作品02:「気まずい」
投稿作品2つめは「気まずい」というテーマのポーズです。キャラクターのコントラスト(対比)については、以前にも何回か紹介していますが、今回も2人のキャラクターのコントラストをしっかりと表情で表現できており、良いポーズだと思います。男の子の表情と、女の子の目線に少しだけ気になる部分があったので、今回そのあたりをまとめてみます。
Point 1:目線と相手の距離
人によって癖が出やすいのが黒目の離れ具合です。黒目は、その離れ具合からどこに焦点が合っているか判断できてしまうので、実は注意が必要な部分だったりします。例えば遠くのものに焦点が合っている場合には、左右の黒目は離れていきます。逆に近くのものに焦点が合っているときには、黒目と黒目の間の距離は短くなります。英語では、黒目の間隔が短すぎる場合にはcross-eyed、逆に離れすぎている場合にはwall-eyedと言ったりします。
Point 2:表情のハーモニー
表情のポーズを作るとき、特にCGアニメーターの場合は目や眉毛、まぶたにはそれぞれ別のコントローラが割り当てられているためパーツごとに独立して考えてしまいがちですが、基本的には表情は眉毛も目も瞼も口もひとつながりと考えて扱うことが重要です。全体的な統一感(ハーモニー)を作ることで、しっかりと意図が伝わるポーズを作ることができます。わかりやすい例で言うと、顔の全体を使ってスクアッシュ&ストレッチを作るケースもあります。
具体的に今回のポーズの場合で言うと、男の子の「気まずい」雰囲気が眉毛と目からは伝わってきますが、加えて口もその雰囲気を表現できていると全体的にもっと「気まずい」雰囲気が伝わると考えました。
Point 3:下まぶたと頬の筋肉
また、まぶたと頬の関係も重要です。下まぶたには筋肉がないので、基本的に単独では動かさないようにし、下まぶたが動くときには頬からの動きを意識するようにします。頬の動きは口の口角によってもち上げられることもあるので、その場合には口角→頬→下まぶたの筋肉のつながりがしっかりとできているかどうか確認してみましょう。
ドローオーバー女の子は男の子の方に目線が合っているはずなので、黒目の左右の距離をかなり近くにしてみました。また、男の子の方のまぶたと頬の関係や、全体的な表情の統一感を直してみました。
今回の添削はこんな感じです。最後に、いつもエイド宿題に参加してくださってありがとうございます! 皆さん本当に素晴らしいポーズをつくってくださるので、僕も勉強させていただいています。ぜひまた今後も参加してくださると嬉しいです!
「エイド宿題」とは?
「エイド宿題」はTwitterで始めたクリエイターの皆さんへ向けた新しい企画です。オンラインスクールAnimationAidのクラス内で出している「ポーズをつくる」という課題を、Twitterでみんなでやってみようというとってもシンプルな企画です。
●参加方法とやり方
・毎週月曜日にTwitter(@ryowaks)でその週のお題を発表するので、そのお題に沿ったポーズをつくってみましょう。
・CGでつくった、もしくは絵で描いたポーズにハッシュタグ(#エイド宿題)をつけてTwitterに上げましょう。
・ぜひハッシュタグで検索して、他の人がつくったポーズも見てみましょう。
・エイド宿題とは?
https://ryowaks.com/what-is-aidshukudai/
・エイド宿題 これまでのお題
https://ryowaks.com/category/aidshukudai/
Profile.
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若杉 遼/Ryo Wakasugi
2012年にサンフランシスコの美術大学Academy of Art Universityを卒業後、Pixar Animation StudiosにてCGアニメーターとしてキャリアを始める。2015年にサンフランシスコからカナダのバンクーバーに移り、現在はSony Pictures Imageworksに所属。CGアニメーターとしての仕事の傍ら、CGアニメーションに特化したオンラインスクール「AnimationAid」を創設、現在も運営のほか講師としてクラスも教えている。これまでに参加した作品は『アングリーバード』(2016)、『コウノトリ大作戦!』(2016)、『スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険』(2017)、『絵文字の国のジーン』(2018)、『スモールフット』(2018)、『スパイダーマン:スパイダーバース』(2019)など
●若杉遼 ブログ わかすぎものがたり
ryowaks.com
●AnimationAid
animation-aid.com