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スマートフォン向けタイトルからハイエンドなコンシューマーゲームまで幅広く開発を手掛けるCygamesが、新たにプリレンダーの大型3DCG映像作品に挑戦する「シネマティクス室」を立ち上げた。世界最大規模かつ最先端の機材と、スピード感のあるバックオフィスのサポートを受け、全世界に通用するクリエイティブチームを目指している。まだ立ち上がったばかりのシネマティクス室を牽引する中核スタッフ2名に、設立の経緯や求める人材像について聞いた。

TEXT_神山大輝(NINE GATES STUDIO)
PHOTO_弘田 充
EDIT_池田大樹 (CGWORLD)

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「最先端のフルCGコンテンツを発信する」ーCygamesの新たな挑戦

CGWORLD(以下、CGW):今回新たに立ち上げとなった「シネマティクス室」について教えて下さい。

國府 力氏(以下、國府):一言で言えば、3DCGを用いたプリレンダー及びリアルタイムでの映像制作を行う部署となります。今年の4月に立ち上がったばかりで、現在は私や井手を中心に、さらにリード職が数名参加しており、今後もメンバーが増える予定です。弊社には3DCGのゲーム制作専門チームはありましたが、3DCGでシネマティクスムービーの制作を行う部署やチームはありませんでした。
かねてから私の中で、弊社から新しいコンテンツ展開をしたい、より多くの方や広い世界に弊社を知っていただきたい、という思いがありました。
私は映像業界出身で、ここ最近のCGコンテンツの盛り上がりは自身でも楽しんでいました。
ゲームや映画、配信メディア等様々な選択肢が増えた昨今、いよいよそこに新たな挑戦をし、業界の活性に貢献できるタイミングかと考え、CGによる映像コンテンツ制作を専門に行うチームを設立しました。

  • 國府 力氏
    シネマティクス室 マネージャー

    造形制作会社から映像業界に転職。大手のCG会社やゲーム会社での映像制作やゲーム開発に携わり、2016年より株式会社Cygamesへ合流。
    コンシューマゲーム開発を経て、現在は新たに立ち上げた3DCG映像を制作する「シネマティクス室」でマネージャーとしてチームを牽引。

CGW:実際に、どういった映像を手掛けられるのでしょうか。

國府: 単体で映像作品として成立する最先端フルCGでの様々な映像コンテンツを制作します。R&Dを行う部署ではなく、クリエイティブを行うチームとして、全世界に向けた本気の映像作品を生み出すことが目的になっています。

井手 弘人氏(以下、井手):それらの作品はプリレンダー・リアルタイムを問わず、トップアーティストと設備により、しっかりとした世界観を持った最高の映像表現、映像体験として届けていきます。

  • 井手 弘人氏
    シネマティクス室 クリエイティブディレクター

    様々な映像制作の中核に携わり、フルCG映画のアートディレクターなどを経て 2021年より株式会社Cygamesへ合流。
    現在はシネマティクス室全体のクリエイティブディレクションを行っている。

國府: 最先端のCG表現は技術的にも高度であるため、この分野をしっかりつくることができればノウハウも蓄積されますし、世界に対してもインパクトがあるだろうという判断になっています。国内にも3DCGベースの素晴らしい映像作品はありますが、我々がそこに加わることで、日本発のコンテンツをしっかり提示していくことを強く意識しています。

CGW:現在のメンバーのみなさんは、それぞれどういった役割の方でしょうか。

國府: 私は主に部署内外のマネージメントなどを担当しています。在籍しているメンバーはプリレンダーの各分野の最前線でチームの中核にいた立場のアーティストで、引き続き各分野をリードしていきます。チームメンバーの募集はこれからですが、しっかりとした映像体験を創出できるだけの規模にしていきたいと思っています。

井手:私はシネマティクス室内のクリエイティブのディレクションや全体のフロー構築を行っており、コンテンツの魅力や在籍するアーティストの能力を最大限ひきだす現場づくりを目指しています。

CGW:世界に向けた映像制作を行うというビジョンを持つ「シネマティクス室」ですが、具体的にはどういったチームになるのでしょうか。海外型のCGスタジオでは分業制が進んでいますが、国内ではゼネラリスト型の採用も多いと思います。

井手:我々の理想は極端な分業ではなく、その二つのハイブリッド型です。
我々の制作するコンテンツは形のあるものではなく、商業作品であり、映像による体験、時間です。そういったものづくりでは「みんなでつくっている感」をチームで出すのはなかなか難しいのですが、各工程の担当が最終的なアウトプットまで意識して、高い参加意識をもって、結果的に見ていただける方の最高の映像体験につなげていきたいです。理想は、自身の専門性が確保されている状態で、より広範囲な分野をカバーできるようなチーム設計です。例えば、実際にキャラクターを作った人ならではの目線で、キャラが最も格好よく見える絵はどういうものかを提案したり、リグやアニメーションの前後工程まで主体的に関わることができるようになるのが良いのかな、と思っています。一方で、各分野の技術に長けたプロフェッショナル型の方にとっても、より能力を活かせる場になると思います。そのようなチームの構築と同時に、技術検証やそこからの絵づくりの構築も始めています。(以下参考画像)

Cygames 最強のバックオフィスのサポートを受けつつ、「キャリアの中で何度もあることではない」という機会に挑戦

CGW:「シネマティクス室」はまさに世界に向けたCGスタジオをゼロから立ち上げるという壮大な計画だと思いますが、Cygamesとしてやるからこその利点や特徴があれば教えて下さい。

國府: 弊社は「最高のコンテンツをつくる会社」というビジョンが強いのが特徴です。
普通は社訓って何度も現場で出てくるワードにはならないじゃないですか。ただ、弊社は現場レベルで「これは本当に"最高"と言えるのか?」という会話が日常的にされているくらいこの"最高"という言葉が浸透しています。また経営陣も「とにかく良いクリエイティブを発揮してくれ」という姿勢なんです。
そのような考えから、良いものにならないと世に出さないし、出せないという意識が現場レベルで浸透しており、その結果がリリースされたコンテンツにも現れていると思います。このような環境で、ものづくりができることは嬉しくもありプレッシャーでもありますが、クリエイターとしては最高の環境かなと感じています。
そして、この意識を支えているのが、バックオフィスや情報システム部を含めた「最高の環境」なんです。

國府:例えばこのインタビューも、「こういう人材募集の企画が出来ないかな?」と人事側に相談をしたら、1週間足らずで今日のこの取材の現場に至っているわけで、これは本当に早いですよね。

井手:レンダリングマシンが足りない!という場合もお願いしたらすぐに追加されていますし、勤務初日にWebカメラをお願いしたら10分程度で届けていただいて、そうしたスピード感には驚かされました。一つの例ですがこうした協力体制の積み重ねが結果につながっていると思います。

CGW:設備投資という意味でも、2017年にはカメラ221台の国内最大級のスキャンスタジオが設立され、2018年には16x9mエリアの広大なモーションキャプチャスタジオが設立されています。

國府:今年2月には、ESPER Design/LightCage採用のフェイススキャナーも導入されました。ゲーム会社にこのクラスの設備があるのは、世界的にも珍しいことです。

▲英国ESPER Design社が開発した「LightCage」を導入し、物理的に正確な各種テクスチャーと高精細なメッシュデータの取得が可能。球形のフレームで構成された内部には多数のライトと、高速連写に特化したフルサイズセンサーカメラ67台を設置しています。コントロールされた156個のマルチフラッシュライトと、それに同期された高速連続撮影の組み合わせにより、瞬時に計603枚のRAW画像を撮影することができる。

詳細はこちら>>https://magazine.cygames.co.jp/archives/14013

こうした機材の拡充は会社としてのバックアップが非常に強く、本気であることが伺えます。我々アーティストも、それに応えるために全力を出したいと思えるような、素晴らしい環境を用意して頂いています。
充実した環境をどのように活かしていくかを考える楽しさ、それらを利用して多くの方の目に触れるコンテンツを作ることの意義や責任、これらも我々がCGスタジオを立ち上げる利点でもあります。

井手:機材だけでなく、今回は未来のコンテンツ制作に向けて新しい組織を立ち上げる、という機会にもなります。世界に対して日本国内から何かを示すために、強力な後ろ盾がある上で、大規模スタジオを立ち上げる。ゲームやCG業界において、そうした機会や転換点は、アーティストキャリアの中でも何度もあることはないです。私自身も今まで様々なコンテンツ作りに携わってきましたが、新たな気持ちで組織作りから挑戦したいと参加しています。

CGW:改めて、今回募集の対象となる職種や人物像を教えて下さい。

國府:全職種と言ってしまって良いのか分かりませんが、本当にまっさらな状態から始めているので、さまざまな方にご参加頂きたいです。もちろんデザイナーの方も対象ですし、エンジニアの方も対象になります。センスのある若手の方も対象ではありますが、今回は経験者を中心に募集したいと考えています。大まかにではありますが、3年ほどのスパンで50~100名規模を目指したいです。

井手:どの職種や職域も、新しいフローの構築から始めているので、情熱をもって積極的に、かつ業務とチーム、映像表現に誠実に向き合える方を求めています。

國府:また、今回は映像業界の方にも積極的に応募をして頂きたいです。Cygamesはゲーム開発会社ということで、これまでは映像クリエイターと人材的にマッチしないケースもあり、その方のキャリアを考えて泣く泣くミスマッチと判断してしまった方もいます。ただ、今回は正式に「CG映像スタジオ」です。実力を発揮できる機会だと思いますので、ぜひ積極的に応募して頂けると嬉しいです。

CGW:これからCygamesで働くことを検討する方に向けて、先ほどお話しのあったスピード感と設備投資以外になにかアピールポイントなどはありますか。

國府:今まで話した大きなビジョンの部分以外にも、例えば社員個人のスキルアップにはコストを惜しまない社風があります。外部のセミナーをはじめ、書籍や資料の購入など少しでも仕事に活かせると判断されたものに関しては全て会社側で費用を負担しています。また、CyStudyというCEDECのような部署やプロジェクトの開発実績や新しい技術について講演を行う大規模な社内勉強会を毎年開催していたり、アーティストであればDesigner's Talkという勉強会を毎月行うなど、スキルアップのための取り組みも盛んに行われています。

井手:我々はまだ出来たばかりのチームです。この規模のスタジオの立ち上げに主体的に関わることができること自体、すごく面白い挑戦だと感じています。また、ユーザーの皆様に満足いただけるような映像体験のためにはこのレベルでの表現が必要、というような、本質的にデザイナーに求められるポジティブな発想で仕事に取り組めるはずです。ぜひ、ご一緒に働けたら嬉しいです。

國府:世界に通用するCG映像スタジオを目指す我々の挑戦というのは、広い世界に向けた新しい一歩でもあります。そこには多くの困難と喜びがあるはずです。
より多くの方に新しく生み出すコンテンツを知っていただき、さらに最高の映像体験を届ける、そのことに意義を感じていただける方と一緒に仕事をしたいと考えています。
また夢やビジョンは継続していくことがなにより大切です。そこに向けてのバックアップや協力などの環境も得られています。
行きつく先に世界的なアワードなど形のある成果を残していきたいと思いますので、熱意溢れる皆様の参加をお待ちしています!!

CGW:ありがとうございました。