3DCG・VFXの魅力があふれる山崎 貴監督作品の制作舞台裏を紹介する展覧会「映画監督 山崎貴の世界」が開催される。開催会場は、山崎監督の出身地でもある長野県松本市にある「松本市美術館」。会期は2023年7月15日(土)~10月29日(日)まで。
■「映画監督 山崎貴の世界」のCGW的見どころは?
★CG・VFX作品の舞台裏を、その目に!
『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズや『STAND BY ME ドラえもん』シリーズなど、VFXを駆使した実写作品から3DCGアニメーションまで、高い技術力で映像制作に挑み続ける山崎監督。昨年には本誌で特集を組むなど、CGWORLDもその制作の舞台裏について数多く紹介してきた。
CGWORLD 2022年11月号 vol.291
特集:山崎 貴と白組 調布スタジオ
判型:A4ワイド
総ページ数:112
発売日:2022年10月7日
価格:1,540 円(税込)
その山崎作品のためにつくられた、絵コンテやデザイン画、ミニチュアや、実物大セットなどの展示を、直接見ることができるのがこの「映画監督 山崎貴の世界」だ。作品のために費やされた技術や制作過程を“リアルな”肌触りとともに体験できる、またとないチャンスとなっている。
★展示内容の紹介
scene1:ジュブナイル~少年たちの冒険譚
監督としての出発点となった映画『ジュブナイル』(2000年)。少年たちとロボット「テトラ」との出会い、宇宙船、そしてタイムマシン――心躍る冒険は22年後に引き継がれ、『ゴーストブック おばけずかん』(2022年)も制作された。テトラや図鑑坊のモックアップをはじめ、実際の撮影に使用された実物大のセットも展示予定。
scene2:3DCGの世界
フル3DCGの長編アニメーション映画から、八木竜一監督とタッグを組んだ『friends もののけ島のナキ』(2011年)、そして『STAND BY ME ドラえもん』シリーズ(2014年、20年)を紹介。山崎監督自身が手掛けたキャラクターデザインや映画のために制作された「のび太の部屋のミニチュア」なども展示する。併せて、カプコンのゲーム『鬼武者3』のオープニングムービーを演出した際に制作したモックアップも公開予定だ。
scene3:時空を超える冒険譚
デビューから2作目の監督作品となった、映画『リターナー』(2002年)。その後の『BALLAD 名もなき恋のうた 』(2009年)は映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦 国大合戦』を原案とした実写作品で、監督初の時代劇となった。また、往年の人気アニメ『宇宙戦艦ヤマト』を実写映画化した『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(2010年)など、VFXだからこそ実現した3本の実写映画から、持道具やデザイン画・コンテ、ミニチュアなどを中心に紹介する。
scene4:異世界との遭遇
VFXの真骨頂ともいえる、この世には存在しない者たちとの共存を描いた2本の映画『寄生獣』シリーズ(2014年、15年)と『DESTINY 鎌倉ものがたり』(2017年)。これらの作品から、山崎監督によるコンセプトアートやミニチュア、撮影で使われた衣裳などを展示予定だ。併せてBUMP OF CHICKENのライブ『WILLPOLIS 2014』の映像に登場したミニチュアも紹介する。
scene5:ノスタルジック昭和邂逅
山崎監督の名を世に知らしめた、人情味あふれる市井の人々を描いた『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ(2005年、07年、12年)。東京タワー建設や東京オリンピックが開催された昭和30年代の日本を、VFXを駆使して再現した作品だ。この『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズのほか、石油をめぐって世界に戦いを挑んだ人物を描いた『海賊とよばれた男』から、昭和の街並みを再現するミニチュアやCG合成のために描かれたマット画などを中心に紹介する。
scene6:再現~ WWII
太平洋戦争を題材に扱った2本の映画『永遠の0』(2013年)と『アルキメデスの大戦』(2019年)。戦争末期が舞台となる前者と、戦争の足音が聞こえ始めた時代を扱った後者から、実際の撮影に使われた戦艦や空母などの模型や図面などを紹介。さらに、乗り込み可能な零戦コックピットも展示する。
scene7:日本の大スター、GODZILLA
その圧倒的存在感で超大型怪獣として世界的に有名なゴジラを題材に、山崎監督は西武園ゆうえんちのアトラクション『ゴジラ ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦』も演出した。それらのイメージデザインや今年の11月に公開予定となる『ゴジラ』最新作の展示も!?
epilogue
山崎監督がこれまでに描きためたラフスケッチやデザイン画、構想中のラフコンテなども一挙公開。
■開催概要
「映画監督 山崎貴の世界」
会期:2023年7月15日(土)~10月29日(日)
会場:松本市美術館 企画展示室(長野県松本市)
開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)
観覧料:大人1,300円、大学高校生900円
前売券:大人1,100円、大学高校生700円
※20名以上の団体は200円引き
※大学高校生は、観覧当日、学生証の呈示が必要
※同展観覧券では松本市美術館3階コレクション展示室と記念展示室は見ることができない。別途、コレクション展示の観覧券が必要になる
※前売券の取り扱いは7月14日(金)まで
主催:松本市美術館 、TSB テレビ信州
yamazakitakashi-exhibition.com
問合せ:松本市美術館 TEL 0263-39-7400
■山崎 貴監督プロフィール
1964年、松本市生まれ。松本県ケ丘高校を卒業後、阿佐ヶ谷美術専門学校で学ぶ。2000年『ジュブナイル』で監督デビュー。CGによる高度なビジュアルを駆使した映像表現・VFXの第一人者。『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年)では、心温まる人情や活気、空気感を持つ昭和の街並みをVFXで表現し話題になり、第29回日本アカデミー賞最優秀作品賞・監督賞など12部門を受賞。『永遠の0』(2013 年)では、第38回日本アカデミー賞最優秀作品賞など8部門、共同監督を務めた『STAND BY ME ドラえもん』(2014年)では、最優秀アニメーション作品賞を受賞。日本を代表する映画監督の一人。
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