11月20日(水)、Blender 4.3が正式にリリースされ、公式サイトからダウンロードが可能となった。ジオメトリノードへの機能追加による利便性向上、グリースペンシルのソース書き直しによるパフォーマンス向上と新機能追加、ブラシのアセット化、Metallic BSDFシェーダノード、Gabor Noiseテクスチャノード、UV展開メソッドMinimum Stretchなど、多数の更新が施されている。

Blender Foundationとオンラインディベロッパーコミュニティは、Blender 4.3を発表できることを誇りに思います。


Blender 4.3には、EEVEEのライトリンキングやマルチパスコンポジット、パフォーマンス向上、グリースペンシルv3に向けた布石など、既存ツールに対するエキサイティングな改善が詰まっています。


さらに、新機能からアクセシビリティの強化まで何百もの更新と、いつも通り、多数の修正を行いました。

EEVEEがライト&シャドウリンキングに対応

Cyclesで利用できるライトリンキングおよびシャドウリンキング機能がEEVEEにも追加。ライトリンキングではライトをシーン内の特定のオブジェクトのみに影響するように設定でき、シャドウリンキングではどのオブジェクトがライトのシャドウブロッカーとして作用するかをコントロールできる。

Metallic BSDFシェーダノード

  • ニッケルと銅のマテリアルを再現

従来、その機能にアクセスしにくかったメタリックマテリアルの設定をコンパクトなノードにまとめたMetallic BSDFノードを新たに追加。

Gabor Noiseテクスチャノード

プロシージャルなノイズにより、交差するひもやストローク、パターンなどを生成できるGabor Noise(ガボールノイズ)テクスチャノードが追加された。

コンポジターがEEVEEのマルチパス合成をサポート

インタラクティブ合成にEEVEEパスが対応し、複雑なNPR(Non-Photorealistic Rendering)セットアップやエフェクトをビューポート内で直接作成できるようになった。

新しいUV展開メソッド「Minimum Stretch」の追加

  • Minimum Stretch
  • Angle Based(デフォルト)

有機的な形状に最適な、新しい反復アンラップ手法「Minimum Stretch」が追加。結果を反復的に微調整することで、より歪みの少ない結果を提供する。内部的にSLIMアルゴリズム(Scalable Local Injective Mappings)を使用している。

ジオメトリノードの更新(ギズモ、For Each Elementゾーン、グリースペンシル対応など)

■For Each Elementゾーン

新タイプのループゾーンとしてFor Each Elementゾーンが追加され、ジオメトリ要素の並列繰り返し処理が容易になった。

■ギズモ

ノードグループにギズモが追加され、3Dビューポート上でノードツリー入力の編集が可能になった。

■ジオメトリへの名前の割り当て

Set Geometry Nameノードが追加され、ジオメトリに簡単に名前を割り当てることができる。また、オブジェクト名とコレクション名に基づいて自動的に初期化する設定もできる。

■グリースペンシルへの対応

ジオメトリノードがグリースペンシルのデータをカーブやカスタムアトリビュートを持つレイヤーに分解できるようになった。カーブを扱う多くのノードはグリースペンシルデータをシームレスに処理するよう更新され、各レイヤーを独立して処理する。

■ベイクの.blendファイルへのパック

BakeノードまたはSimulationゾーンで作成されたベイクが「.blend」ファイルにパックできるようになった。

グリースペンシルエンジンの刷新

  • レイヤーグループ
  • 新しいグラデーション塗りつぶしツール
新しい消しゴムツール

グリースペンシルはパフォーマンス向上と制限撤廃を目的に書き直され、レイヤグループ、新しいグラデーション塗りつぶしツール、ストロークのカットなどができる4つのブラシが用意された新しい消しゴムツールなどの新機能も追加された。

新しいブラシワークフロー

ブラシはアセットのひとつとなり、保存や共有、再利用をアセットブラウザから行えるようになった。

その他、全更新内容はこちら。

■Blender 4.3新機能ダイジェスト紹介ページ(英語)
https://www.blender.org/download/releases/4-3/

■Blender 4.3 Release Notes(英語)
https://developer.blender.org/docs/release_notes/4.3/

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