STEP 3:「雪の動き」を考える 〜雨とのちがいを意識する〜
大きさと密度のちがいから挙動の差を考えてみる
STEP 3では雪を制作します。雪を表現するために抑えておきたいポイントは「動き」です。雪はSTEP 1で紹介したように雨と基本的には同じものですが、<1>のように一般的な新雪と雨では、大きさはあまり変わりませんが密度を比べると約20倍もの差があります。雪と雨は元を辿れば同じ物質なのですが、雪は風のような大気の変化に影響を受けやすいであろうことは想像に難くありません。
<2><3>このことを考慮してまずは[Force]オペレータでスペースワープ[Gravity]を適用してベースとなる重力の動きを加えたら[Wind]の[Wind]パラメータを使い、対流の影響を受けたようなランダムなうねりの動きを加えます。次に空気抵抗を再現できる[Drag]、STEP 2と同様に風向きを司る[Wind]を適用して雪の動きをつくり出します。これで雪の動きは完了です。雪のオブジェクトについては、今回はカメラから遠くブラーによってほとんど見えないためシンプルに[Shape]オペレータの[Sphere 80-sides]で制作しています。レンダリング結果は<4>です。
<1>
<2>
<3>
<4>
完成
雪といえば某マークでもお馴染みの美しい雪の結晶を思い浮かべる人も多いかと思いますが、実はこの形は全て六角形で構成されていることはご存知でしょうか。雪の結晶は水分子の化学式であるH2Oが寄り集まってできています。この分子は単体で見ると"くの字型"に配列されており、雪の結晶では水分子が上下左右に結合していくことで正四面体の集まりとなり結果的に六角形に見えているのです。......と、説明だけではなかなかピンとこないとは思いますが、雪の結晶を描く際は六角形に注意すべし!ということです。それではまたお会いしましょう。
Profile.
-
近藤啓太(ジェットスタジオ)
エフェクトを中心に映像制作をしております。暑くて苦手だった夏が、ここ数年の間で少しずつ好きになってきました。イベントも多くて夜も活気づいた雰囲気が漂いなんだかワクワクしてきます。
-
JET STUDIO
ゲーム、映画、遊技機映像など幅広く制作を行う、3ds MaxをメインツールとするCGプロダクション。ベトナムにも支社を構え、大規模な制作体制を採っている
www.jetstudio.co.jp