエフェクトを簡単にシミュレートできる。
豊富なシェーダ・マテリアル・テクスチャツール群
豊富なシェーダやテクスチャが用意され、フォトリアルからスタイライズまで多様なルックを作成可能。シェーダセットにはリアルなヘアや金属、半透明の肌、複雑なレイヤーエフェクトなどが用意され、アーティスティックに調整可能なツールが提供される。
テクスチャツールキットを用いることで、自然なサーフェスや複雑なパターン、複雑なレイヤーマテリアルなどを柔軟に作成でき、プロシージャルテクスチャやテクスチャユーティリティなどのオプションも活用できる。
シェーディング言語としてOSL(Open Shading Language)とGLSL(OpenGL Shading Language)シェーダをサポートし、カスタムプロシージャルシェーダも柔軟に作成できる。
V-Ray Clipperなど高度なジオメトリツールも搭載
複雑なジオメトリを簡単に作成・管理するためのツールも搭載されており、V-Ray Clipperでは任意のメッシュオブジェクトを使用して複雑な切り抜きや断面を簡単に作成できる。また、V-Ray Proxiesを使用した大規模なシーンの効率的なレンダリング、Blenderのヘアソリューションのサポートによるリアルなヘアやファー表現も可能だ。
ユニバーサルV-Rayシーンファイルフォーマットを使った他のDCCツールやチーム制作との連携
V-Ray for BlenderではユニバーサルV-Rayシーンファイルフォーマットの使用が可能。そのため、ジオメトリやライト、シェーダ、テクスチャを含むシーンをエクスポートすることで、V-Rayベースの他のDCCツールなどの制作パイプラインに対応できる。アセット変換に要する時間を削減し、ワークフロー内で一貫した結果が得られるほか、カスタムスクリプトを利用することでマテリアルの転送とマッチングも行える。
その他、V-Ray Frame Buffer(VFB)によるビルトインのポストプロセス、6,000点を超えるChaos Cosmosの豊富なアセット活用、Chaos Cloudを使ったクラウドベースのワークフローなども利用できる。V-Ray for Blenderの機能やベータテスト参加についてはこちら。
■V-Ray for Blender - available in beta(公式サイト、英語)
https://www.chaos.com/vray/blender
障害:No floating license errorの解決方法について
一部の環境で「No floating license error」としてV-Rayが起動できないトラブルが発生していたが、アップデート済みビルドのダウンロード&インストール、BlenderからのChaosアカウントへのサインアウト&サインインといった手順により解決することがわかっている。詳しくは下記フォーラムのポストへ。
■[SOLVED] No floating license error(Chaos Forums、英語)
https://forums.chaos.com/forum/v-ray-for-blender-beta/v-ray-for-blender-beta-issues/1222462-solved-no-floating-license-error
CGWORLD関連情報
●「Blender 4.3」リリース! ジオメトリノードやEEVEEの強化、グリースペンシル刷新、新しいブラシワークフローなど新機能多数
Blender 4.3ではジオメトリノードへの機能追加による利便性向上、グリースペンシルのソース書き直しによるパフォーマンス向上と新機能追加、ブラシのアセット化、Metallic BSDFシェーダノード、Gabor Noiseテクスチャノード、UV展開メソッドMinimum Stretchなど、多数の更新が施されている。
https://cgworld.jp/flashnews/202411-Blender43.html
●ハードサーフェスモデルをチェックできる無料ツール「HardSurfaceCheck」リリース! モデリングの各段階でモデルをチェックする支援アプリ
イギリスのゲームデベロッパーFacepunch Studiosでリードウェポン&プロップアーティストを務めるPilgrim氏が、ハードサーフェスモデルのチェックが行えるWindows用アプリケーション「HardSurfaceCheck」をGumroadでリリース。モデリングの各段階でモデルをチェックし、ハードサーフェスモデリングのベストプラクティスを浸透させることを目的としている。
https://cgworld.jp/flashnews/202412-HardSurfaceCheck.html
●Maya用UVパッキングツール「UVPackmaster 3 for Maya」リリース! Blender版と同様の便利な機能群を搭載
glukozがMaya用のUVパッキングツール「UVPackmaster 3 for Maya」をリリース。同社開発の人気ツール「UVPackmaster 3 for Blender」と同様の機能群を備え、高速なUVパッキングをはじめとするUV編集ワークフローを提供する。
https://cgworld.jp/flashnews/202412-UVPack-Maya.html
●「V-Ray 7 for 3ds Max」リリース! 3D Gaussian Splattingレンダリングのサポート、VFB強化、高度な照明機器のライティング表現、V-Ray GPUの強化など
Chaos Software社が、3Dレンダリングソフトウェア「V-Ray 7 for 3ds Max」をリリース。3D Gaussian Splattingのレンダリングに対応したほか、ワークフロー改善のためのVFB(V-Ray Frame Buffer)強化、V-Ray Luminairesによる高速な照明機器のライティング表現、新しいFireFly除去アルゴリズム、Chaos Coronaでのみ利用可能だったChaos Scatterのサポート、V-Ray GPUの強化など、多数の新機能と改善が施されている。
https://cgworld.jp/flashnews/202411-VRay7.html
●3ds Max・Cinema 4D用建築ビジュアライゼーション向けのレンダラ「Corona 12 Update 1」リリース! Chaos Vantageライブリンク、コースティクスの改善など
Chaos Software社が、3ds MaxおよびCinema 4D用の建築ビジュアライゼーションレンダラ「Chaos Corona」の最新バージョン、Chaos Corona 12 Update 1をリリース。
https://cgworld.jp/flashnews/202411-Corona12-1.html
●建築ビジュアライゼーションプラグイン「Chaos Enscape 4.2」リリース! ホストアプリケーションとの統合強化など
Chaos Software社がCAD/BIMツール用リアルタイムビジュアライゼーションツール「Chaos Enscape 4.2」をリリース。Enscapeは建築・設計業界向けツールのプラグインとして、各CAD/BIMツール上のデータをリアルタイムレンダリングし、ウォークスルーやVRコンテンツを生成するソフトウェア。バージョン4.2では、各ホストアプリケーションとの統合が強化されたほか、建築パフォーマンス分析アドオンの「Enscape Impact」が製品版としてリリースされている。
https://cgworld.jp/flashnews/202411-Enscape42.html
●V-Rayシーンのリアルタイムビジュアライゼーションツール「Chaos Vantage 2.6」リリース! サブサーフェス・スキャタリングのサポートや水オブジェクトの搭載など
Chaos Software社が、V-Rayシーンのリアルタイムレイトレースによるビジュアライゼーション&プリビズ制作ツール「Chaos Vantage 2.6」をリリース。サブサーフェス・スキャタリングへの対応、不透明度のサポート、水オブジェクトによるリアルな水面の作成、VRコントローラのサポートなどの新機能を搭載している。
https://cgworld.jp/flashnews/202410-ChaosVantage26.html