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    夏もまっさかりで暑い日が続いていますね。今回は龍をモチーフにした扇子を作成しました。

    ※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 241(2018年9月号)からの転載記事になります

    TEXT_KAI(GARYU)
    EDIT_海老原朱里 / Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada

    STEP1:シンボルの龍


    ▲このところ毎年、この時期には当社のシンボルでもある龍を作成していたので、今年もアレンジした新しい龍を作成しました。思えば最初にシンボルとして龍を制作したのは8年前のこと。私の作品はその時々で完結するものが多いのですが、この龍は時代と共に、そのときの風情や技術を採り入れて長く続けている珍しい連作です。ちなみに3ds Maxのデータはあまりにバージョンが古いと開けなかったり、開いてもエラーが出たりと、デジタルですが永久なものではありません。デジタルかアナログかを問わず、大切なものは定期的にメンテナンスすることをオススメします。

    STEP2:モデル画像



    ▲モデル画像です。表面の模様はほとんどスプラインの塊です。ワイヤーフレーム表示だと複雑そうに見えますが、スプラインなのでステップなどを後から調整でき、軽いモデルと重いモデルを同時に操作できます。

    STEP3:モデリング


    ▲扇子の骨組みを作成していきます。やや複雑な35間と、骨の数の多い扇子に挑戦してみました。


    ▲プラグインのCloneでコピーしながら形を調整し、配列していきます。


    ▲扇面部分を骨に合わせて作成し、繋いで1枚の扇を形成。


    ▲最後に仲骨部分に装飾を施して豪華にします。


    ▲この後、龍をスプラインで配置してレイアウトを決めていきます。

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    STEP4:シーンの作成

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    STEP4:シーンの作成

    ▲龍の表面の模様は全て手描きのフリーハンドスプラインで描きました。密度を出せるように密集させて描いています。

    ▲これを扇の全体にも施し、大小入り混ぜた模様を作成していきます。

    ▲模様のパーツとして和風の波のパーツを作成。

    ▲これを何個か組み合わせて、スプラインに沿って配置。


    ▲さらに、全体の模様を作成します。質感は簡易的にVRayOverrideMtlで印象を見ながら調整しました。

    STEP5:合成作業

    ▲レンダリング時のV-Ray Frame Bufferである程度カラコレをしてしまいます。

    ▲まずはそのままの素材をAfter Effectsに読み込みます。今回も8Kレンダリングです。

    ▲EXtractoRでeffectsResultを表示させ、フレアとグローを追加します。

    ▲反射などのエレメントを足していきます。

    ▲最後にV-Rayのカラコレを適用したら完成です。

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    Extension Column 06

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    Extension Column 06

    3ds Maxは老舗の3DCGツールのひとつとして、その歴史上、様々な本体以外の機能拡張が施されてきました。かゆいところに手が届くフリーのものから、VFXでメインツールとなるような商用のものまで、様々な分野の機能拡張が存在します。このようなプラグイン文化と呼ばれる構成は、ほかの3DCGソフトにはない3ds Max独自の特徴と言ってもいいでしょう。

    エフェクト関連のプラグイン

    今回紹介するのはエフェクト関連のプラグイン。エフェクトはコンポジットソフトなどで済ませてしまう場合も多いですが、3Dソフトならではの使い勝手が良いプラグインやスクリプトはたくさんあります。

    (1)Blur Fire

    ▲この連載でも何度か紹介しているプラグインパック「BlurBeta」のひとつ。環境効果ギズモに炎のボリュームをレンダリングしてくれます。
    www.maxplugins.de

    (2)Dust Devil

    ▲こちらも「BlurBeta」のひとつで、オブジェクトに燃焼の煙のような効果を加えることができます。
    www.maxplugins.de

    (3)Vertex Combustion

    ▲こちらはオブジェクトの頂点に燃焼の効果を追加することができます。
    www.maxplugins.de

    (4)Particle Combustion

    ▲前述の「Vertex Combustion」と類似した効果で、パーティクルの頂点に燃焼の効果を追加できます。
    www.maxplugins.de

    (5)GhostTrails

    ▲オブジェクトの軌跡を作成してくれるプラグイン。グラデーションのテクスチャを貼ることでエフェクトのような効果も出せます。

    ▲私の作品でもよく利用していて、例えば本誌201号の連載作品でも活用しています。フリー版は制限がありますが、代金を支払うことで制限が解除され、フル機能の利用が可能に。パーティクルの軌跡が無制限に作成できるようになるので、様々な応用ができるようになります。
    www.ghosttrails.net

    (6)Ky_Milky Way

    ▲エフェクト効果で星空を作成してくれるプラグイン。3D的な配置が可能なほか、シャッター速度を落として撮影したかのような表現も作成することがきます。3ds Max 2017までの対応。

    ▲本誌180号で掲載した作品。この作品でも使用しています。
    lastjedioutpost.ru/?l=en&p=ky_milkyway

    (7)Ky_Trail

    ▲エフェクト効果で星空を作成してくれるプラグイン。3D的な配置が可能なほか、シャッター速度を落として撮影したかのような表現も作成することがきます。3ds Max 2017までの対応。
    lastjedioutpost.ru/?l=en&p=ky_trail

    [Information]

    • 株式会社画龍 早野海兵 監修
      3DCGベーシック講座[3ds Max]

      3ds Maxを本当にゼロからスタートする方のために作成したオンライン講座。本講座は画づくりと技術アップの両面を重視しています。また、3ds Maxの様々な実践的な機能を動画で収録しているため、後々機能のリファレンスとしても使用可能です。
      online.dhw.co.jp/course/3dcg

    [プロフィール]
    KAI
    株式会社画龍 アートディレクター
    www.ga-ryu.co.jp
    www.kaihei.net
    Twitter:@Kai_ryu_Kai