レンダラV-Rayなどの開発・販売で知られるブルガリア共和国のChaos Software社は11月19日(火)、3ds MaxおよびCinema 4D用の建築ビジュアライゼーションレンダラ「Chaos Corona」の最新バージョン、Chaos Corona 12 Update 1をリリースした。
ライブリンク(Live Link)の初期実装として、同社リアルタイムレイトレースソリューション「Chaos Vantage」をインタラクティブレンダリングとして利用できるようになったほか、コースティクスの改良、自動露出&ホワイトバランス、新しい画像のアップスケーリングなどが実装されている。

CoronaからVantageへのライブリンク機能

ライブリンクの初期実装として、Chaos VantageによるGPUの高速なレイトレースレンダリングをCoronaのインタラクティブレンダリングとして利用できるようになった。3ds MaxやCinema 4D内での変更を反映して素早く描画が更新され、イテレーション向上に役立つ。

Chaos Cloudコラボレーションとバーチャルツアー

CoronaのVFB 2(Virtual Frame Buffer 2)から直接Chaos Cloud Collaborationに画像を送信し、クライアントと画像を共有しながらマークアップやコメントを入力できるようになった。また、Chaos Cloud内でのバーチャルツアー作成にも対応した。

コースティクスの改良

コースティクスは従来よりも処理が高速化し、「Caustics Surface Multiplier(コースティクスサーフェス乗数)」の設定による、Beautyパスでのコースティクス強度の調整に対応。さらに、コースティクスから生成された光線がボリューメトリックマテリアルを通過する際、反射光線や屈折光線を可視化するオプションが追加された(上記動画)。

露出とホワイトバランスの自動設定機能

VFB 2に「Auto Exposure(自動露出)」チェックボックスが追加。また、「Strength(強度)」パラメータも用意され、自動調整の程度を制御できる。さらに、薄暗い場所から明るい場所に移動するアニメーションシーンに役立つ「Update during animation(アニメーション中に更新)」も追加され、フレーム単位で露出とホワイトバランスを再計算できるようになった。

NVIDIA RTXのAIを活用したアップスケーリングを採用

本アップデートでは、画像アップスケーリング技術としてNVIDIAのAIアップスケールを利用。テストアニメーションのレンダリングが高速化し、インタラクティブレンダリング(IR)有効時にも応答性が向上する可能性があるという。

その他、全更新内容はこちら。

■Corona 12 Update 1: Team up and speed up with the latest version(公式ブログ、英語)
https://www.chaos.com/blog/corona-12-update-1

CGWORLD関連情報

●建築ビジュアライゼーションプラグイン「Chaos Enscape 4.2」リリース! ホストアプリケーションとの統合強化など

Chaos Software社がCAD/BIMツール用リアルタイムビジュアライゼーションツール「Chaos Enscape 4.2」をリリース。Enscapeは建築・設計業界向けツールのプラグインとして、各CAD/BIMツール上のデータをリアルタイムレンダリングし、ウォークスルーやVRコンテンツを生成するソフトウェア。バージョン4.2では、各ホストアプリケーションとの統合が強化されたほか、建築パフォーマンス分析アドオンの「Enscape Impact」が製品版としてリリースされている。
https://cgworld.jp/flashnews/202411-Enscape42.html

●V-Rayシーンのリアルタイムビジュアライゼーションツール「Chaos Vantage 2.6」リリース! サブサーフェス・スキャタリングのサポートや水オブジェクトの搭載など

Chaos Software社は、V-Rayシーンのリアルタイムレイトレースによるビジュアライゼーション&プリビズ制作ツール「Chaos Vantage 2.6」をリリース。サブサーフェス・スキャタリングへの対応、不透明度のサポート、水オブジェクトによるリアルな水面の作成、VRコントローラのサポートなどの新機能を搭載している。
https://cgworld.jp/flashnews/202410-ChaosVantage26.html

●建築ビジュアライゼーション向けリアルタイムレンダラ「D5 Render 2.9」リリース! 地形ツール、AI機能強化、Blender 4.2のジオメトリノードサポートなど

Dimension 5社は、建築ビジュアライゼーション向けのリアルタイムレンダリングソリューション「D5 Render 2.9」をリリース。D5 Render上で直接地形を作成する機能や建築物の構築プロセスをアニメーション化できるフェージングアニメーション機能、ランダム配置機能、アセットの拡充、バージョン2.8のAIエンハンサーツールがアップグレードしたPost-Ai機能など、多数の更新が施されている。
https://cgworld.jp/flashnews/202411-D5Render29.html