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復刻・第30回:削岩機

復刻・第30回:削岩機

今回は、工事現場で活用される「削岩機」がコンクリートを破壊する様子を再現します。高速で動く先端が石を徐々に破砕していく、これまでの破壊エフェクトとはひと味ちがった表現に挑戦しましょう。

※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 222(2017年2月号)からの転載となります

TEXT_近藤啓太(ジェットスタジオ
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)



動画制作の裏話はこちら

削岩機の発展と歴史

今回のテーマは「削岩機」です。高速ピストンや回転により、硬い岩盤やコンクリートに穴を開けたり破壊したり剥がしたりと、破壊のことなら何でもござれな工事現場では必ずお目にかかると言ってもいいほどスタンダードな工具のひとつです。今回はその多様な用途の内のひとつであるコンクリートの破壊に挑戦することにしました。破壊と言えば今まで当連載の中でも数多く取り上げてきましたが、材質やスケール、環境によってまったくちがった振る舞いを見て取ることができ、つくるのも見るのも非常に楽しい人気のあるエフェクトです。今回は削岩機という道具を通してどんな新しい破壊の表情を見られるのか、きっと興味深い発見があるにちがいありません。

削岩機の歴史を紐解くと思ったよりも古く、1800年初頭にイギリスで発明されました。1800年中期には現在の削岩機の原型となる打撃式削岩機がアメリカで誕生し、日本でも発明から約30年後に鉱山採掘のために導入が始まります。1900年初期には日本人に適した小型の削岩機が開発され、今では採掘だけに留まらず大規模なトンネル工事や溶鉱炉作業でも活躍の場を広げています。100年以上の時を超えても改良を重ねて発明当時から比べものにならないくらい多くのシーンで使われている削岩機。小さな一歩でもコツコツと長い目で見て前に進めるような人間になりたいものです。

主要な制作アプリケーション
・Autodesk 3ds Max 2015
・Adobe After Effects CS 6.0
・FumeFX 3.5.5
・RayFire Tool 1.6.4

STEP 01:「構造と破砕の原理」を考える~削岩機を調べてみた~

超高速のピストン運動により岩やコンクリートを破砕する

今回のテーマは「削岩機」。使用した経験はなくとも名前は聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。その名の通り岩やコンクリートを削るための機械ですが、種類も用途も様々。ボルトや爆薬を設置するための穴を開けたり解体による破砕や鉱石の採掘作業を主な用途として、100年以上前から改良を経て現在も使われ続けている歴史ある工具のひとつです。

今回再現する動画で使用されている削岩機は「ブレーカー」といわれる破砕をメインとする削岩機で、おおまかな構造ではエンジン部分となる機械本体、そこにチゼルと呼ばれる非常に硬い金属でできた棒を取り付け、この棒を対象に押し当て機械本体から行う高速のピストン運動(毎分1,500~3,000回)による打撃で対象を破砕することができます。破砕の原理はまさにノミとハンマーと同じ。機械の進化は昔からの工法や知恵にしっかりとつながっていることを感じます。


STEP 02:「飛散の動き」を考える ~石の飛散を再現する~

RayFire Toolで石の接触部を分割

まずは削岩機によって削られた石の飛散を再現していきます。削岩機の先端であるチゼルと石が接触するアニメーションを付けた後、RayFire Toolで石の接触部分を分割しておきシミュレーションの準備を整えます。


削岩機の先端であるチゼルにアニメーションを付けた後、RayFireToolで石との接触部分を分割します

次に同プラグインシミュレーション用のスペースワープであるRF_Bombを適用し、チゼルと石の接触部位に配置したら接触のタイミングに合わせて分割した破片が吹き飛ぶよう設定します。チゼルを中心に破片が四方に飛び散るように微調整をくり返したら、石の飛散は完成となります。


RFBombを適用し、接触のタイミングに合わせて分割した破片が飛び散るよう設定します

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STEP 03:「石粒の動き」を考える ~破砕の石粒を再現する~

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