Maxonは1月12日、業界標準のデジタルスカルプトソフトウェア、ZBrushのメジャーアップグレードを発表した。最新アップデート版「ZBrush 2023」では、Redshiftが統合された他、 スカルプトツールやZリメッシャーについて新機能の追加、改善が図られた。
ZBrush 2023を導入検証済みのKhaki 横原大和氏のファーストインプレッションも紹介しているのでそちらも参照してもらいたい。(※2/1追記)
■ZBrush 2023へのアップデートでRedshiftを搭載
ZBrush2023へのRedshift統合の最初のステップとして、サブサーフェススキャッタリングと発光ライト生成で高品質な画像をレンダリングする新たなワークフローを提供されるとのこと。
Redshift for ZBrushはStandard、Matcap、Redshiftマテリアルをサポートし、金属の質感やガラスのコースティクスを生成しリアリズムを向上させる。Maxon Oneの加入者は、レンダリングにNvidiaとAppleのGPUのフルパワーを利用することができ、すべてのサブスクリプションユーザーは、互換性のあるシステムでCPUを使用すればピクセル単位で一致する結果が得ることができるそうだ。
○横原大和氏(Khaki)コメントーRedshiftの統合について
Maxon製品として初めての大きなアップデートということで期待していました。
ZBrush内にモダンなレンダラーが搭載されるのは長年望んでいましたので、当社でもメインレンダラーとして使用しているRedshiftが搭載されたというのは非常にうれしいです。
これまでは陰影の確認などのためにほかのツールに書き出すなどの作業が必要でしたが、その手間がなくなることにより、スカルプトの効率が上がりそうですね。
zbrush2023入れた。待ち望んでいたzbrush内でのredshiftレンダラー。ただ操作が独特過ぎと機能がまだ限定されている。keyshotみたいな操作性とUIにして欲しい。統合した最初のステップって言ってるからどんどん良くなるのを期待 pic.twitter.com/WogQJr1k1f
— Hirokazu Yokohara (@Yokohara_h) January 12, 2023
Redshift for ZBrushの使用条件
ZBrush サブスクリプションライセンスをお持ちの場合:
Redshift BridgeとRedshift CPUを搭載したZBrush 2023を利用可能。Redshift GPUを使用するには、さらにRedshiftのサブスクリプションへの加入が必要。
ZBrush 永久ライセンスをお持ちの場合:
Redshift Bridge を含む新しい ZBrush 機能が含まれる。 Redshift Bridge を使用するには、Redshiftのサブスクリプションへの加入が必要。
Maxon Oneサブスクリプションをお持ちの場合:
Maxon Oneの全ラインナップが含まれるため、Redshift Bridgeおよび、ZBrush上でRedshift GPUとCPUが共に使用可能。
■ZBrush 2023 その他新機能および機能改善
・新規および改善された スカルプトツール
スライムブリッジ、Sculptris Pro、ダイナミックシンメトリ、マスク領域、最後の操作を適用
https://www.maxon.net/zbrush/features/sculptural-freedom
・Zリメッシャー リトライ / ポリペイントを保持
業界最高の自動リトポロジーは、異なる設定の結果を保存して比較できるオプションによって、さらに改善された。ポリペイントを保持する新しいオプションにより、制作のどの時点でもメッシュを最適化することができる。
https://www.maxon.net/zbrush/features/remeshing-options
・クリースエッジ UVアンラップ
クリースエッジは、UVマップ生成のためにUVシームを配置すべき最も効率的なハードエッジと「クリース(折り目)」を自動的に検出する。
ZBrush 2023のスライムブリッジですが、荒いメッシュから細かいメッシュにブリッジさせると、ブリッジを徐々に細くできます。アコウの木のような植物の根が張り巡らされたような表現に便利です。 pic.twitter.com/JU5rMv1612
— MaxonJapan (@maxonjapan) January 23, 2023
○横原大和氏(Khaki)コメントー新機能・機能改修について/今後への期待
ローカルシンメトリ、クリースエッジ UVアンラップ、Zリメッシャーのリトライなどの機能改善は実作業での効率化に繋がりそうで期待しています。
当社ではスキャンアセットなどを綺麗にする際にZBrushを使用しているので、Zリメッシャーの改良によって作業時間の短縮につながるのではと考えています。
近頃は以前より重いハイポリゴンデータを扱うことも増えてきているのでさらに扱えるポリゴン数が増えて欲しいです。当社の業務内容的にはUV、UDIMなどの機能強化にも期待したいですね。
また、ZBrushはスカルプトモデリングの業界標準ツールなので新規ユーザーを増やしていけるよう、インディユーザーにも優しい金額のプランなどが出てくるといいですね。
■Maxon One その他製品アップデート情報
Forger
・サブディビジョンサーフェイス
iPadで使えるForgerの機能が拡張され、アーティストはスカルプトにとどまらず、どこでも制作できるようになった。サブディビジョンサーフェイスや対称など、完全なポリゴンモデリングツールセットにアクセスできるようになった。
Red Giant Trapcode
・パフォーマンス重視の一環として、MaxonはParticularに若干の改良が加えられた
パフォーマンス重視の一環として、MaxonはParticularに若干の改良を加えた。最適化された新しいワークフローにより、AEコンプでエミッターを任意の3Dレイヤーにリンクさせることができ、パーティクルシステムのセットアップがより効率的になった。また、アニメーションしたPhysics Time Factorを使用する際のパフォーマンスも最適化され、Formパーティクルのメモリ管理も改善された。
Maxon カプセル
・Maxonは、サブスクリプションユーザーの創造力を刺激し手助けする素晴らしいカプセル素材を定期的に提供し続けている。Redshiftに最適化された75種類以上のモデル、30種類のRedshiftマテリアルとして木目、金属、液体、さらにMaxon One専用のマテリアルも30種類追加されている。Rocket Lassoと共同で作成された新しいWave Splineプリミティブにより、Maxon One加入者は、オシロスコープ、サウンドフォーム、その他のアニメーション波形をシミュレートできる。すべてのアップデートは、Maxon AppとMaxonのウェブサイトからすぐに利用できる。