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お題その7:「興奮する」(2)&「気まずい」

お題その7:「興奮する」(2)&「気まずい」

Sony Pictures Imageworksのアニメーターであり、オンラインスクールAnimationAidの講師も務める若杉 遼氏がTwitter上でお題に沿ったポーズ画を募集する「エイド宿題」。本連載では、その企画で集まった作品をピックアップし、若杉氏がドローオーバーによる添削とそのポイントを解説する。

TEXT_若杉 遼 / Ryo Wakasugi(Sony​ Pictures​ Imageworks
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)

今回のお題

こんにちは、海外でCGアニメーターをやっている若杉(@ryowaks)です。今月は、「興奮する」と「気まずい」の2つのテーマを「表情による感情表現」という視点から紹介していきます。AnimationAidのクラスの中でも、表情に関しては苦手意識をもつ方が結構いるような印象があります。

作品01:「興奮する」

投稿作品

ひと目見て、キャラクターが興奮していてテンションが上がっているような印象を受ける、わかりやすくとても良くできているポーズだと思います。アニメーションの場合はどんなポーズでも流れていく絵のひとつに過ぎないので、瞬間的なわかりやすさは重要です。

Point 1:a thousand paper cuts

"a thousand paper cuts"というフレーズを以前ピクサーのアニメーションディレクターの方のアニメーション講座で聞きました。"paper cuts"というのは、本のページをめくるときなどに紙で指先を切ってしまうようなことを言います。本当に小さな切り傷みたいな感じです。a thousand paper cutsというのは、そんなに小さな傷でもそれが1,000回起きたら致命傷になるというニュアンスです。つまり、ポーズを作るときにはそれぞれのパーツ(目や眉毛、口など)ひとつひとつの表現にはそこまで大きな影響力はありませんが、それらが全て重なったときには、しっかりとした強い表現力のあるポーズになるということです。

Point 2:白目と黒目と緊張

黒目とまぶたをつけないようにして、黒目の周りに白目の部分があるようにすると、力が入った目のポーズを作ることができます。

また、黒目と白目のバランスに関しては、もう2つだけ押さえておきたいポイントがあります。1つめは、目線を横に送るときなどにどれくらい黒目をまぶたに埋めるのか?というポイントです。これは大体50%以上は埋めないようにするデザインを目指すと良いと思います。これは、黒目が50%以上まぶたで隠れてしまうと、隠れている部分がどうなっているのか、見ている人が少し困惑してしまう可能性があるからです。50%見えていれば隠れている部分がどうなっているのかほぼ見当がつきます。アニメーションにおいてわかりやすさはどのトピックにおいても最も重要なのです。

黒目と白目のバランスに関するポイントの2つめは、左右で白目と黒目のバランスを合わせるということです。特に意図的に右と左でちがうポーズを目指すときを除いて、基本的には黒目と白目のバランスは合わせるようにしましょう。微妙にそのバランスが変わってくると左右で異なる印象を作ってしまい、結果的にわかりやすさを損なってしまいます。

ドローオーバー

ここまでの内容を踏まえて、目の力の入り方、肩の力の入り方、また指先のポーズやシルエット、それぞれの要素はそこまでの表現力はありませんが、その要素が全て合わさるとよりわかりやすいポーズになるということがわかると思います。

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作品02:「気まずい」

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