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技術(Cyber)と人間(Human)の融合を目指すクリエイター集団であり、従来の慣習に捉われないプロダクトを生み出し続ける株式会社CyberHuman Productions。同社の強みでもあるスキャンサービスと高度なAI技術により、現在はスポーツ分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)や「デジタルツイン」、「フューチャーライブ事業」など、3DCG技術を用いた多角的な事業展開を行なっている。東京町田市を拠点とするサッカークラブ「FC町田ゼルビア」公式アプリ制作を支えた移動型スキャンサービス「THE AVATAR TRUCK」の事例について、同社取締役・芦田直毅氏らに聞く。
TEXT_神山大輝(NINE GATES STUDIO)
PHOTO_竹下朋宏
CyberHuman Productionsが提供するスキャンサービス
2020年に話題になったCyberHuman Productions(以下、CHP)の取締役である桐島ローランド氏の「2号」を制作するプロジェクトは記憶に新しく、現在も著名人の分身となるバーチャルヒューマンをキャスティングするサービスである「デジタルツインレーベル」の実制作を担う同社は、まさに3DCG技術のカッティングエッジ領域をひた走るトップランナー的スタジオと言えるだろう。
高品質な3DCGモデルを短期間で制作できる理由は、先端的なスキャン設備を社内に有していること。そのうちのひとつは目黒にあるスタジオ 「カムロ坂スタジオ」で、もうひとつは出張型のスキャンサービス「THE AVATAR TRUCK」。カムロ坂スタジオはボディスキャンにNIKON D5500など155台、フェイシャルスキャンにNIKON D610など55台を備えた3Dスキャンスタジオを基軸に、モーションキャプチャシステムや編集・音声収録スタジオ、その他グリーンバックや白ホリスタジオなどが一体となったスタジオで、2020年11月には国内初となるLEDウォールを常設したバーチャルプロダクション設備のサービス提供を開始するなど統合型の最新スタジオとして活用が可能。THE AVATAR TRUCKは60台のSONY α7Ⅲを積載し、ESPER社 The ESPER LightCageを搭載することで16Kまでのフェイシャルテクスチャを収録可能で、フェイシャルだけであればカムロ坂スタジオを超える精細なクオリティのスキャンが可能となっている。
■「カムロ坂スタジオ」
■「THE AVATAR TRUCK」
「スタジオにお越しいただくのが難しい方や、サッカークラブなど多人数の場合は出張型スキャンスタジオであるTHE AVATAR TRUCKの出番です。一方、グリーンバックやモーションキャプチャまで含めた総合的なプロダクション機能が必要な場合や、物量が極めて多いアパレルブランドなどの案件ではカムロ坂スタジオを活用していただいています」(芦田氏)。
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芦田直毅氏
株式会社CyberHuman Productions/取締役
www.cyberhuman-productions.co.jp
最近は「高品質で大量のスキャンデータをつくりたい」という利用形態が多いとのことだが、従来からもつ強みである「とにかく高品質なフォトリアル調のモデル」を制作する場合でも、リアルタイム3DCG用にリダクションする場合でも、その後の作業が最もやりやすいように大量のデータを整理して提供可能な点が特徴とのこと。高品質な3DCG制作を極めて短期間で行える技術力だけでなく、アウトプットを最大限活かすための広告戦略や運用フェーズにおけるノウハウの共有までを提案可能な点も同社の大きな強み。「われわれはもともとスキャンネイティブなチームで、いろいろな会社の案件にスキャンチームとして携わらせていただく中で数多くのノウハウを溜めてきました。現在は研究も進み、マシンラーニングなどによる作業の自動化・最適化も進化しています。大量の物量をしっかりとしたクオリティで素早く提供するのが得意ですので、ぜひお声がけいただけると嬉しいです」(芦田氏)。
「スタジアムアプリ」での活用事例
CHPのもつスキャン技術の活用事例の中でも特にユニークなのが、株式会社Stadium Experimentが開発する「スタジアムアプリ」だ。スタジアムアプリは、サッカー観戦を楽しむサポーターが選手に応援を届けたり、バーチャル空間でボイスチャットなどのコミュニケーションを行うためのプラットフォームで、コロナ禍でニーズが高まった結果、現在いくつかのサッカークラブごとに専用のアプリケーションとして提供されている。その中のひとつが、CHPのグループ会社であるサイバーエージェントがスポンサードするFC町田ゼルビアだ。
Stadium Experimentは、世界のクリエイティブアワードで多くの受賞歴があるクリエイティブ集団「PARTY」が5G時代を見据えて設立した企業。もともとサイバーエージェントとPARTYは関係性が近いこともあり、2020年10月に資本業務提携を締結。すでに音楽やファッションといったエンタテインメント事業を手がけていたサイバーエージェントグループはスポーツ分野への挑戦意欲も高く、Stadium Experiment側もCHPのもつ3Dスキャン技術が「未来の体験」に必要であるとし、スタジアムアプリを通してサッカー観戦のDX化を推し進めるかたちとなった。
「サービスをより良く進化させていく上で大切にしているのが、会社名にもなっている『実験(Experiment)』です。アプリローンチ後もCHPの芦田さん、FC町田ゼルビアの上田武蔵さんとサービスの進化について議論するMTGを定期的に設けていて、例えば芦田さんから『スタジアムを3Dスキャンする技術があるので、撮影してみてもいいですか?』というように、最新技術から新しいアイデアが今も次々と生まれています」(濱田氏)。
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濱田小太郎氏
株式会社Stadium Experiment
stadium-experiment.com
2020年はコロナ禍によって社会の転換が迫られた年でもあり、サッカー観戦においてもリモートマッチ(無観客試合)が実施されるなど、オンサイトでの応援が難しい状況が続いていた。サポーターは応援の声を選手に届けることが困難になり、スタジアムやその周辺の経済圏も縮小化するなど、スポーツ観戦を取り巻く環境は大きく変化。「こうした中で必要なのは単なる投げ銭ではなく、サポーターの応援のかたちを可視化して選手に届けるしくみでした。サポーターは、ゴールした選手やアシストした選手へアプリ上で直接的にサポートができます。さらに、3DCG技術を用いて選手ひとりひとりをリッチに表現することで、サポートの体験をより価値のあるものにしようと考えました」(濱田氏)。
■「スタジアムアプリ」
試合をリモート観戦しながら、「スタジアムアプリ」上でサポートしたい選手をタップすると、3DCGで再現された選手がエフェクトと共に回転するーーこうした機能を実現するためには、各クラブに在籍する数十人規模の選手たち全員を3DCGモデル化する必要があった。この難題を解決したのが、CHPが有する出張型3Dスキャンカー「THE AVATAR TRUCK」だ。試合に向けた練習が最優先である選手たちの負担を考えても、移動時間や待機時間が存在しない上に1人5分で撮影が完了するTHE AVATAR TRUCKはまさに"最適解"。撮影は第1段階でフェイシャル、第2段階で身体のスキャンを行い、カメラ位置からジオメトリを生成。その後ZBrushでノイズを除去し、その後はMayaでリトポ作業およびデータのリダクションを行なっている。
■3Dモデル化までの工程
CG制作をリードしたのはCHPのCGディレクター・田森 敦氏。「元データは非常に高解像度なので、リアルさを保ちながらデータの軽量化を行うのに苦労しました。ゲーム開発に近い考え方で、テクスチャは可能な限り活かしつつ形状の部分でリダクションを行い、髪の毛は板ポリにテクスチャを貼るかたちで対応しました」(田森氏)。選手11名と監督1名、合計12名の3Dモデルをスマートフォン上で動作させる関係上、頭部、身体がそれぞれ500万ポリゴン、テクスチャ解像度8Kという高精細モデルを、5,000ポリゴン、テクスチャ解像度1,024×1,024までリダクションする必要があったという。
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田森 敦氏
株式会社CyberHuman Productions/CGディレクター
www.cyberhuman-productions.co.jp
完成モデルはUnity上でプレビューを行い、問題なければStadium Experiment側で組み込み作業が行われる。「CHPさんの作業の速さには驚きました。当時はクラブ3つ、各40名で100体以上の3DCGモデルを制作する必要がありましたが、時間的には1ヶ月程度で仕上げていただきました。五月雨式で、できたモデルからUnityへ組み込みを行なっていましたが、データ的な問題もありませんでした」(プロジェクトマネージャー・阿久津達彦氏)。
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阿久津達彦氏
株式会社Stadium Experiment/プロジェクトマネージャー
stadium-experiment.com
■モデルの最適化
■パーティクルアニメーション
同アプリには現在、FC町田ゼルビアを含めた5団体が参画。今後も応援可能なクラブチームを増やしていくとともに、表現面についても表情変化や選手固有のアニメーション(ゴールパフォーマンスなど、応援文化において重要な要素)などの拡充を図りたいという。また、アプリだけでなく、現地観戦の体験をさらに高めるためのAR技術の開発や、スタジアムそのものをLiDAR+ドローンで再現するデジタルツインに関する研究開発も進行中とのこと。確かな技術に基づいたCHPとStadium Experimentの壮大な取り組みに、今後もおおいに期待したい。
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