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復刻・第32回:噴煙

復刻・第32回:噴煙

今回は火山の噴火時に立ち昇る噴煙をテーマにします。「火山の噴火」そのものは過去にも取り上げましたが、今回はマグマや溶岩ではなく、煙のみに着目して制作をしていきます。

※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 224(2017年4月号)からの転載となります

TEXT_近藤啓太(ジェットスタジオ
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)



動画制作の裏話はこちら

噴火のしくみとその種類

今回のテーマは「噴煙」です。本連載では第16回(2015年12月号 vol.208)で「火山の噴火」をテーマに取り上げましたが、今回は噴火の際に発生する煙に注目して制作していきたいと思います。噴火とは地球のマントル付近にあるマグマがプレートの移動等によって地表にあふれ出す自然現象のことを言います。その際、噴出するマグマと共に大量に発生するのが今回のテーマである噴煙です。しかし噴煙とひとくちに言っても、発生部分や条件によって薄くて白い煙から濃くて黒い煙までその見た目や動きは多種多様。今回その中でも筆者がモクモクとした密度の高い噴煙をつくってみたかったということもあり、この機会を利用して再現に挑戦しました。

さて、先ほど書いたように噴煙と言っても様々な質感や動きの噴煙がありますが、要因としてはその機構が大きく関わっています。噴火の種類は大きく分けて3種類。山の内部で水蒸気が溜まり圧力が限界を超えて爆発する「水蒸気噴火」、マグマが直接地下水に接触した衝撃で一気に水蒸気が膨れ上がりマグマと共に地表に噴出する「マグマ水蒸気噴火」、マグマが火口まで一気に上昇し上空に吹き上がる「マグマ噴火」が代表的な火山噴火のしくみとなります。こうした数ある噴火機構によって噴煙や噴石の量、大きさ、色等に変化が生まれ、噴火の数だけ様々な噴煙を見ることができます。各STEPでは噴煙の制作だけではなく、噴石や火山雷の制作にも触れて噴煙の再現に必要な要素を紹介していきます。まだまだ謎が多く根本的な発生原因が解明されておらず、その規模やビジュアルから人を惹きつけてやまない火山の噴火。機会がありましたら過去テーマと併せて読んでいただくとより火山の秘密に近づけるかもしれません。

主要な制作アプリケーション
・Autodesk 3ds Max 2015
・Adobe After Effects CS 6.0
・FumeFX 3.5.5

STEP 01:「噴煙の性質と特徴」を考える~噴煙を調べてみた~

煙だけに留まらず火山雷という放電現象も

噴煙とは噴火の際に熱や火山ガスによって上空に巻き上げられた煙のことを指します。主な成分は岩石の破片、火山ガラスといったいわゆる火山灰によって構成されています。温度については火口付近では約600度~1,000度と非常に高く、一見規模や密度が高いだけの煙のように見えますが、成分も温度も通常私たちの生活の中で見る煙とはまったくちがう性質のものだということがわかるかと思います。こうした特徴だけに留まらず、その大規模ゆえに煙の中では火山雷といわれる放電現象も発生しており、自然の恐ろしさ、美しさを知るにはもってこいの自然現象と言えるでしょう。


STEP 02:「噴石と筋煙」を考える ~飛び散る石と煙を再現する~

火口付近から飛び出す噴石と石に絡む筋煙を制作する

噴火では大量の火山ガスが一気に噴き出すため、その力によって山が削られ、火口付近には大量の岩石が降り注ぐことになります。STEP 02ではこの噴石を再現していきます。


噴石は、噴火の勢いで削られた山肌が岩石となって地表に降り注ぐものです

はじめに噴石となる岩のオブジェクトを用意し、火口付近に発生源を配置したらPFSourceを用いて噴石となるオブジェクトを飛ばします。


岩石のオブジェクトを作成し、パーティクルフローを構築します

噴石の量や動きが決まったら、次は石にまとわりつく煙を制作します。噴石は噴煙が発生している火口付近から飛び出してくるため、煙が石に引っ張られ筋煙をところどころで確認することができます。こちらはFumeFXを使用し、石を煙のエミッタにして噴石から筋状の煙が発生するように設定します。


石にまとわりつく筋煙は、【2】で制作した岩石オブジェクトをFumeFXでMesherに変換し発生源とします

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STEP 03:「噴煙の動きと質感」を考える ~煙の特徴を捉えて再現する~

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