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お題その5:「ごまかす」(3)

お題その5:「ごまかす」(3)

Sony Pictures Imageworksのアニメーターであり、オンラインスクールAnimationAidの講師も務める若杉 遼氏がTwitter上でお題に沿ったポーズ画を募集する「エイド宿題」。本連載では、その企画で集まった作品をピックアップし、若杉氏がドローオーバーによる添削とそのポイントを解説する。

TEXT_若杉 遼 / Ryo Wakasugi(Sony​ Pictures​ Imageworks
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)

今回のお題

こんにちは、海外でCGアニメーターをやっている若杉(@ryowaks)です。今月も、先月に引き続きエイド宿題3週目のお題から、「ごまかす」というテーマでポーズの添削をさせていただきます。

「ごまかす」は前回説明したように解釈の範囲が比較的広いため、アイデアを出すのが難しかったと思います。その分面白いポーズがたくさん出てきたので、引き続き同じお題のポーズを添削していきます。

作品01:「ごまかす」

投稿作品

このポーズは、ストーリーの面でなかなか面白い作品です。ジェンガのようなブロックを左手で押さえ、崩れそうになっているのを「ごまかす」という設定で表現したのかなと思います。このように、ひとつのポーズの中で具体的に見る場所を与え、そこからストーリーを伝えるというのはかなり面白いですし、とても良くできているポーズだと言えます。

Point 1:フォーカルポイント(焦点)と目線

キャラクターのポーズをつくるときには常に、焦点がどこにあるのか? つまり、お客さんにどこを見てほしいのか? を考えることが大事です。基本的に、顔がカメラに近く表情がはっきりと見えている場合には、観客の目線はまずキャラクターの目のあたりにいくことが多いです。

最初に目に焦点が合うことが多いため、アニメーターにしてもイラストレーターにしても、キャラクターのポーズをつくるときにはこの"目"の部分がとても重要になってきます。この焦点の話をもう少し掘り下げると、キャラクターの目そのものに焦点が合うことはもちろん、その視線の先にも観客は目線を向け焦点を合わせようとします。

つまり、ポーズをつくるときには、観客に見てほしい部分にキャラクターの目線を当てると、ねらったところに自然に視線を集めることができるというわけです。それでは、このポーズの場合はどこに観客の目線を集めるのがベストでしょうか?

このポーズの場合は、"ブロックを左手で押さえてズルをしている"というのがストーリーの重要なポイントになっていますので、観客にはその左手のあたりを逃さずに見てほしいと思います。そこで、キャラクターの目線をこのような感じに変えてみました。

ドローオーバー

キャラクターの目線を左手の方に向けることで、少し心配しているような印象をつくることができます。こうすると、観客の目線を、ズルをしている左手のあたりに間違いなく向けることができると思います。

Point 2:「ポイント」

英語でいわゆる「ポイント(point)」というのは、"指差し"や"尖っている"といった意味になります。ポーズの中にこの尖った「ポイント」をつくることで、目線と同じように観客の注目を集めることができます。これはとても論理的で、ポーズの中でコントラストを生み出し、それらの対比によって視線を誘導するというテクニックです。

このようなデザインのものがある場合、尖った部分に目がいってしまうのがわかるでしょうか? これが「コントラストを使って視線を誘導する」ということです。今回のポーズの場合には、手に持ったブロックを使って尖っている部分をつくっているのがわかると思います。また、ストーリーの面でも、このキャラクターがマジシャンのように見ている人の目線をブロックの方に集めようとしている印象もあるので、この「ポイント」をもっと誇張してわかりやすいポーズにしても良いかなと思いました。

ブロックを持っている手をより外に出すようなポーズにすることで、そこに目線を集めようとしているキャラクターの意図も見えてくるように感じますね。

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Point 3:つくり笑い

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