STEP3:「追加用の先駆放電」を考える ~周囲に広がる先駆放電を再現する~
STEP02で使用したパーティクルフローを応用して先駆放電を制作する
STEP 3では、STEP 2で制作した先駆放電だけでは元の動画と比較して少々数が少ないので賑やかし用の先駆放電を用意します。パーティクルフローはSTEP 2で制作したイベントフローを利用し、レンダリングに必要なイベントである[Lightning_Line_Tip],[Lightning_Line]を除くその他のイベントは[shape]オペレータを外すか[Properties...]の[Renderable]項目のチェックを外しておきます<1>。雷のシルエットを見ながら追加の先駆放電を見たいという人は後者の方法が良いでしょう。レンダリングをする2つのイベントの発生タイミングや量、消失スピードを調整して雷発生時に多く発生する先駆放電を再現します<2>。最終的なレンダリング結果は<3>です。
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完成
「先駆放電」いかがだったでしょうか。元の動画はハイスピードカメラで撮影しているためひとつひとつの挙動がハッキリ見えていますが、実際のスピードは雲から地上に到達するまでに約200km/sという速度で到達するので肉眼で先駆放電を認知することはできません。技術の進歩によって今まで見えなかったものが見えるようになる......ありがたいことです。
そして唐突ではありますが、雑誌からWeb版に移行して計38回の連載となる「JET STUDIO Effect Lab.」は今回をもって新規作例の掲載を終了いたします。当連載は実写の物理現象を模写・理解することでエフェクト制作のレベルアップをコンセプトとして始まりました。当初は1年の期限付きで予定していた連載ですが読者の皆さんの応援もあり、あれよあれよと気付けば3年と2ヶ月。長いような、短いような、連載を終えた今となってはどちらにしてもとても貴重な時間を過ごすことができたとしみじみと感じています。連載は終わりますがエフェクト制作の探求は終わることはありません。別の機会に皆さんとお会いできることを楽しみにしつつ、またいつかお会いしましょう!
Profile.
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近藤啓太(ジェットスタジオ)
エフェクトを中心に映像制作をしております。連載を通してセミナーや書籍の刊行などの機会に恵まれると共に、多くの方々と出会うことができました。この場を借りて連載に関わってきた全ての人に御礼申し上げます。今まで本当にありがとうございました!
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JET STUDIO
ゲーム、映画、遊技機映像など幅広く制作を行う、3ds MaxをメインツールとするCGプロダクション。ベトナムにも支社を構え、大規模な制作体制を採っている
www.jetstudio.co.jp