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お題その4:「ごまかす」(2)

お題その4:「ごまかす」(2)

Point 3:サブテキストと具体性

具体性を考えるときには、その場の状況やキャラクター性だけでなく、キャラクターが何を考えているか、も具体的に考えてみましょう。これがサブテキストです。今回の作品とドローオーバーを並べてみます。

特に表情は可動域が狭いぶん、ポーズをつくるときにはより繊細な判断が必要になってきます。顔は観客の目線が最初にいくところなので、表情がちがうだけでまったく別の印象をつくってしまうこともあります。最初にお話しした、コメディなのかシリアスなのか、というお話にもつながってきますが、左のキャラクターは表情からどんなサブテキストが読み取れるでしょうか?

眉は若干力が入って下がり気味なので心配しているような要素を表しつつ、左の口角が上がっていることで、気まずく笑ってごまかすような印象になっています。もちろんそういう意図であれば問題ないのですが、今回はもっと真剣に後ろにいるクリーチャーをごまかしているという設定なので、上がっている口角を逆に下げるだけで全体的な表情の印象を大きく変えることができます(左)。さらに下のまぶたを上げることで、目にもっと力を入れることができます(右)。

Point 4:力の入れ方と方向

目に力を入れるときには、内側方向へ力を入れる場合と外側方向に力を入れる場合との両方があります。今回の場合は顔がこわばって力が入っている状態(緊張状態)を表現できれば良いと思うので、目を見開くパターンと目を細めるパターンのどちらでもある程度は成立すると思います。

それでも若干のニュアンスのちがいがあるので、そのあたりはキャラクターの性格やサブテキストによって変えてみると良いでしょう。今回はどうしても守らないと! という少し痛みを感じるような表情がピッタリくる気がしたので、添削の方のポーズは内側に目を細める表情に落ち着きました。目の緊張と緩和に関しては、ブログの方に詳しく書いているので、そちらも参考にしてみてください。

Point 5:リアルな演技とシルエット

普段アニメーションや絵を制作されている方は、シルエットを綺麗に取るというルールをどこかで必ず聞いたことがあると思います。ただし、それを正しく使うのは意外と難しかったりします。人間の動きに近づけてリアルな表現や演技をつくりたいときなどは、シルエットを意識しすぎると少し大げさで不自然なポーズになってしまいがちです。自然なポーズとシルエットへの意識のバランスが大事というわけです。

それではいつシルエットを意識してポーズをつくり、いつシルエットよりリアルな体の使い方を意識すれば良いのかというと、僕がひとつ目安にしているのは観客の目線です。見ている人の目線を特定の部分にもっていきたいときやポーズの意図がより明確に伝わると思ったときは、きれいなシルエットを取れるように気をつけています。

今回のポーズは、画面の手前にいるキャラクターに対して、背後の弱いクリーチャーを守るため制止しようとしているポーズです。この場合は両手を真っ直ぐにきれいに伸ばした方が伝えたい意図がはっきりと伝わると思ったので、腕も完全に真っ直ぐにしてみました。最後にもう一度ドローオーバーを載せておきます。

今回の添削はこんな感じです。最後に、いつもエイド宿題に参加してくださってありがとうございます! 皆さん本当に素晴らしいポーズをつくってくださるので、僕も勉強させていただいています。ぜひまた今後も参加してくださると嬉しいです!

「エイド宿題」とは?

「エイド宿題」はTwitterで始めたクリエイターの皆さんへ向けた新しい企画です。オンラインスクールAnimationAidのクラス内で出している「ポーズをつくる」という課題を、Twitterでみんなでやってみようというとってもシンプルな企画です。

●参加方法とやり方

・毎週月曜日にTwitter(@ryowaks)でその週のお題を発表するので、そのお題に沿ったポーズをつくってみましょう。
・CGでつくった、もしくは絵で描いたポーズにハッシュタグ(#エイド宿題)をつけてTwitterに上げましょう。
・ぜひハッシュタグで検索して、他の人がつくったポーズも見てみましょう。

●参考

・エイド宿題とは?
https://ryowaks.com/what-is-aidshukudai/

・エイド宿題 これまでのお題
https://ryowaks.com/category/aidshukudai/

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