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お題その2:「興奮する」

お題その2:「興奮する」

Sony Pictures Imageworksのアニメーターであり、オンラインスクールAnimationAidの講師も務める若杉 遼氏がTwitter上でお題に沿ったポーズ画を募集する「エイド宿題」。本連載では、その企画で集まった作品をピックアップし、若杉氏がドローオーバーによる添削とそのポイントを解説する。

TEXT_若杉 遼 / Ryo Wakasugi(Sony​ Pictures​ Imageworks
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)

今回のお題

こんにちは、海外でCGアニメーターをやっている若杉(@ryowaks)です。

今月はエイド宿題の2週目のお題から、「興奮する」というテーマでポーズの添削をさせていただきます。「興奮」は割とわかりやすい感情なので、表情にしても体のポーズにしてもそこまで難しくはないと思います。おそらく今回の課題で難しかったのは、興奮という感情を見せつつ、「キャラクターの性格」や「どうして興奮しているのか?」などストーリーを伝える上で必要になる情報をどのように盛り込んでいくかという部分だったと思います。

では早速ポーズの添削をしていきます。

作品01:「興奮する」

投稿作品

先ほどお話しした「キャラクターの性格」という部分に関わってくるところで、キャラクター同士の関係性がこの1枚の絵を見ただけで伝わってきますよね。お互いの体を真ん中に寄せ合っているのも、その関係性を伝える上で非常にわかりやすい手がかりとして描かれていて、とても良いポーズだと思います!

よくできているポーズなので、今のアイデアをもう少しわかりやすくしたり、誇張したりするともっと良くなると思いました。今回の添削では2つのポイントに絞って解説していきます。

ドローオーバー


Point 1:キャラクターの関係性

くり返しになりますが、2人のキャラクターの関係性がとてもよく出ていますよね。この部分をもう少し誇張するともっと良くなると思いました。今は2人のポーズが少し複雑なので「ネガティブスペース」をなくし、2人がぶつかる中心のあたりをもう少しシンプルにしても良いでしょう。シルエットとシルエットの間の空間のことを「ネガティブスペース」と言います。

また、良いポーズを作るときのルールのひとつに、「単純と複雑」というものがあります。これはポーズの片方を複雑にしたらもう片方を単純にすることで、見ている人の目線を見せたい部分に誘導するという効果があります。

詳しくは、ブログの方にも記事があるので、参考にしてみてください。

Point 2:ポーズの対比

キャラクターが複数いる場合、ひとつの絵の中で特に考えた方が良いのは、キャラクターの対比ですね。例えば、一方のキャラクターは力が入っていて、もう一方のキャラクターは力が抜けているなど、対比を入れることでお互いにポーズの意図のわかりやすさが増します。

ただし、今回の作品では、どちらもキャラクターも興奮しているという状態なのでここまでわかりやすいコントラストはつくれないかもしれませんが、それでもポーズの対比をつくることで、画として見たときの面白さを加えることができます。

観客はちがいのない2つの同じものを見せられると、無意識のうちに飽きてしまい視線を集めておくのが難しくなってしまいます。音楽などでも同じですね。同じリズムの演奏が続くとつまらない演奏だと感じ飽きてしまいますが、スピード感や長さや高さなど、対比を使うことで聴いている人の予想を裏切るような面白い音楽が生まれます。

今の話のとてもわかりやすい例として、クイーンの楽曲『ボヘミアン・ラプソディ』があります。今の話を踏まえて聞いてみてください。ここで話していることが実感としてわかると思います。

そこで、このポーズの添削では、全体的に対比を少しだけ加えてみました。どちらのポーズももちろん興奮している状態はそのままで良いと思います。興奮しているということは、力が入っているということで、どちらもポーズもそのままでもとてもわかりやすいです。ただ、力の入れ方は少し変化させても良いかなと思いました。

力の入れ方は、「外へ向かう力」と「内へ向かう力」の2つの方向があります。イメージとしては、眉に力を入れるときに、思いきり目をつぶるか、思いきり目を見開くか、といった感じです。内向きと外向き、方向はちがえどどちらも力が入りますよね。

体を使った全身のポーズでも同じことが言えます。そこで、右の女性のキャラクターは「内へ向かう力」、左の男性のキャラクターは「外へ向かう力」にしてみました。頭の角度、コントローラをもつ位置、表情(特に目)にそれぞれ内と外への力が生まれているのがわかるでしょうか?

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