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お題その4:「ごまかす」(2)

お題その4:「ごまかす」(2)

Sony Pictures Imageworksのアニメーターであり、オンラインスクールAnimationAidの講師も務める若杉 遼氏がTwitter上でお題に沿ったポーズ画を募集する「エイド宿題」。本連載では、その企画で集まった作品をピックアップし、若杉氏がドローオーバーによる添削とそのポイントを解説する。

TEXT_若杉 遼 / Ryo Wakasugi(Sony​ Pictures​ Imageworks
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)

今回のお題

こんにちは、海外でCGアニメーターをやっている若杉(@ryowaks)です。今月も、先月に引き続きエイド宿題の3週目のお題から、「ごまかす」というテーマでポーズの添削をさせていただきます。

「ごまかす」は感情ではなく動作を表す言葉なので、ポーズをつくるときにキャラクターの感情面で自由度が高く、難しいテーマであることは前回お話ししました。またいくつか面白いポーズを投稿してもらったので、添削をしてみようと思います。

作品01:「ごまかす」

投稿作品

このポーズはなかなかユニークで面白いですね。「ごまかす」というテーマが難しいのは、自由度が高いぶん自分で設定やキャラクター性、ストーリーを具体的に決めないといけないからです。その点においてこのポーズはかなり具体性が高く、あいまいな雰囲気まったくないので素晴らしいと思います。

Point 1:コメディかシリアスか

映画の仕事では、アニメーションの作業に入る前に大前提となることがあります。それは映画におけるアニメーションのスタイルです。アニメーションはジャンルではなくメディアなので、ひとくちにアニメーションと言っても、コメディやシリアスなドラマ、ホラーなど、作品によって映画全体の雰囲気をかたちづくるために必要なスタイルがまったく変わってきます。全体のスタイルを意識すると、雰囲気がより具体的になり良いポーズをつくりやすくなります。

僕は最初にこのポーズを見たとき、後ろにいるキャラクターが可愛いデザインだったので、そこまでシリアスではなく、コメディのような感じなのかなという印象を受けました。ただ、ポーズをつくってくれた方の話を聞くと、実はもう少しシリアスな内容で、後ろにいるクリーチャーを必死で隠そうとしている設定ということでしたので、そのあたりに重点を置いて添削してみました。

ドローオーバー

Point 2:具体性

良いポーズをつくる秘訣は何ですか? と良く聞かれますが、サブテキストやポーズの左右非対称などいろいろある中で何よりも大事なのは、先ほど出てきた「具体性」という考え方だと思います。ポーズをつくるときに、より具体的に細かい部分まで考えておけばおくほど、ポーズの「答え」が明確になり迷いがなくつくりやすくなります。また、何よりもお客さんに対して様々な解釈をさせ、誤解を生んでしまうことを避けるという目的もあります。

今回のポーズで例を挙げるとすると、隠しているクリーチャー的なものは一体何でしょうか? 今はデザイン的に可愛いので両手を広げて立っているポーズが合っていると思いますが、これが仮に獰猛で自分でも戦えるくらいのクリーチャーだったら、同じように立っていても両手を広げたりしないほうが良いかも知れないですよね。

逆に守ろうとしているクリーチャーがもっともっと小さくて守ってあげないといけないような場合には腰が中腰になったり、もっと両手を使ったポーズの方が合う気がしますね。

このように、後ろにいるクリーチャーが一体どのような大きさやタイプなのかを具体的に決めることで、手前にいるメインのキャラクターのポーズも具体的に決まってきます。観客はこれらのポーズを見て無意識のうちにストーリーや情報を認識するので、このあたりをどれくらい明確に表現できるかがこの具体性という話に大きく関わってくるわけです。

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Point 3:サブテキストと具体性

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