『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』のメイキングを紹介する『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』制作ドキュメンタリー《前編》』が、YouTubeにて公開された。
浮世絵を彷彿とさせるルックや豪華絢爛な色彩など、独自の映像表現について、高橋裕一氏(アニメーションキャラデザイン・総作画監督)、辻田邦夫氏(色彩設計)、泉津井陽一氏(ビジュアルディレクター)の3名が解説している。
■『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』、注目ポイントは?
三章構成となる『劇場版モノノ怪』シリーズの第二章となる『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』が、3月14日(金)に公開された。シリーズ第一章となった『劇場版モノノ怪 唐傘』(2024)が、「第28回ファンタジア国際映画祭」で長編アニメ部門最優秀賞と観客賞銅賞をW受賞するなど、海外からも高い評価を得る注目作だ。
同作の特長はなんといっても、独自の映像表現だ。大奥を舞台に、浮世絵を意識した画づくりが目指されているのだが、そのポイントを少しだけ紹介しよう。
浮世絵ライクな映像づくりのポイント
①昼夜の明るさを変えない
『劇場版モノノ怪』では夜の色と昼の色(シーン色)をつくっていない。背景の色味は変えるものの、昼であっても夜であっても明るさは変化させないことで「絵の世界」を表現している。

②キャラクターに影をつけない
通常のアニメにあるようなキャラクターの影が『劇場版モノノ怪』にはない。あえてキャラクターに作画の影で立体をつけないことで、浮世絵の雰囲気を再現している。

③輪郭線は青く、質感も調整
輪郭線は、浮世絵でよく使用された青が採用された。さらに線を掠れさせる、太さを調整するなど、その質感にもこだわりが見える。

④テクスチャを重ね浮世絵の質感を表現
キャラクターには3枚のテクスチャを乗せ、紙の透け感など複雑な質感を表現している。さらに背景にはテクスチャを5枚重ね、浮世絵の古びた感じなどを表現。最後にキャラ・背景とは別に、紙の皺のテクスチャを乗せ、合計9枚のテクスチャが使用されている。

ほか、制作ドキュメンタリー動画には、さらに興味深いメイキングが紹介されている。

■『モノノ怪』とは?
2006年に放送されたテレビアニメシリーズ『怪~ayakashi~』の1エピソード『化猫』から派生し、翌年には『モノノ怪』としてテレビアニメシリーズ化された。今も根強く愛され続けている人気シリーズである。謎の薬売りを主人公に、人の情念や怨念が取り憑いたモノノ怪による怪異を鎮めるため、諸国を巡る物語が展開する。
2024年7月には映画『劇場版モノノ怪 唐傘』が公開され、「第28回ファンタジア国際映画祭」で長編アニメ部門最優秀賞と観客賞銅賞をW受賞するなど、海外からの評価も高い。3月14日(金)にはリーズの第二章となる『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』が公開された。
総監督:中村健治/監督:鈴木清崇/脚本:新八角、キャラクターデザイン:永田狐子/アニメーションキャラデザイン・総作画監督:高橋裕一、美術設定:上遠野洋一/美術監督:倉本 章、斎藤陽子/美術監修:倉橋 隆、色彩設計:辻田邦夫/ビジュアルディレクター:泉津井陽一、3D監督:白井賢一/編集:西山 茂/音響監督:長崎行男/音楽:岩崎 琢、プロデューサー:佐藤公章 須藤雄樹/企画プロデュース:山本幸治、配給:ツインエンジン ギグリーボックス/制作:くるせる EOTA
www.mononoke-movie.com/movie
■前作『劇場版モノノ怪 唐傘』のメイキングはCGWORLD 320号で解説!
現在、発売中のCGWORLD vol.320(2025年4月号)では、シリーズ第一章にあたる『劇場版モノノ怪 唐傘』のメイキングを紹介! こちらも要チェックだ。

CGWORLD 2025年4月号 vol.320
特集:外進出ガイド 2025
判型:A4ワイド
総ページ数:112
発売日:2025年3月10日
価格:1,540 円(税込)
